2024-09-27

50 / Herb Alpert

 

Herb Alpert(ハーブ・アルパート)はアメリカのトランペッター&音楽プロデューサー。御年89歳。A&Mレコード創業者で“A”は彼の名前から。“ヴォーカル曲とインストゥルメンタル曲の両方で、ビルボード誌全米シングル・チャートNo.1を獲得した唯一の人物”だそうです。2024年新作は通算50作目、奥様との結婚50年アニバーサリーでこの題名に。

僕の世代にとっては、なんといっても「オールナイトニッポン」のテーマ曲「Bittersweet Samba」の人です。新作を聴くと深めのエコーのトランペットが、やはりなんとも昭和郷愁を感じさせて、ほんわか&ウキウキします。この感じを出せるのは彼しかいないのではと思うとオリジナリティに満ちた人だなと感じます。

2.Sh-Boom はドゥーワップ・クラシックだそうですが、これまたラジオ番組が始まりそうです。すごくいい感じ。3.Are You Lonesome Tonight? はプレスリーの曲。泣かせます。これ聴いて夕日を見たらたまりません。4.Baubles, Bangles And Beads も有名曲とのことですが軽快で小躍りしたくなるアレンジ。一貫性がありながら、飽きることのない音作りで楽しませてくれるアルバムです。

2024-09-24

「趣味は?」って聞かないらしい

 

YouTubeで「【解説】驚きの報道!趣味「音楽鑑賞」が絶滅寸前!?」なるタイトルが目に入り見てしまいました。詳細はリンクから動画を見てていただくとして、女子高生の親として「言えているなぁ」と思う部分がありました。

若者(に限った話ではないかも)は「趣味は?」と聞かれて「音楽鑑賞」と答えない傾向であると。音楽を友達と話すことはない、年長者に「何聴いている?」と聞かれて答えると「なにそれ?」って言われたりして面倒くさい、サブスク有料は月1000円もかかると。コミュニケーションツールにならないし、コスパ悪い、んだそうです。

初対面で「趣味は?」と聞かれることもほとんどない世の中だそうですが、勝手に“こんな人”とイメージ付けされるリスクを嫌がるのかもしれません。「そんなの聴いているの?」はNGワードです。これもコスパにつながる話ですが。

一方で、「特定のアーティストは聴く」んです。つまり“推し”ですね。それを積極的に人に言うかというとそうでもない。これは個人的意見ですが、そのアーティストのライヴに行くとファンだけが集まるので、大袈裟に言うと価値観が合った人と会えてうれしい、的なことはあるのかなと思います。

娘の話から友達と音楽の話で盛り上がった話は聞いたことないですし、自分がイヤホンで聴いている音楽を人に話したような感じはありません。たぶん趣味は?と聞かれて“音楽”とは言わないでしょう。かといって、オタクなほど探求しているものはあるんです。でも友達に言うわけではない。

若者の全員が全員そういうわけではないですし、音楽ビジネス市場規模は伸びているのだからこれでいいのではとも思います。娘の世代がどんな傾向にあるのかは知ったうえで、オジサンの考えを若者に押し付けることなく、僕は僕で我が道を行く、というのが答えのようです。


2024-09-20

Alone / Wayne Escoffery

 

Wayne Escoffery(ウェイン・エスコフェリー)の2024年新作も、SMOKE Sessionsから。僕のブログでは2度目の登場です。ニューヨークのテナーサックス奏者。ジェラルド・クレイトンP、ロン・カーターB、カール・アレンDrのワンホーンカルテットです。なんでも休暇中に指を骨折したりして孤独な時間を過ごしているうちに構想したアルバムだそうです。

夜にひとりで聴くにふさわしい、内省的で哀愁ただようサックスです。手数も少なめで音色がしっかりと伝わってきます。個人的にはデクスター・ゴードン(僕が所有している数枚のアルバムは2曲目がいつもバラード)を思わせるバラード集です。

