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2024-01-23

山下達郎

 

大学時代はギターばっかりではありましたが、普通の?大学生活もあったわけで、そんなときはいつも山下達郎を聴いていました。やはり1980年の「RIDE ON TIME」の伸びやかな声をラジオで聴いてこれぞと思い、確か大学に入った1984年頃に企画盤コンピレーションアルバムの「COME ALONG」と「COME ALONGⅡ」を購入してカセットテープに入れてウォークマンで持ち歩いていました。僕にとっては夏といえばユーミンでもサザンでもなく達郎でした。

「BOMBER」のチョッパー入りゴリゴリベースに痺れ、「SOLID SLIDER」や「PAPER DOLL」のクールなリズムにやられました。夏になると「LOVELAND, ISLAND」のCMを思い出し、バラード名曲の「潮騒」「YOUR EYES」にも浸りました。この企画盤ばかり聴いたので曲順や小林克也&竹内まりやのセリフも込みで覚えてしまいました。達郎さんの歌唱力はもちろんバックメンバーの本格的な演奏力に、歌謡曲というより洋楽らしさを感じて聴いていたのだと思います。

大学を卒業しても「僕の中の少年」(1988年)や「ARTISAN」(1991年)は社会人若かりし頃の想い出とともに、最も聴いたアルバムとして今でも愛聴しています。以降も達郎さんの作品は買い続け、昨年のライヴでも“僕はこの人の音楽とともに人生を過ごしてきたんだな”と感慨深いものがありました。娘はいま達郎さんが通った高校に通学しています。家でもよくかけるのでいくつかの曲は覚えてしまったようです。自然と受け継いでいくのかなと思います。

“昔、よく聴きました”もここで一旦終わりにしようと思います。40年以上を振り返るよい機会となりました。CD棚を眺めていて「あ、これも聴いたな」と思い出したらまた書くとします。


2024-01-19

LOUDNESS

 

LOUDNESS(ラウドネス)こそ日本のハードロック&ヘヴィメタルを代表するバンドであり、ギターの高崎晃さんは大学時代の僕のアイドルでした。日本のミュージシャンで、リッチーランディエディに匹敵することができるのは高崎晃さん唯一人と信じていました。大学2年〜3年では今で言うトリビュートバンドを組んで彼らの曲ばかり演奏していました。目黒の鹿鳴館とかで大盛り上がりで楽しかったなぁと。

当時の超絶ギタリストはギターソロのみの曲をアルバムに入れていましたが、1984年「DISILLUSION ~撃剣霊化~」の5.EXPLODER をレコードショップで聴き、その場で固まってしまいました。彼のギターの魅力はまずフルピッキング。エッヂのたった歪音に、頻繁に切り替わるフロント/リアのピックアップトーン、激しいアーミング、一筋縄ではないタッピングとあらゆるギターテクを盛り込んだスーパープレイ。影響を受けた外国人ギタリストも数多いでしょう。

バンドとしても演奏して爆上がりする曲が多く、1.CRAZY DOCTOR 、6.DREAM FANTASY〈夢・FANTASY〉 、7.MILKY WAYなど、これまた何回弾いたかわからない曲ばかり。そして1985年の海外進出作「THUNDER IN THE EAST」でさらに高みに。海外で人気があったのは3.HEAVY CHAINS と聞きます。全曲にわたって完成度高く、すべての曲をずっと口ずさむことができるくらいです。今でも2.LIKE HELL 、4.GET AWAY 、7.CLOCKWORK TOY 、9.THE LINES ARE DOWN といったスピードナンバーを連聴すれば気分がアガります。

2024-01-16

Van Halen

 

エドワード・ヴァン・ヘイレンは、僕にとってはギターのみならず生き方にまで影響を与えてくれた人です。ヤングギター誌に掲載される奏法はもちろんインタビュー記事を何度も読み返したりして、音楽や人生を楽しむ考え方を教えてくれたものです。リッチー・ブラックモアをバッハとするならば、エディーはモーツァルトとでもいいましょうか。ギター少年にとって太陽のような存在でした。

ギターソロが衝撃的なことは言うまでもなく、彼のバッキングにおけるリズム感の凄さは多くのギター少年が語るところです。独特のピッキングスタイルから生まれていると思われ、誰一人真似のできない領域です。もうひとつはギターの改造です。原型を再構築してごちゃごちゃにも見えるギターの写真を眺めては、その造形を美しいとさえ思わせ、エレキギターを弾く楽しみを倍増させました。

