2023-10-31

Emotion & Commotion / Jeff Beck

 

今年1月に他界したギタリストJeff Beck(ジェフ・ベック)の2010年作品。2000年代はちょっとエレクトロニックに寄り道していたジェフが、満を持してギターアルバムを出してきた!と久しぶりに気持ち高ぶりました。そりゃジャケットを見たら鷲がストラトキャスターを運んで翼を拡げているではないですか。大復活の予感とともにCDプレイヤーのボタンを押しました。

フィンガーピッキング、ボリューム奏法、アーミング、ハーモニクス、ストラトの音、目の前でジェフが弾いているかのようです。なんて美しい音なんだろう。ギターをここまで美しく弾けるのは彼しかいません。いまや天国で楽しそうに弾いているであろう神様です。もしかしたらジミヘンやボンゾやレイヴォーンあたりともセッションしているかもしれません。いやぁ涙なしには聴けません。

うっとりなギター曲のみピックアップしてみます。1.Corpus Christi Carol 、4.Over the Rainbow 、8.Nessun Dorma 、10.Elegy for Dunkirk 。ため息。鷲がストラトとともにジェフを持って行ってしまいました。悲しさはなく、思い出されるのはジェフのやんちゃで楽しそうなギターを弾く姿。こんなギターアルバムを残してくれたことに感謝しましょう。

2023-10-30

失敗したくない、けど仕事しなきゃ

 

覚悟するにしても、サポートするにしても、仕事して稼いでいくのに必要なのは「勇気」なんだと思います。その勇気が出ないとしたらそれは「失敗したらどうしよう」とか「あの人のせいで失敗したと言われたくない」「大変な思いをしたくない」とかとにかく心配なんだと思います。もしくは決定的な失敗や過ち、嫌な思いがあってすでに自己嫌悪に陥っているときもあります。

いわゆる「トラウマ」です。過去の失敗や嫌な思いが強く残っていて、一歩が踏み出せない。これは多かれ少なかれ誰にでもあることです。その過去の自分はまさに自分であるので、また繰り返すと思っているわけです。人生経験を重ねていくなかでそうなるので、若くても老いてもそういう状態はあります。しかしその自分も細胞は数年ですべて入れ替わります。昔の自分は今の自分ではないのかもしれません。

なんにでも効く薬は知りませんが、「仕事」に関しては、その仕事を「知る」ことが大切だと思います。その仕事はどういう目的で、何を実現しようとしていて、関わるステークホルダーはどんな登場人物で、成果を出すにはどんなポイントがあってなど、与えられた時間内にできる限り観察することです。感情を挟まず、情報を集めて、冷静に書き出していくわけです。そのなかで自分に試行錯誤できるところがあるんじゃないか、と思ったところが勇気の出しどころです。

結局、楽な仕事はないのです。楽じゃない仕事をやるから稼げるわけです。失敗しない保証もありません。結果的に成功するか失敗するかなんてわかりません。まずは相手を知って仕事にとりかかりましょう。

2023-10-27

Blackmagic / José James

 

José James(ホセ・ジェイムズ)はアメリカのシンガー。ソウルやヒップホップ、エレクトロニックを感じさせるサウンドですが、当時はジャズシンガーとして知りました。2010年の本作は2作目で、同年にインパルスからジャズどっぷりの「For All We Know」というジェフ・ニーヴのピアノとのデュエット作品を出しており、こちらも名盤です。耳に残る独特な歌唱のファンになり1stも本作以降の作品もダウンロード購入しました。

このあたりの年からiTunesで音源をダウンロードして聴くようになりました。だからCD棚に入っていないお気に入りアルバムがあるのです。そのままiPodと同期して持ち歩いて聴くスタイルが始まったのです。フィジカル(CDやDVD、レコードなど)のディストリビューターの仕事をしていたのに皮肉なもんです。CD時代からダウンロード時代に移ると同時に、ホセ・ジェイムズのような強力な新人が出てきたことも僕にとっては嬉しいことでした。

2.Touch を聴くと曲調はジャズファンクですが、サウンドもヴォーカルもジャズだなと思います。かと思えば5.Warrior のようなアプローチはホセらしいハーモニーを聴かせてくれて、グラスパー以降の新しい潮流を感じます。ヒップホップらしいイントロで始まるBlackmagic も彼独特の歌い方と浮遊感のあるサウンドが新しい何かを感じさせます。ホセ・ジェイムズはこのあとブルーノートに移籍してさらに躍進していくことになります。