1.Moments with You 1曲目からソファに身を預けてゆったりモードです。あぁいい時間が始まったなと。ピアノの音の美しさが光る4.The Ice Queen はウェインの個性的なオリジナル。心の移り変わりを味わいます。映画「いそしぎ」の5.The Shadow of Your Smile も深いアレンジ。ゆっくりと語りかけるようなサックスに酔いしれます。SMOKEの高音質録音をハイレゾで堪能できます。

2024-09-17

「ローレル・キャニオン」を観て

 

Amazonプライムビデオで「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」を観ました。ほかにもクロスビー、スティルス、ナッシュ(&ヤング)やリンダ・ロンシュタットのドキュメンタリーも観ました。ママス&パパス、バッファロー・スプリングフィールド、ザ・バーズ、ザ・ドアーズ、ジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウン、イーグルスといったアメリカンフォーク〜ロックの面々が登場。

僕は80年代が高校大学でしたから、当時ここらへんはほとんど聴いていませんでした。ヒッピーとかサイケとか言っても思い浮かぶのはジミヘンくらいで、聴くのはアメリカよりもイギリス方面ばかりだったと思います。

65年〜75年くらいの洋楽なので、10歳〜15歳くらい年上の先輩方は知っていて当然の音楽かもしれません。ところが僕自身1年前にボニー・レイットを気に入ってから周辺に興味が湧いたのでした。

ロサンゼルスのローレル・キャニオンという地域にミュージシャンたちが集まる自然発生的なコミュニティ。彼らの交流が新たな楽曲を生み、やがて大ヒットに。そして事件や精神的支柱だったママス〜のキャスの死などで終わっていく。

音楽が手元にあって、楽曲や歌声の良さを純粋に競っていた時代。CSNのハーモニーやジョニ・ミッチェルの歌声は宝石のようでもあります。そして同時にレコード会社の短期的収益やマーケティングの雲が覆い始めてきた頃なんだと思います。

ジミヘンといえばの、当時のモンタレーやウッドストックといったロックフェスで、大音量化〜スタジアムロック、ギターが延々とソロを弾くあたりで、やっと僕が聴いてきたものにつながります。イーグルスのライヴでステージからリンダ・ロンシュタットが去っていく姿が印象的でした。

“ホテル・カリフォルニア”の哀愁感もピンと来なかったくらい知らなかった時期ですが、少しわかったような気がしました。

2024-09-13

ELECTRIC RIDER / 馬場智章

 

馬場智章(ばばともあき)は日本のサックス奏者。バークリー音楽大学卒業後、ニューヨークを拠点に活動。2023年のアニメ映画「BLUE GIANT」で主人公のサックス演奏を担当していたので知っている人もいると思います。2024年本作は通算3作目で全曲オリジナルのメジャーデビュー作となります。

僕が好きなトランペット黒田卓也さんとのバンド“J-Squad”がカッコよかったこともあり注目していました。今回のアルバムもどこか通じるものがあると思いますが、キーボードのBIGYUKIさんとの共同プロデュースもあって、かなりエレクトリックに振っています。僕自身テクノやエレクトロミュージックをよく聴いていた時期があるので、こうしたサウンドに高揚するところがあります。

まずは象徴的な1.PRIME を聴いてみてください。ジャズというよりも「新しい音楽」の勢い満々です。2.Season of Harvest は黒田さんっぽさがあるファンキーな曲で好きな音です。4.Fade into you は馬場さんのサックスをじっくり堪能できるスローな曲。世界に向けたクオリティをもったミュージシャンが日本にもまだまだいるんだと感じさせてくれる作品です。

2024-09-10

MacのApple Music不具合

 

表題とは関係ないですがAppleの新製品発表がありました。AirPods関連で単体ハイレゾ対応とか予想していたのですが、ちょっとした機能向上やカラバリくらいで個人的には期待外れでした。

先週のある日、MacのApple Musicでバンド名を検索しようとしたら、いつもなら検索画面にいろんなジャンルの画像が表示されているのが、あれ?表示されていない...。バンド名を検索窓に入力しても結果が出てこない状態になりました。ちなみにこのMacは音楽専用機。極力ほかのアプリは使っていません。