1982年の「Diver Down」での3.Cathedral や8.Little Guitars (Intro) は“どうやって弾いているの”と話題になりました。バッキングでは2.Hang 'Em High を聴けばブッ飛びます。1984年を象徴する「1984」は、MTV全盛期とあいまって2.Jump 、3.Panama 、6.Hot for Teacher を何度観たことでしょう。ほかの曲も驚嘆するギタープレイの連続ですが、個人的には8.Girl Gone Bad の超絶ユニゾンと難関リズム曲がヴァン・ヘイレンというバンドとしての完成度を示していると絶賛します。

2024-01-12

TOTO

 

TOTO(トト)は1978年1stに入っている「Hold the Line」「Georgy Porgy」をラジオで聴いたところから始まります。歪んだギターのハードロックかと思いきや、おしゃれで大人なサウンドでヒット曲の中でも彼らの曲は好きでした。名盤とされる1982年4thアルバムの発表とともにNHKでライヴ番組があって食い入るように観た覚えがあります。

大学1年のときに加入した先輩のバンドでTOTOやジャーニーの曲を演奏することになり、ハードロック好きの僕としては、2nd「Hydra」(1979年)3rd「Turn Back」(1981年)からの曲をやりたいと申し出ました。選曲した7.White Sister と5.Goodbye Elenore は、演奏できていたとは言えませんが想い出深い曲として今でもよく聴いています。この2曲でのジェフ・ポーカロのドラムスは本当に最高です。

ジェフが生きていた時代のアルバムはどれもよく聴きましたが、リズムや曲構成が凝っていてプログレを意識したこの2ndと3rdは特に好きです。スティーヴ・ルカサーのギターはさすがのスタジオミュージシャン出身で、ジャズを思わせる速弾きフレージングや振幅の大きいチョーキング・ビブラートが好きです。ちなみに彼ら得意のバラードでは4thの「I Won't Hold You Back」が想い出のつまった曲として欠かせません。

2024-01-09

Queen

 

Queen(クイーン)は1980年のアルバム「The Game」からでした。シングルヒットの1.Play the Game や3.Another One Bites the Dust 、5.Crazy Little Thing Called Love 、10.Save Me をラジオで聴いて、ミュージックライフの記事を読んで、奇跡のような4人のメンバーによる奇跡のような音楽に魅了され何度も何度も聴きました。

高校時代、バイオリンを弾く友人がクイーンの大ファンで、同じくファンのベース弾きと楽器持参で友人宅に集まり、曲をかけながら弾きまくって、最後に手作り餃子をたらふくご馳走になるという、楽しくてしかたがないイベントを数回やりました。そこで主にかけていたのは79年の「Live Killers」でした。僕はそのハードロックぶりにすっかり心酔してますますファンになったのでした。さらに大学に入ってクイーンとロジャー・テイラーを愛してやまない先輩ドラマーに出会い、ともに40年以上かけがえのない存在となっています。

ブライアン・メイのギターといえば、ディスク2-3.Brighton Rock でしょう。途中ソロコーナーでの津軽三味線のようなリズムやエコーマシンを使ったハーモニーなどかなり独特です。バッキングも含めて、あのギターからしか出ない特徴あるサウンドなので、普通のエレキギターでは再現できません。だからこそクイーンというバンドの一部として大きな魅力となっているのでしょう。

2024-01-05

Iron Maiden

 

1980年「鋼鉄の処女(Iron Maiden)」の1曲目Prowler をラジオで聴き、ほかのバンドと違う“勢い”を感じました。続く1981年「キラーズ(Killers)」でアンセム1.The Ides Of March からの2.Wrathchild を聴き、これってパンク?と思うほど衝撃的で扇動的なサウンドに病みつきになってしまいました。そして彼らの曲をかけるたびに弾き始めたばかりのエレキギターを掻きむしっていました。展開の多い彼らの曲でも合わせて口ずさむくらいに覚えています。

