2024-07-12

Wild Is Love / Naama

 

Naama(ナーマ、Naama Gheber)はイスラエル出身、ニューヨークで活躍するジャズシンガー。2012年にはテルアビブでジャズの声楽を学び2015年に奨学金を得てニューヨークへ。ライヴ経験を積んで、2024年本作は4作目のリリースとなっています。今回は名手ピーター・バーンスタインGを迎えての作品です。

世の中キレッキレの曲が多くそれもいいんですが、たまにはこうしてリラックスムードで音楽に浸りたくなります。正統派で歌い上げ過ぎず、ときに語りかけるようで、粋なスキャットも聴かせてくれます。ギターやバックの演奏もあくまでナーマの歌唱を支える優しい演奏。ジャズクラブでその場に居合わせたら「ん〜いい」となるでしょう。

ここはピーターのギターとの共演曲をオススメします。2.Who Am I の気だるさもいい感じです。5.From This Moment On のスイングもノリよくカッコいい。ナーマの実力を知る6.I'm Glad There Is You はデュエットで落ち着いた曲。どれも2分〜4分程度の作品なので無理なく、しかもハイレゾで楽しめるアルバムです。

2024-07-09

ジャズ・ロックその3

 

前回、ジャズ・ロックへの扉をジェフ・ベックが開いてくれたことを書きましたが、もうひとりいます。エドワード・ヴァン・ヘイレン(エディ)です。「僕が両手で押さえることを、彼は片手でやってしまう」的なことを言わしめたスーパーギタリスト、アラン・ホールズワースを世界中に紹介してくれたのです。ギター雑誌でも盛んに取り上げられていたのがアルバム「Road Games」でした。

フレーズが特異すぎて何を弾いているのかわからないけれど、ものすごく速くて滑らか。のちのちエディが影響を受けていることがわかってきました。僕もすっかりはまって彼のアルバムを全部手に入れてしまいました。

エディからはもうひとつ。インタビューで「最近何か他人の曲を聴いたか」との問いに「ブランドXがすごかった」的に答えていました。調べるとフィル・コリンズがドラムスとして在籍した時期もあるバンドでした。ポップ期のジェネシスや“恋はあせらず”のイメージからはかけ離れた凄腕ドラミングぶり。レコード屋に行ってブランドXの輸入盤LPを探して集めたのが懐かしい。

ここでもジョン・グッドソールGがこれまた凄腕ですが、気に入ったのはパーシー・ジョーンズのベースでした。当時も今もフレットレスベースの音が大好きで彼のフレーズは本当にカッコいい。

ジャズ・ロックはギタリストが凄いことはもちろん、ベーシストやドラマーがこれまたとんでもない演奏力であったことがギター少年には多いに響いたのです。アラン・ホールズワース関連を集めれば、トニー・ウィリアムスDrやビル・ブルーフォードDrのアルバムにも行き着いて、ジャズやプログレにつながっていったというわけです。

2024-07-05

Soul Jazz (feat.Vincent Herring) / Something Else!

 

アメリカのアルトサックス奏者、Vincent Herring(ヴィンセント・ハーリング)によるプロジェクト“Something Else!”の2024年デビュー作。僕の大好きなSMOKE Sessionsからのリリースで今回も熱い演奏を届けてくれました。メンバーにはウェイン・エスコフェリーTSをはじめジェレミー・ペルトTP、ポール・ボレンバックG、デヴィッド・キコスキーP、エシエット・エシエットB、オーティス・ブラウン三世Drという名手たちの共演となっています。

アート・ブレイキーやホレス・シルヴァーたちのハードバップ〜ファンキージャズは、さあ今日もがんばって仕事しましょ、ってときの音楽にぴったりで、元気が出るし緊張を和らげて余裕も生まれるというプレイリストに欠かせない存在です。もちろん仕事が終わったあとの“ぷはーっ”にも最適。ほぐされます。今作はいいとこ取りで、録音も選曲、選フレーズも最高の一枚となっています。

1.Filthy McNasty で気持ちをアゲていきましょう。各パートのソロも短めに小気味よく進んでいきます。なかには4.The Chicken なんてファンク定番曲やハービーの5.Driftin' も。いぇー!ってなりますね。6.Slow Drag なんて絶妙な気怠さで、さすがベテランの演奏。おなじみコルトレーンの8.Naima ではソウルフルなベースラインで気持ちよいアレンジ。ギターの音もいい。思わず体が動いてしまうそんな“ソウルジャズ”アルバムです。

2024-07-02

ジャズ・ロックその2

 

僕のようなギター少年にとってジェフ・ベックは特別な存在でした。ギター雑誌では「Blow by Blow」(1975年、邦題:ギター殺人者の凱旋)の“Scatterbrain”や“Cause We've Ended as Lovers”(邦題:哀しみの恋人達)のTAB譜が載っていて、エレキギターのあらゆるテクニックが盛り込まれているから、ぜひ弾いてみよと。しかし一聴して「無理」と思い、まずはスモーク・オン・ザ・ウォーターを練習することにしたのでした。

たぶん「Blow by Blow」にジャズっぽさを感じていたんだと思います。これはコード進行が容易ではないんだと。そしてジャズ・ロックを感じることになったのは、「Wired」(1976年)そして「There and Back」(1980年)を聴いてからでした。

特にキーボードを弾くヤン・ハマーがギターのようなフレーズをビシバシと掛けてきて、ジェフも凄いフレーズで呼応するという丁々発止のやりとり。痺れました。これがジャズかと。聞けばヤン・ハマーはマハヴィシュヌ・オーケストラ出身だと。

ジョン・マクラフリンG率いるマハヴィシュヌ・オーケストラとチック・コリアP&Key率いるリターン・トゥ・フォーエヴァーが、僕が思っていたジャズ・ロックバンドでした。マクラフリンのギターはジェフをさらに高速にした演奏。リターン〜にはアル・ディ・メオラが在籍していた。ここで原体験とつながったのでした。そしてマクラフリンもチックもジャズの帝王マイルス・デイヴィスのところにいたのだと。マイルス系譜恐るべし。