「今すぐ聞く(ホーム)」、「見つける」や「ラジオ」のボタンを押しても、何も表示されない。なのにライブラリに入れた楽曲は普通に聴けます。クラウドとの接続は成立しているのでネットワークに問題なさそう。ちなみにiPhoneでのApple Musicアプリは問題なく動作しています。何度もGoogle検索して過去に同様の障害で多くの人が困っているのにどれも解決に至っていないようです。

Apple IDをサインアウト→サインイン、Macのログアウト→ログインもしたけれど回復しません。こりゃ、Macのアプリが壊れたかと思い切ってOSを再インストール。なのに問題解消せず。数時間かかって、もうあきらめ。今後はiPhoneで運用するしかないか、はぁ。

ところが2日ほど経って、Macを開けてみると、表示されているではないか。なんじゃと。原因わからずです。解決するには放置せよということなんでしょうか。Apple Musicあるあるなのかもしれません。

音楽再生もどんどんソフトウェア&クラウド頼りになっていくので、こうしたことには付き合っていくしかないのかもしれません。その点CDやレコードはシンプルでいいわ、と思ってしまいました。

2024-09-06

Let's Walk / Madeleine Peyroux

 

Madeleine Peyroux(マデリン・ペルー)はアメリカのシンガーソングライター。パリに移住してストリートミュージシャンをやっていたこともある。2024年本作は6年ぶりの10作目。ジャズをはじめ様々なジャンルの曲を彼女なりのアレンジで歌うことも多かったが、今回は全曲オリジナル。

これもジャズなのね、とノラ・ジョーンズのように言われそうですが、ルーツのひとつにジャズがあるということかな。様々な音楽から着想を得てアレンジしていくことで楽曲そのものの楽しさを味わうのがジャズとも思います。そして何より彼女の曲は楽しい。我が家でも妻に好評。自然と口ずさむような印象的な曲が詰まっています。

タイトル曲3.Let's Walk なんてまさにポップでおしゃれな曲。暑くなければ散歩したい。5.Blues for Heaven や9.Showman Dan のようなブルース曲が僕のお気に入りです。バックの演奏も小粋でしっかりした演奏。オルガンやギターの音もいい。ほかの楽曲も様々な音楽を知るベテランならではの深みを感じさせつつ、気軽に聴けるいいアルバムです。

2024-09-03

ジャズしか聴けなかった

 

最近、これ聴いています」で今年発表のジャズアルバムを紹介していたり、ジャズクラブを運営していたとかなると、さぞジャズどっぷり人なのではと思われます。実はそんなに詳しくない...。

同記事は“note.com”というサイトにも転載。清澄白河のカフェGinger.tokyoで、noteに投稿するくらい音楽めっちゃ詳しい方々とお会いすることができたのですが、そこで「ジャズ以外も聴くんですね」なんて言われたりして。

昔、よく聴いていました」も書いていたので、HR/HM出身なのはバレバレですし、我ながら雑食だなと思い返しました。そしてやっぱりギターを弾いていたことは聴く音楽にも大きく影響していると思いました。大学時代、曲を作るために、先輩の家でいろいろな音楽を聴いたのもきっかけになったかな。XTCとかヴェルヴェットとかP-Funkとか。

社会人になって、仕事がいろいろキツくなってきた30代後半くらいから、ジャズしか耳に入らなくなってきたというのが本音です。もしくはダンスミュージックかインスト。はっきりしたコード進行でなく明るくも暗くもない、気持ちがニュートラルになるような音楽しか聴けなくなりました。そうこうするうちにいつの間にかジャズどっぷり人になっていた気がします。

でもやっと解放されて、いまは再び何でも聴くようになりました。だから音楽好きな人と話しをするのは本当に楽しい。投稿を読むのも楽しい。歳をとるのも悪くないなと思っています。