メタルファンであれば“NWOBHM”が何であるかはわかると思います。高校時代の当時、彼らアイアン・メイデンやジューダス・プリースト、デフ・レパード、サクソン、AC/DCが出演するフィルムコンサート(大ホールでライヴヴィデオを大音量で観るイベント)を数回観に行きました。司会の伊藤政則氏らが紹介してくれました。そしてミュージックライフやヤングギターというシンコーミュージックの雑誌は僕らのバイブルでした。

アイアン・メイデンのヴォーカルといえば元サムソンのブルース・ブルース、現ブルース・ディッキンソンですが、上記のように僕は初代ポール・ディアノのヴォーカルが好きでこの1作目2作目には思い入れがあります。リーダーであり物凄いベースのスティーヴ・ハリスはもちろん手数の多いドラムスの故クライヴ・バーのプレイも好きでした。そしてジューダス同様ツインギターのハモリとソロ。そして泣く子も黙るジャケットのアートワーク。メタルの原点ここにありです。

2024-01-02

Ozzy Osbourne & Randy Rhoads

 

当時FMラジオで渋谷陽一さんの番組をエアチェックして「なんだこの荘厳な曲は」「そしてなんだこの劇的かつ速弾きなギターは」と思ったのがOzzy Osbourne(オジー・オズボーン)1980年のアルバム「Blizzard of Ozz」に収められている6.Mr. Crowley でした。そして1982年に飛行機事故で亡くなるギタリスト、Randy Rhoads(ランディー・ローズ)との出会いでした。以来命日である3月19日はランディーのギターを聴く日として40年続けています。

たった2枚のスタジオアルバムを残したランディーのギターについて、語り尽くせぬ人は多いと思います。彼のあの体とギターの組み合わせでないと出ないサウンド。耳と心に残るリフとソロ。クラシックギターを勉強していた彼らしいバッキングでのアルペジオ。ソロ小曲4.Dee では心で涙します。ランディーのファンは世界中にいると思いますが、ギターソロでのそのマイナーなメロディーラインは多くの日本人の琴線に触れるものだと思います。

オジーの歴代ギターとしては、代打のブラッド・ギルス(ナイト・レンジャー)、ジェイク・E・リーの2枚、ザック・ワイルド期も大好きです。あまり話題にならないジェイクの天才的ギターはランディーの功績を見事に受け継ぎ、さらに高めていると僕は思います。そして彼らに影響を与えるのは、たとえば1981年のアルバム「Diary of a Madman」での2.Flying High Again や8.タイトル曲という、他に類を見ないランディーのギタープレイがあってこそと思っています。

2023-12-29

Rainbow

 

高校時代、中古のストラトキャスター(フェルナンデス)を手に入れた僕のアイドルはリッチー・ブラックモアでした。Rainbow(レインボー)を知ったのはやはりFMラジオでヒット曲「アイ・サレンダー」を聴いたのがきっかけ。1981年のアルバム「Difficult To Cure」の1曲目でした。当時よく読んでいたミュージックライフにもリッチーに関する記事は載っていたので、元ディープ・パープルの伝説のギタリストであり、白いストラトキャスターを弾く写真にカリスマ性を感じました。

LPレコードを買うのもやっとの小遣いでレインボーの2枚組ベスト盤を手に入れ、カセットにダビングして何度も聴きました。このベスト盤にはVo.がロニー・ジェイムス・ディオ期、グラハム・ボネット期の曲が入っていて、僕がレインボーでNo.1と思っている「Kill The King」や初めてギターをコピー弾きした「All Night Long」があります。のちにお年玉すべてを握りしめて秋葉原の石丸電気にてレインボーのLPレコードをコンプリートし、リッチーのポスターを手に入れ部屋に貼っていました。

1982年のアルバム「Straight Between The Eyes」発売後に武道館にライヴを観に行き、リッチーが登場したとき鳥肌が立ちまくったのを覚えています。同じ空間にあのリッチーがギターを弾きまくっているなんて。ポップになったといわれるジョー・リン・ターナー期でありますが、曲はどれも秀逸でリッチーのポップ性も垣間見ることができ、ちゃんとパープル時代のファンも満足させ、ギターもハードに弾きまくっています。ラージヘッド、スキャロップドフィンガーボード、センターピックアップ下げ、シンクロナイズドトレモロ浮かせ、トレモロアーム長太などリッチーのギターについてはまたいつか。

2023-12-26

Cheap Trick

 