2023-10-26

ソファから離れたMacを操作する

 

家のオーディオでは、古いMacbook(Air,11インチ)を音楽再生専用機として使っています。USBでDACと接続して主にApple Musicのストリーミングでハイレゾとか。ストリーミングにはなくてお気に入りのアルバムもあるのでCDリッピング音源やダウンロード音源もこのMacbookで再生しています。BluetoothはOFFにして必要のないアプリは立ち上げずに。場所もとらないし、クラウド同期しているのでライブラリの運用もiPhoneとの連携も良好です。

リビングオーディオですから、このMacbookはオーディオのそばに設置していて、聴くのはちょっと離れたソファで、となります。立ち上がっていちいちMacbookを操作しに行くのは面倒。つまりリモコンしたいわけです。選曲時にアーティスト名を入力したり、過去のアルバムを閲覧したり、そのまま遠隔から操作したい。

先日仕事用のMacbook(M1)のmacOSをSonomaに更新したら、アプリケーションのその他に「画面共有」というアイコンが追加されていました。さっそく接続すると、古いMacbookの画面が手元のMacbookにも。(画面共有の方法

手元のMacに、向こうのMacの画面が。手元で操作できます。

実は以前からちょっと面倒な方法で実現できていたのですが、Sonomaになって簡単に画面共有できるようになったのでした。こうしてソファから選曲や曲送り、プレイリスト作成だってできちゃいます。Bluetoothで飛ばしているわけではないので、ハイレゾをハイレゾで(USB→DAC)聴けますし、仕事のメールしながら、向こうのMacを操作したりして、と自己満足。

2023-10-25

Uncle John's Band / John Scofield, Vicente Archer & Bill Stewart

 

John Scofield(ジョン・スコフィールド)はアメリカのジャズギタリスト。Uncleってくらいで御年71歳。マイルス・デイヴィスの「Decoy」(1984年)で存在を知りました。このアルバムはバックにブランフォード・マルサリスSaxやダリル・ジョーンズB.といったスティングのバンドメンバーが参加していて、その研ぎ澄まされたサウンドたるやとてもカッコいいアルバムでした。

独特のギターサウンドとウネウネしてアウトしていく音使いが彼の特徴です。同世代で並び称されるパット・メセニーとの共演アルバム「I Can See Your House From Here」を聴くとふたりの個性の違いがよーくわかります。バラード「Message To My Friend」は中でも本当によく聴きましたが、ふたりの口調の違いに笑みがこぼれます。ジョンは以降も活動的でジャムバンド方面でファンキーな演奏も聴かせてくれてこちらも楽しいです。

2023年本作はヴィセンテ・アーチャーB.とビル・スチュワートDr.といった名うてのミュージシャンとのトリオ演奏で一聴は静かでシンプルな演奏だと思います。その分ジョンの多彩なタッチのギターサウンドや他楽器をじっくり高音質で楽しめます。1.Mr. Tambourine Man からしっかりアウトしていく彼独特のフレーズ満載です。3.TV Band でのジャムもなにやら楽しい。5.Budo あたりまでくるとこれは相当なジャズだなと感じます。のんびり聴くつもりが前のめりで聴いてしまいます。

2023-10-24

Wake Up! / John Legend & The Roots

 

The Roots(ザ・ルーツ)はアメリカのヒップホップグループ。ドラムスのクエストラヴを筆頭にギター、ベース、キーボードも生音のバンドにブラック・ソートのMCが乗っかるというのが特徴です。2010年の本作は、リードヴォーカルにJohn Legend(ジョン・レジェンド、アメリカのシンガー)を迎えて、R&Bとヒップホップの濃いところを抽出した名盤となっています。

ヒップホップの中でもこのザ・ルーツが大好きで1995年の「Do You Want More?!!!??!」から本作まで10作ほど買い続けて聴きました。理由はやはり生音バンドであるということ。僕がバンドをやっていたからだと思いますが、その場で演奏するグルーヴを強く感じます。特にクエストラヴのドラムスの音が好きです。有名なジョン・レジェンドのVo.も素晴らしいソウルでシャウトするとそりゃ盛り上がります。

