2023-08-31

はじめてのボニー・レイット

 

最近ハッとさせられることがありました。ボニー・レイットの「Silver Lining」(下にリンクあります)というアルバムが驚くほどいい音だったのです。サブスクでボタンを押したとたん「なんだこれ、凄い音だ!」と声を上げてしまいました。

昔のオーディオ雑誌をめくっていたら試聴盤数枚のひとつで挙げられていたので、そういやボニー・レイットはちゃんと聴いたことがなかったなと。正直今回初めてアルバム通して聴きました。学生時代にエレキギターのカタログに青いストラトキャスターが載っているのを見て、カッコいいなと思っていたのがボニー・レイットモデルでした。女性で白人でブルースでスライドギターとのことで当時ハードロック少年だった僕には遠く。それ以来名前は知るものの聴いていなかったのです。

40年以上前から知っているのに、なんで聴いていなかったんだろうって思いました。で、サブスク活用でほかのアルバムも聴いてみると、どれもすこぶるいい音。とてもしっかりしたプロダクションなのです。ボニー・レイット姉さんのギター、むちゃくちゃカッコいいです。ブルースどっぷりというわけではなく、洗練されていて曲もいい。歌も歌声もすごくいい。と、まあこんな体験があるから音楽を聴くのは楽しいんです。あーなんで聴いていなかったんだろう。


2023-08-30

Passage / Johnathan Blake

 

Johnathan Blake(ジョナサン・ブレイク)はアメリカのジャズドラマー。前作(2021年)と同じくブルーノートからの発売となる今作。一聴してわかるように、数々のセッションをこなしてきたベテランならではの存在感のあるプレイ。ジャケット写真はおそらく父親(ジャズヴァイオリニスト)との昔の写真でしょう。

全体的な印象はアルトサックスとヴィブラフォンやシンセの優しい音色を中心とした落ち着いたサウンドになっていますが、ジョナサンのドラムスに耳を傾けると細かく的確な気持ちの良いリズムを感じることができます。左右に定位するシンバルワーク、僕好みの硬めのスネア、空気感のあるバスドラ、けっこう叩きまくっていますが適度な音量のためかずっと聴いていたい音です。

タイトル曲の2.Passage は父親のジョン・ブレイク・ジュニアが作曲したもので、モチーフを今のジャズとしてアレンジしたものでしょう。小気味良いサウンドが聴けます。続く3.Muna & Johna’s Playtime を聴くとジョナサンが多彩なリズムを叩き出すただものではないドラマーなんだと知ります。歌っているかのようなメロディが印象的な6.Tears I Cannot Hide はドラムスの師匠であるラルフ・ピーターソンの作品。


2023-08-29

Six Degrees Of Inner Turbulence / Dream Theater

 

80年代はあれほど聴いていたハードロック&ヘヴィメタルな音楽も、様々な音楽に興味をもつようになった80年代後半〜90年代はあまり聴かなくなっていました。2001年に音楽関連の会社を起業したら社員の中に「最も好きなギタリストはジョン・ペトルーシ」なんて言う人や彼らの熱烈なファンがいたりして僕もドリーム・シアターの存在を知ることになりました。名盤といわれる1992年の「イメージズ・アンド・ワーズ」はかなりの後追いで知ったわけです。

いわゆるプログレッシヴロックとヘヴィメタルを融合させて、圧倒的な演奏力でもって長尺の曲を繰り広げるさまに「おおー、これはスゴい!」と引き込まれアルバムやDVDを買い、ライヴに行きました。特に80年代に大好きだったラッシュの影響を強く受けていることや彼らのルーツのバンドへの敬意を感じられることに好感がもてたのです。

この2002年のアルバムは彼らを知って初めての新譜でした。1.The Glass Prison はプログレらしいストーリーを感じさせながらもいきなりゴリゴリのメタルで、特にG.とKey.のユニゾンは難易度超高のプレイで驚きました。往年のプログレやメタルのおいしそうな曲展開は4.The Great Debate でも聴くことができます。どちらの曲も13分超えの大作でたっぷりと。メロディアスでキャッチーな曲も多い彼らですが、ここはもうひとつプログレらしい難曲の9.The Test That Stumped Them All も変拍子ファンにオススメします。