多くの人は15歳〜17歳くらいに聴いた音楽を一生聴き続けると聞いたことがありますが、ほんとにそうだなぁと思います。1980年は15歳でしたから中3。FMラジオで“ダイヤトーン・ポップスベストテン”をエアチェックしていた頃です。ラジカセはAIWAのCS-80でした。僕の耳をとらえたのはCheap Trick(チープ・トリック)のロビン・ザンダー(当時はサンダーと言っていた)の声でした。

曲はアルバム「Dream Police」(1979年発売)の1曲目タイトル曲。キャッチーなメロディと自在なヴォーカルに魅了されました。FM誌を読むとなんともカッコいいヴォーカルとベース。対照的にひょうきんなギターとドラムス。当時流行りのツートーン。次いでヒット曲6.Voices の美メロにまたやられてしまった。

僕にとってのビートルズはチープ・トリックであり、のちにロイ・オービソンを聴いたりして似たものを感じてやっぱり彼らのメロディとサウンドが好きなんだなと。ギター大好きのリック・ニールセンも大好きです。1980年発売の「All Shook Up」も聴いた聴いた。1.Stop This Game は歌詞も覚えたくらい。チープ・トリックこそ僕が最初にのめりこんだ洋楽であり、ハードロックの入り口であり、のちにギター少年となる布石バンドだったのです。

2023-12-22

Phoenix / Dirty Loops

 

Dirty Loops(ダーティ・ループス)はスウェーデンの3人組バンド。近所のオーディオショップで知ってから、彼らの驚愕の演奏力をYouTubeで観漁りました。デヴィッド・フォスターやクインシー・ジョーンズが目をつけただけあって、物凄い才能だと思います。演奏力、歌唱力、作曲、編曲どれをとってもすでに一流で、多くの人を惹きつけています。2020年の本作は小出しに発表していた楽曲をアルバムにしたものです。

僕だけでなく家族でファンになって、2022年のビルボード東京のライヴも見に行きました。素晴らしい演奏に加えて、サービス精神旺盛で優しそうなお兄さんたちでした。カシオペアやパット・メセニーが大好きというのも頷ける曲があったりして親近感もあります。そして2023年の今、新しい曲が出ないかぁなと心待ちにしています。

1.Rock You から激速のスネア連打&タム回しとチョッパーバリバリで始まります。ヒットの匂いプンプンのメロディと歌で、あぁこりゃスゴいわと感服。2.Work Shit Out もグイグイ来ます。曲の展開がカッコいいいい。5.Breakdown を聴けばマイケルを連想したりして、そりゃクインシーが惚れるわけだわと納得。6.Old Armando Had A Farm 、7.Bitten By The Kitten 、8.Coffee Break Is Over と連発で、着いて来られるかとばかりのベースとドラムスとのキメが凄まじい。20年代始まりに新星が現れて音楽ファンとしても嬉しかったのです。

2023-12-19

The Secret Between The Shadow And The Soul / Branford Marsalis Quartet

 

Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)のカルテットは2008年作「Metamorphosen」で頂点を極め誰も追いつけない領域に入りました。長年活動をともにしてきたドラムスのジェフ・テイン・ワッツが抜けて、新たに二十歳前のジャスティン・フォークナーを迎えて録音した3枚目が2019年の本作です。ジェフに負けないほどのアグレッシブなドラムスでこの最高峰のカルテットを支えています。

この頃は僕自身ジャズクラブを経営したりして公私共にジャズ漬けでありました。聴く音楽もジャズ以外はあまり受け付けない体になっていました。グラスパー以外で、骨のある“今”のジャズを聴こうと思ったらブランフォードの作品になっていました。媚びない太いサックス、アコースティック楽器としてフルに鳴らし切るピアノ、ベース、ドラムス。やっぱりこういうジャズがいいなぁと率直に思ったものです。

地鳴りのようなベースで始まる1.Dance of the Evil Toys でそれが証明されます。一筋縄ではいかない旋律、フリーな演奏。熟練した者だけが出せるサウンドです。そして2.Conversation Among the Ruins でのソプラノで得意の哀愁を聴かせてくれます。4.Cianna のラテンがまた大人の音楽といった雰囲気でちょっとダンスしたくなります。5.Nilaste ではカルテットの本領発揮とばかりに、これでもかのアグレッシブな演奏を聴くことができます。