そんな彼らの共演を冒頭1.Hard Times から飛ばしてきます。イントロからリズムに入るあたりは毎回鳥肌でこれぞブラックミュージック!と叫びたくなります。そしてこのアタックの強いギターのサウンド、痺れます。続く2.Compared to What のクエストラヴこそヒップホップドラマーとしての魅力を見せつけてくれます。4.Our Generation もこの共演ならではのかなり濃いサウンド。このあとも彼らの古き良きR&Bソウルへのリスペクトを感じる、ヒップホップファン以外でも楽しめる作品となっています。

2023-10-23

「サポートする人」を愛でる

 

やります」と言える人が稼ぐことができると話しましたが、それが言えない人だっています。「やります」と言う人だってたまには疲れて言えないときがある。失敗したらどうしよう、迷惑かけたくないと思うのも普通のことです。「やります」と言う人を遠くから見て「大変そう」と見て見ぬふりしてしまうのも仕方がない。誰だって安全で楽な位置にいたいものです。

そんな普通の人が稼ぐ方法もあります。ここはやはり勇気を出して「やります」と言っている人に声をかけることです。困っていることがないか聞いて、何か自分にできることがないか考えることだけでも立派なサポートです。自分はリーダーにはなれないけれど、ちょっとしたサポートならできる人はやがて稼ぐことができるでしょう。パンフレットをクリアファイルに入れる単純作業の輪に入るだけだっていいんです。

社長はそういう「サポートする人」をきちんと評価することです。口で褒めるだけでなく、評価制度に組み込むことが肝心です。どんな仕事も複数メンバーをアサインできるほど人手は潤沢ではないでしょう。個人個人が仕事を抱えていますから、つい「他人事」文化が育ってしまいます。「サポートする人」を愛でる文化を育てたいですね。

2023-10-20

out of noise / 坂本龍一

 

今年3月に亡くなってしまった坂本龍一。まだ信じられない思いです。YMO世代ですし音楽はもちろん彼らの言動や行動にも影響を受けてきました。特に坂本さんは社会的活動もメディアに出ていましたから目に触れることが多かった。NHKのスコラ音楽の学校や3.11震災直後の彼の行動からは音楽への深い愛情が感じられて共感していました。震災後にiTunesで彼のピアノソロをダウンロードして心を鎮めていたのを思い出します。

2009年の本作は、自分の中にある音楽を表現したものとして私的な作品であると感じます。曲調はミニマルでありながら一音一音とても丁寧に厳選されたサウンドとなっていて、この作風は亡くなるまで続いたと思います。僕がフィールドレコーディングをするようになったのも坂本さんがiPhoneにマイクを挿して街を歩いていた映像を見てからで、音を集める行為自体に興味を覚えたのでした。

震災後によく聴いた曲となりますが、1.hibari のようにミニマルで音が少しずつずれていくような感覚が面白い。5.tama の高周波な音はちゃんとした再生装置で聴くとよりリアルに感じます。6.nostalgia では和音を置いていくシンプルな曲なのにいろいろな風景が浮かんできます。北極圏まで行ってフィールドレコーディングしてきた音を入れた10.glacier を聴いていると長く続く“時”を静かに感じることができます。

2023-10-19

iPhoneとUSB-CでDAC接続してみた

 

スマホをiPhone8からiPhone15にしました。8でも問題なかったのですが、iOS最新をサポートしなくなったこととUSB-C端子になったことが15の導入理由です。で、外付けDACをつなげてみました。iPhone15(USB-C)→USB-C/USB-A変換プラグ→USBケーブル→DAC(KORG DS-DAC-10R)→ヘッドフォンという接続です。KORGのこのDACはバスパワー対応なので電源端子無しです。

あっけなく音が出ました。Apple Musicでハイレゾ音源を再生できるように設定して聴いてみました。サンプリング周波数がたとえばロスレス44.1kHzのときはインジケーターが緑色、ハイレゾ96kHzのときは紫色、写真のようにハイレゾ192kHzのときは白色と出力を判定して受けていることがわかりました。ちなみにドルビーアトモスを自動(オン)にしていると対応音源では音が出ません。オフすれば音は出ます。