2023-12-15

Collagically Speaking / R+R=Now

 

R+R=Nowとは、ピアノ&キーボードにロバート・グラスパー、サックス&ヴォコーダーにテラス・マーティン、トランペットにクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー、ベースにデリック・ホッジ、キーボードにテイラー・マクファーリン、ドラムスにジャスティン・タイソンという新しいジャズをリードする豪華メンバーのバンド。本作は2018年にブルーノート・レコードからリリースしたアルバムです。

ひとりひとりが単独で強力なオリジナリティを持っている彼らが、おそらくセッションのような肩に力を入れない和やかな雰囲気で作り上げた作品だと思います。ヒップホップやアンビエントのエッセンスを入れながらジャムっているうちに出来ちゃいましたという感じ。グラスパーをずっと聴いてきた僕としても、彼のエラそうにしない態度を感じながら互いのフィードバックを重んじるサウンドの集大成かつ象徴的なアルバムだと感じました。

セッションのようにして始まる1.Change Of Tone からリラックスして聴くことができます。ジャスティンの自在なドラムスがスゴいです。4.Resting Warrior ではデリックのカッコいいベースラインから新しいフュージョンサウンドを奏でていて、アルバム中のお気に入り曲です。10.Respond もジャズティンとデリックのリズム隊がカッコいい曲です。

2023-12-12

Rebirth / Billy Childs

 

アメリカのジャズピアニスト、Billy Childs(ビリー・チャイルズ)の2017年作。翌年のグラミー賞で「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム」を受賞した作品でもあります。ドラムスに僕の大好きなエリック・ハーランド、アルト&ソプラノサックスにスティーヴ・ウィルソンを迎えて、一聴してこれは「買い」だと思わせるアルバムでした。そしてこの年最も聴いたアルバムとなり、以降もスカッとジャズを聴きたいときはこのアルバムを手にしています。

実はビリー・チャイルズを聴いたのは本アルバムが最初でした。端正で粒立ちのよい音からクラシック音楽のテイストも感じます。そこにJ・J・ジョンソン、フレディ・ハバードといった巨匠に若かりし頃鍛え上げられたジャズ魂が合わさって彼独特のサウンドを産んでいます。最初の6曲はビリーのオリジナルとのことで作曲にもセンスが光っています。

1.Backwards Bop から勢いよくエリックのドラムスが叩きまくっています。この硬いスネアの音がたまりません。キメッキメのカッコいい曲です。2.Rebirth はパット・メセニー・グループの名曲「First Circle」を思わる鳥肌な曲です。ソプラノサックスと女性スキャットヴォーカルが気分を最高にしてくれます。4.Dance of Shiva もエリックの変拍子ドラムスが光るスリリングな曲で圧倒的な演奏力を聴かせてくれます。

2023-12-08

The Unity Sessions / Pat Metheny

 

Pat Metheny(パット・メセニー)の2016年作。パット・メセニー・グループの作品はどれも大好きで本当によく聴きましたが、盟友ライル・メイズの体調もあって残念ながらグループの再活動はなくなっていました。そしてうれしいことに新たなバンドを組んで、アコースティックな2012年「Unity Band」を発表。さらにエレクトリックなUnity Groupによる2014年「Kin (<-->)」を発表し、この作品はそのスタジオ・ライヴを収録したものです。

本作はDVD(Blu-ray)も出ているので映像でもわかりますが、自動演奏装置“オーケストリオン”の縮小版も一緒に演奏しています。グループで編成が多いのに加えて、どれだけ準備に時間がかかるのだろうとスタッフの大変さを想像してしまいます。そして繰り広げられる演奏は、想像を絶する圧倒的なものでした。ジャズを超え、ギターを中心とする音楽でこれほどの高みに達してしまったのはメセニーをおいて他にないでしょう。

1.Adagia のアコースティックギターによる美しいメロディでセッションは始まります。そしてあの「First Circle」のUnity版ともいえる2.Sign of the Season に気持ちが高まるとともにこのグループの凄さを知ることになります。メセニー・グループとの大きな違いはサックス(クリス・ポッター)ですね。彼により全く違った雰囲気になります。このあとも息を呑む演奏がアルバム全体で繰り広げられます。そしてメセニー・ファンにとっては8.Medley がなんとも嬉しいアコースティックソロですね。

2023-12-05

Life Between The Notes / Bluey

 

イギリスのジャズ・ファンクユニット、インコグニートのリーダー、Bluey(ジャン・ポール・'ブルーイ'・モーニック)の2015年ソロ作。インコグニートが1979年結成ですから、40年以上も活躍しているアーティストです。ブルーノート東京など日本にもよく来日しているのでファンも多いと思います。ブリティッシュらしいジャズ&ソウル、時にフュージョンとして好んでよく聴きました。

このソロアルバムを聴いていた頃、ミュージックレストランをやっていたり、ジャズクラブも始めようとしていたりとすっかりハコ&飲食を仕事としていて、そのスペースで奏でられる音楽のイメージとしてこのアルバムのイメージを持っていました。都会の大人が集う場所にふさわしい音楽といった感じかなと。実際やってみるとそれどころではなかったりしますが...。

象徴的なテーマとなるのは2.Life Between The Notes です。ストリングス、印象的なベースライン、ミュートのギター、いかにもという曲ですが、やっぱりカッコいい。3.Hold On はアンダーグラウンドなハウスを想起させる、このアルバムで一番好きな曲。部屋でかけていて気持ちの良い6.I've Got A Weakness For Your Love 、8.Colombus Avenue もオススメです。他の曲も、あぁインコグニートだぁなサウンドですが、やっぱりいいんですよ。

2023-12-01

Rising Son / 黒田卓也

 

2014年の本作で、日本人として初めてブルーノート・レコードと契約したジャズトランペッターの黒田卓也。ホセ・ジェイムズの「Blackmagic」に参加したことがきっかけで、ホセのプロデュースによって本作は制作されました。当時のブルーノートは、次々に新しい才能による新譜を発表していて勢いがありました。黒田さんは以降も日本のジャズのみならず音楽界で活躍しているのを目に耳にしています。

本作をダウンロードして聴いたとき「うわ!スゴいカッコいいサウンド」と思わず声をあげて、友人のジャズ好きに話をしたら彼も聴いていて盛り上がったのを覚えています。日本人ミュージシャンでこんなにカッコいいサウンドを作れる人がいるんだと興奮したものです。グラスパー全盛の時代であったものの、呼応するように日本人スピリットを感じるような乾いた音、鋭いリズムで強いオリジナリティのある作品です。

1.Rising Son はSunではなく、Sonですからホセの愛情なのかもしれません。レガートなベースラインと残響の少ない音がマッチしてクールな曲から始まります。アフロなリズムの2.Afro Blues も抑制の効いたトランペットがとにかくカッコいい。ロイ・エアーズのカヴァー5.Everybody Loves the Sunshine ではホセのヴォーカルが入ってソウルでグルーヴィな曲。8.Call のミュートトランペットとローズピアノが漂う感じも都会の風景にマッチして好きな曲です。

2023-11-28

Liquid Spirit / Gregory Porter

 

Gregory Porter(グレゴリー・ポーター)はアメリカのシンガーソングライター。3rdアルバムである本作と次作「Take Me to the Alley」はベストジャズボーカルアルバム部門のグラミー賞を受賞しています。2013年は僕にとって豊作の年であり、その中で最も聴いたのはどれかと言えばこの作品になります。その深くて豊かなバリトンヴォイスに魅了され、YouTubeでその風貌をみて関心を持ち、1st&2ndもすぐに購入した次第です。

声質や歌い方も僕好みであったのですが、アルバム全般を通してとにかく楽曲がいい。そして音質が良い。何度も何度も聴きましたがまったく飽きることがなく、1曲1曲を味わって聴いていました。その音質の良さからスピーカーやヘッドフォンを試すときにも必ずかけていました。結局聴き入ってしまって、音質を評価できないのが難点でしたが。その後も何枚かリリースしていますが、気に入っているのはこの3rdアルバムです。

これまた全曲オススメのアルバムですが、聴かせるバラードをピックアップします。4.Water Under Bridges 、7.Wolfcry 、13.When Love Was King 、14.I Fall In Love Too Easily を聴いてみてください。バリトンヴォイスっていいなと思います。あまりに家でかけまくっていたこともありますが、幼い娘でさえ口ずさむほど印象的なメロディです。敢えて印象的な曲をひとつだけ、8.Free クセになるリズムとパンチのあるヴォーカル曲です。