ちなみにMacとDACを接続してもこのサンプリング周波数の色は「Audio MIDI設定」で設定した値の固定となり、音源のサンプリング周波数毎に色は変わりません。変わってほしいんですけど...。なぜiPhoneとMacで違うのか。

だからどうしたという些細な話でした。いまは小さなDACがたくさん出ているのでUSB-Cが挿さるようになったiPhoneとつなぎやすくなった(変換プラグとかケーブルは配慮要)と思います。

写真の音源は高音質有名盤のスティーリー・ダン「Aja」で2023年のクレジットがあります。おそらく最近出た「EQ処理のない新リマスター」と思われます。「24ビット/192kHz ALAC」です。所有しているCDたちと聴き比べましたが、すっきりした音でこちらのほうが楽器の輪郭がはっきりつかめて、楽曲に入り込めました。

2023-10-18

Dara Starr Tucker / Dara Tucker

 

Dara Tucker(ダラ・タッカー)はアメリカのシンガー・ソングライター。2009年の1stアルバムから2023年本作は5作目。ジャズギタリストのピーター・バーンスタインやチャーリー・ハンターなどと共演していたりしてベテランと言えます。幼少期のほとんどを家族と一緒に歌いながら国中を旅したという彼女は、フリーランスのドキュメンタリー映画製作者でもあるそうです。

彼女の声に惹かれたのは、ゴスペルをベースにした深い歌唱と高くも低くもない耳に心地よい歌声だからです。幼い頃から歌いこんでいるからこその父や母、スティーヴィー・ワンダーなどから音楽的影響を受けたというのも頷けます。このアルバムではバックのミュージシャンは控えめに、彼女の歌声を引き立たせて、気持ちのよいサウンドを聴かせてくれます。

僕が好きなグレゴリー・ポーターのオープニングアクトを務めたとありますが、アルバム全般から彼のアルバムに感じたものと同様の印象があります。心地よいリムショットを刻む1.Scars から軽いテンポの気持ちよい歌声が響きます。7.September Song でピアノをバックにフリーに歌う姿はジャズシンガーとしての力量を感じます。続く8.Standing On The Moon はちょっと難しい3拍子ですが、懐の深い歌いっぷりが聴けます。


2023-10-17

Where the Light Is: Live In Los Angeles / John Mayer

 

John Mayer(ジョン・メイヤー)はアメリカのギタリスト、シンガー・ソングライター。僕がちゃんと知ったのはエリック・クラプトン主催のクロスロード・ギター・フェスティバルの映像を観たときで、ストラトキャスター1本で大観衆を魅了していて感動しました。ブルースを基調にソウルフルでロックでポップな曲が魅力ですが、僕としてはスティーヴィー・レイ・ヴォーンに影響を受けていることも好きな理由のひとつです。

2008年の本作は2枚組ライヴです。Blu-rayも入手して何度も観ています。ギターを弾く者にとって、彼がストラトキャスターやアコギの音の魅力をすべて引き出して聴かせてくれていることに喜びを感じるはずです。1枚目はG、B、Drのトリオ編成で2枚目は他のGやKeyや管楽器が入ったバンド編成で22曲のボリュームですが、長さを感じるどころか、曲がいいのでずっと浸ってしまう作品です。

デビューアルバムから1.Neon でのアコギがいきなり最高。あまりにカッコいい。ストラトになってジミヘンの7.Wait Until Tomorrow の重めのカッティングがこれまたカッコいい。8.Who Did You Think I Was でのスティーヴィーぶりといい、ストラトの好きな音を出してくれている。同じくジミヘンのバラード13.Bold As Love でのプレイも見事。圧巻は2枚目の6.Gravity です。僕にとってのバラードNo.1ソングなんじゃないかと。何回聴いたことか。やっぱりこのライヴは傑作です。

2023-10-16

理想の職場とは

 

理想の職場ってどんなところなんでしょう。きれいなオフィスで、仕事に余裕があって、社員が和気あいあいで、給料もそこそこ良くて、残業はなくて、長期休暇もとりやすくて。今どきであればオンラインでミーティングしている社員や取引先がいて、オンオフともに充実感がある、って感じでしょうか。

僕が経験してきた中で「良い職場」として印象に残っているのは、そこにいるメンバーが次々に「それじゃ私は、◯◯をやります」を連発していたシーンです。リーダーが「私は◯◯をやるんだけど、みんなもお願いできるかな」と言うと、ほかのメンバーがそれぞれ担当分野でできることを主体的に探して「やります」宣言していました。不安な点やわからないことがあるとすぐに聞けるオープンな雰囲気、困っている人を感じたら声をかける分かち合いの雰囲気もあって、リーダーのためではなく目的(お客様だったり、価値だったり)にベクトルが向いている状態でした。

まぁいつもいつもそんな状態であるわけではないですが、そんな瞬間をつくれる職場ということです。きっとこの「やります」状態があってこそ、徐々に冒頭の職場環境は実現していくものではないかと思っています。誰かが用意してくれるのではなく、メンバーがつくりあげていくものだということです。

2023-10-13

The Traveler / Kenny Barron

 

Kenny Barron(ケニー・バロン)はアメリカのジャズピアニスト。スタン・ゲッツを始め数多くのミュージシャンとの名演を残す大ベテランです。2008年本作にも参加しているベースの北川潔さんリーダー作での共演もよく聴きました。本作にはグレッチェン・パーラトやリオーネル・ルエケも参加しているほか、スティーヴ・ウィルソンのソプラノサックスが耳に心地よいです。

本作とブランフォード・マルサリスのEternalは、僕にとっての癒やしのアルバムで、仕事を終えた後の夜や、お風呂タイムのお供として本当によくかけていました。ケニー・バロンのピアノはけして弾きすぎることはなく、そしてフレーズは多彩でつい耳が追いかけてしまう。飽きることがなく、次に聴いたときにはああこんなの弾いていたのかと発見もある、そんな演奏です。

さぁてゆっくりするか、とプレイボタンを押して1.The Traveler に身を委ねます。続く2.Clouds があまりに心地よくて寝落ちしそうになりますが、3.Speed Trap での北川さんの速くてアタッキーなベースに驚きながら体をほぐしてもらいます。再び4.Um Beijo のグラディ・テイトのダンディな歌声でリラックス。といったナイト・ルーティンを何回繰り返したことでしょう。


2023-10-12

シネマ・コンサート体験

 

今年9月30日に東京国際フォーラム ホールAでの「スター・ウォーズ シネマ・コンサート」を観に行きました。1977年公開のエピソード4を“映画のセリフや効果音はそのままに、映画全編上映に合わせて音楽パートをフル・オーケストラが生演奏でお届けする”というもので、原田慶太楼さん指揮による東京フィルハーモニー交響楽団が演奏。ファンにはたまらない音楽イベントとなりました。

20世紀フォックスのファンファーレで始まったときには場内大喝采。ディズニーに買収されてから聴けなくなってしまったテーマですもの。そしてあのスター・ウォーズのテーマ。おぉ生演奏で聴くとさすがにスゴい迫力。メインキャラクターが出てくるとそこでまた拍手喝采。繰り返し観た映画なのでほとんどのシーンを覚えている人ばかりなのでしょう、セリフにもいちいち反応したりして。生演奏も映画にタイミングをぴったり合わせて違和感皆無。満席5千人くらいで楽しむ映画&生演奏鑑賞でした。

高校生のとき、フィルム・コンサートというライヴヴィデオをホールの大スクリーンで流しながら爆音で音楽を観るイベントに行きました。海外のハードロック・アーティストで来日はしない代わりにヴィデオで観ようと、大勢で観て盛り上がろうという企画でした。音楽好き仲間と観れて楽しかった記憶があります。シネコンなどの映画スクリーンで今でも実現できるのでは。探してみよっと。

2023-10-11

The Drop / Jeff Lorber Fusion

 

Jeff Lorber(ジェフ・ローバー)はアメリカのミュージシャンでキーボーディスト。バンドのJeff Lorber Fusion名義での2023年新作。元祖フュージョンなイエロージャケッツのジミー・ハスリップ(B)やベテランドラマー、ゲイリー・ノヴァクが参加して、これぞ“フュージョン”なサウンドを聴かせてくれています。

フュージョンやスムースジャズというとなんかBGM的というか、ただ心地よいだけといった印象でつまらないという人もいますが、僕自身は80年代にカシオペアやザ・スクエアを始め日本のフュージョングループをよく聴いていたこともあり、「その心地よさがいいんだよ」と思います。今作もファンキーで気持ちいいリズムとキレのある高音質サウンドで、聴いていて楽しくなる作品です。