2023-11-24

Live in Nyc / Gretchen Parlato

 

Gretchen Parlato(グレッチェン・パーラト)はアメリカのジャズヴォーカリスト。リオーネル・ルエケとの2023年作品「Lean In」でも取り上げました。彼女を知るきっかけとなったのが2013年のこのライヴCDです。DVDとセットになっていて映像でもニューヨークの小さめのハコでの演奏を楽しむことができます。ジャズクラブを経営していたときにこんな雰囲気を醸すことができたら素敵だなと思っていました。

参加メンバーとしてドラムスに旦那さんのマーク・ジュリアナケンドリック・スコットの叩く姿を観られるのがうれしい。彼らが創造的で繊細なビートを刻むのかがよくわかります。音質もとても生々しくて近距離で叩いているかのよう。そこにグレッチェン独特の歌が繰り広げられて幻想的な世界を描いていきます。2013年当時のニューヨークを象徴するサウンドがそこにあると感じることができます。

ハービー・ハンコックの1.Butterfly でのグレッチェンのスキャットと手拍子ですぐに世界に惹き込まれ、そのあとずっと続きます。ベースやドラムスが入ってきてこの音が当時グラスパーを始め新しいジャズの音なんだと知ります。2.All That I Can Say ではケンドリックの重くて引っ掛かるリズムが印象的。シンプリー・レッドの5.Holding Back the Years では新しいジャズによるカヴァーになっていてイイ雰囲気です。そして幻想的でゆったりとしたオリジナル9.Better Than で本ステージ終演となります。

2023-11-21

Conviction / Kendrick Scott Oracle

 

Kendrick Scott(ケンドリック・スコット)はアメリカのジャズドラマーであり作曲家。デビュー時は同世代のロバート・グラスパーらと共演するなど新時代ジャズ界隈のドラマーで、2013年メジャーデビューとなる本作はKendrick Scott Oracle名義でのリーダー3作目。パット・メセニーGやテレンス・ブランチャードTpなどとの共演経験もあり、山中千尋さんのアルバムにも参加していたりします。

デリック・ホッジのアルバム同様、2013年に開業したパン屋の往復に最も聴いた作品のひとつで、聴いていると当時が蘇ります。グラスパーを始め新しいジャズの潮流に魅力を感じていたことと凄いジャズドラマーが次々に現れていたことが重なって、新譜を聴くのが楽しかった時期でした。新譜とは言ってもCDではなくiTunesでのダウンロードでしたが。

1.Pendulum の語りのあとから勢いのあるジャズドラムが展開され、後半になると壮絶になります。アラン・ハンプトンの印象的なヴォーカルで始まる2.Too Much はアルバムの中でもイチオシのポップな曲。マイク・モレノのギターが印象的です。タイトル曲7.Conviction でもケンドリックの超絶ドラムスを聴くことができます。10.Be Water で独白しているのは敬愛するブルース・リーだそう。

2023-11-17

Live Today / Derrick Hodge

 

Derrick Hodge(デリック・ホッジ)は、アメリカのミュージシャンでベーシスト。活動家でもあります。ロバート・グラスパー・エクスペリメントの「Black Radio」でもベースを弾いています。2013年の本作はブルーノートから発売された初リーダー作。すでにネオソウルを始めとする名だたるミュージシャンとの経験もあり、作品は豊かなバックグラウンドを想像させるものになっています。

2013年といえば個人的にはパン屋を始めた年でもあり、往復2時間の毎日でヘッドフォンでありながら様々な音楽をどっぷり聴くことができました。このアルバムはそんな中よく聴いた作品で、聴くと当時の風景や匂いが思い起こされるほどになっています。デリックの太いベース音が少しの高揚感と癒やしをもたらして、多様な楽曲とともによい時間を過ごすことができました。

ベースのハーモニックスで始まる1.The Real からいかにもデリック唯一無二の音になっています。3.Message of Hope も印象的なメロディーをベースで奏でて、一筋縄でいかないリズムとともに新しいジャズを提示しています。4.Boro March でいきなり超絶ユニゾンから太いベースラインに移るところがカッコいい。このアルバムでも好きな曲です。コモンが参加した5.Live Today はもはやヒップホップの名曲といえるでしょう。時代を超えて色褪せない作品になっています。