タイトル曲1.The Drop からファンキーで楽しいサウンド全開。4.On the Bus の流れるようなリズムに後半のギターソロがむちゃカッコいい。7.Keep on Moving もファンキーなリズムで思わず体が動きます。ラストの10.Tail Light なんかまさに気持ちいいサウンドでザ・フュージョン。全曲にわたってゲイリー・ノヴァクのドラムスの気持ちよさが光っています。


2023-10-10

In My Element / Robert Glasper

 

Robert Glasper(ロバート・グラスパー)はアメリカのジャズピアニストで音楽プロデューサー。2000年以降のジャズシーンにおいて最重要人物と言っていいと思います。2007年本作をCDショップで手にしたときは、そのジャケットを見てヒップホップアーティストがジャズアルバムを出したのだと思いました。帰って聴いてみるとビックリ、本格的なジャズを何やら新しい感覚で演っているのでした。

聴くほどに新鮮なメロディーライン、ピアノタッチ。そして細かく高速ビートを刻むダミアン・リードのドラムス。言われてみればハービー・ハンコックの影響も感じる。でも新しい!と繰り返し聴いては、1stや2ndをネット注文し、彼が関わっている作品をiTunesでも購入したりしました。彼によってジャズシーンはまだまだ更新し続けているぞとワクワクさせられました。

1.G&B から本格的なジャズで只者ではないリズムと新鮮なメロディでこりゃスゴいぞと。3.F.T.B. はまるでソウルミュージックのようにピアノで歌いかけてきます。ハービーの7.Maiden Voyage / Everything In Its Right Place では見事にグラスパーの世界観にのみ込まれていきます。8.J Dillalude はビートメイカー、J・ディラに捧ぐ曲でサンプリングからインスパイアされて生演奏する彼ならではの作品だと思います。


2023-10-06

ON / BOOM BOOM SATELLITES

 

BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)は中野雅之(B、プログラミング)と川島道行(Vo、G)のロックユニット。僕はフジロックで観てファンになりました。シンセサウンドはプログラミングされたものですがギター、ベース、ドラムスは生演奏。特に叩きまくりのドラムスは衝撃的でむちゃくちゃカッコよかった。2016年に川島さんが亡くなってしまったのが残念でなりません。

本作は2006年5thアルバム。彼らのサウンドは一貫していて、未来的でブリブリで大好きなアナログシンセの音とそこに乗るヴォーカルのエコーが気持ちいいこと。唯一無二で世界に通用するサウンドを有していたし、ライヴでこそ彼らの本領を発揮していたと思います。当時彼らほどカッコいいバンドが日本にあったでしょうか。

ライヴで盛り上がるというのは1.Kick It Out を聴けばわかるでしょう。ダンスミュージックにしてこれぞロックなサウンドです。テレビなどでタイアップされた曲で聴いた人も多いはず。オススメは2.9 Doors Empire 、8.Generator 、11.Nothing といった疾走感のある曲。全編にわたってドラムスが激しく叩きまくっていて最高です。

2023-10-05

本物の音楽とは

 

本物の音楽って何でしょう?これも人によって違うと思いますが、僕としてはまず「プロ」によって作られたor演奏された楽曲であること、としておきます。技術的にはアマチュアだってかなりの人はいますし、プロにだって「これ何?」と思うこともしばしば。ただ音楽を作ったり演奏したりすることで生計を立てていくというのは相当な時間と努力の結果であると思っています。

音楽を聴くうえで「これはプロの仕事だな」と感じるのはどんなときか。それは音楽という感情表現にパワーを感じるときかもしれません。強い音、微小な音、音色、声色に幅や深みがあって、そのミュージシャンがそれまで磨いてきた表現力をその一音に込めていると感じます。こればかりは数値や言葉で定義できるものではなく、僕の心や体がそう感じているとしか言いようがない。さらにそこで感じたことは時が経っても継続していて何度聴いても「やっぱりいい」となります。

僕の場合、音楽仕事や聴いてきた曲数といった経験も確かに影響していると思います。しかし10代の娘の反応をみていると一概にそうとも言えない気がします。娘はApple Musicでプレイリストを作って音楽をよく聴いていますが、結局飽きずに聴いているのはマイケル・ジャクソンの曲だそうです。おそらく当時最高峰のプロダクションで作られた彼の作品は、聴き手の経験の量に関わらず、本物の音楽として人の心に響き続けるパワーを持っているんだと思います。

2023-10-04

where are we / Joshua Redman

 

Joshua Redman(ジョシュア・レッドマン)はアメリカのサックス奏者で作曲家です。若くしてすでに風格のある1993年作「Wish」はパット・メセニーが参加していることもあってCDで聴きました。Dr.のエリック・ハーランドらと組んだJames Farmの「City Folk」での彼もオーソドックスでありながら味わいのある佇まいが好きでよく聴きました。

今回はブルーノートからのデビュー作とのことで、ガブリエル・カヴァッサという女性ヴォーカルを迎えて、P.アーロン・パークス、B.ジョー・サンダース、Dr.ブライアン・ブレイドという鉄壁の布陣で作り上げた作品です。このメンバーらしく叙情的でゆったり聴き入る曲が揃っていて、温かいコーヒーでも飲みながらリラックスしてアメリカ各地を巡ります。

カート・ローゼンウィンケルのギターから始まる2.Streets Of Philadelphia はブルース・スプリングスティーンのナンバーでアメリカへの愛を感じるような曲。続く3.Chicago Blues は不思議なコード進行とブルースを混ぜていかにもジョシュアらしい曲。面白いイントロの7.Manhattan ではギターとサックスの掛け合いが楽しい曲です。


2023-10-03

Doomsday Machine / Arch Enemy

 

スウェーデンのメタルバンドArch Enemy(アーチ・エネミー)の2005年6thアルバム。デスメタルはイヤーエイク・レコード関連の超スピードメタルを耳にしたときに知っていましたが、聴き続けるほどではなかったのです。しかしこのバンドのサウンドと女性デス・ヴォイスというギャップによって大いに盛り上がり、フェスでライヴを体験するに至りました。

アンジェラ・ゴソウのVo.と勇姿がとてもカッコいいわけですが、僕にとってはマイケル・アモットのギターが刺さりました。この超ハード&ヘヴィな曲に、あのマイケル・シェンカーへのリスペクトを隠さずに繰り広げるメロディアスなフレーズが“泣ける”のです。このアルバムでは弟のクリストファー・アモットの超速弾きとの対比が素晴らしく、メタルおじさんのハートをワシづかみにしたのでした。

アンセム曲の1.Enter The Machine でこの後のメタル大会を予感させます。来ました2.Taking Back My Soul の最初のマイケル・アモットのワウギターからしてシェンカーなんです。超速3.Nemesis での高速ツーバスに痺れたあとのメロディアスライン。これぞメタルですわ。重い&ヘヴィな4.My Apocalypse の筋肉質なリズムはもはや気持ちいいくらい。ここらでおじさんは息切れしますが、空間の拡がりや沈み込む重低音が効いていて音質的にもオススメですよと言い残します。


2023-10-02

選択とは「覚悟」すること

 

社長になる以前の問題として、生活していくには稼がなければならない。稼ぐためにはどうしたらいいか。答えはシンプル「私、やります」と言うことです。「◯◯さん、コレやってくれないか」と言われ仕事の受け身だろうと、「これをなんとかしなくちゃ」と自分発の仕事だろうと「やります」と言うことがやがて「稼ぎ」につながります。

僕も初めて社長になったとき、当時の株主から「社長はキミにやってもらいたい」と言われて「やります」と答えたところから始まったわけです。もちろん経験はゼロだし、スキルもないし、頼りない。周囲のメンバーからの支持もない。あったのは「覚悟」のみ。誰だって最初は初心者なんだと自分に言い聞かせて、船出をしたのでした。

引き受けた理由はもう一つ。音楽に関わる仕事だったのです。つまり「やりたい仕事」だった。やりたくないものを「やります」と言うのはツラい。とある目的のためにやらなきゃいけないときに「やります」と言うことはあるけれど、やりたくないものはやらないほうがいい。なぜなら「覚悟」をもてないから。自分が選択した道はこれからいろんな困難があるだろう。それでも前に進んでいくんだと腹を決めるのが「覚悟」です。