2023-08-28

「遅刻」したくない

 

若年層に限らず、コスパ、タイパの世の中です。効率化に良い面悪い面あるのはともかく、時間のムダ使いは嫌われます。特に「遅刻」が相手や周囲に与えるストレスは大きい。なんて言っている私も遅刻したことは何回もあってその度に大変申し訳なく思います。つまり自分にとってもストレスというわけです。前のミーティングでしゃべり過ぎたり、うっかりスケジュールを忘れたり、言い訳できない理由です。

社長は出社が遅くていいとか、ミーティングに遅く出ていいなんてことは今の時代ありません。ニュースでよく見るあの、閣議に総理が最後に入ってきて全員起立して座るっていうのありますが、ああいうのが良くないと思います。むしろ総理が先に入っていて、閣僚を迎えるくらいのほうがいいんじゃないかと。だって総理はみんなに働いてもらってビジョンを実現しているんですもの。

待ち合わせ時間の10分くらい前には現地に着くようにしています。もっと早く着いて集合場所を確認したら、周囲をぐるぐる散歩したりしていることもあります。そのくらいの余裕をもっておいたほうがミーティングも落ち着いて話ができます。人によって余裕時間は違うと思いますがとにかく遅刻しないことです。

常習的に遅刻する社長や経営者に共通しているのは、結果的に利益率が低いということです。遅刻された方は「軽くみられている」と感じますし、であればこちらもほかの選択肢をと考えるわけですから、競合他社が優位に立ってしまいます。相手が取引先だけではなく、社員も同様で「社長だからしょうがない」なんて思ってくれませんよ。

2023-08-25

Down To Earth / Ozzy Osbourne

 

Ozzy Osbourne(オジー・オズボーン)の2001年発売、8枚目のスタジオアルバムです。オジーがソロになった1980年からずっと聴いています。1982年に飛行機事故でこの世を去ったランディー・ローズは僕にとって最もフェイバリットで愛するギタリストであり、オジーのソロ初期2作で弾いています。命日の3月19日は毎年ランディーの演奏を聴いて過ごします。

時は経ち、このアルバムのギターはザック・ワイルドです。ランディーへのリスペクトを感じつつギター好きにはたまらないプレイを連発するスペシャルな存在です。このアルバムをひっさげて来日した武道館のライヴも堪能しました。そのライヴ音源&DVDは翌2002年に発表されたので追体験できます。

ビートルズ大好きのオジーですから3.Dreamer のようなバラードは大得意でいい曲です。ですがギター好きの僕としてはザックのリフがカッコいい曲をリコメンドします。大人しく始まった曲が爆音に変わる1.Gets Me Through 、ザクザクゴリゴリな5.That I Never Had 、そして最も好きな曲は7.Junkie でヘヴィなリフとリズムがたまらないっす。


2023-08-24

昔のCD vs リマスターCD

 

CDやサブスクの楽曲を探していると「remaster(リマスター)」ヴァージョンと書かれたアルバムや楽曲に出会います。特に80年代以前つまりレコード時代のものに多い。レコードやCDの原盤を作る最終段階でマスタリング(曲の音量レベルや音質、音圧調整などを行う)という工程がありますが、その工程を再度やり直して改善を目指すことをリマスターと言っています。

昔よく聴いたアルバムでもリマスターが発売されると「聴いてみたい」とつい買ってしまうので同じアルバムでも複数枚存在することになります。そして実際聴いてみると「おおっ音が大きくなった」「楽器の音がはっきりした」「こんなカッコいい曲だったのか」なんてこともあって「あー買ってよかった」と納得したりします。持っているCDで音がイマイチと思っているアルバムはリマスターが出ていないかネット検索したりして。

気持ちよくリマスターを聴いているんですが、思い立って昔のCDと聴き比べしてみます。すると、昔のCDはあきらかに音質がリマスターに劣るのですが「あー僕が聴いていたのはこの音だったな」と妙な安心感とともに「こっち(昔)のが好き」なんてことも結構あります。だから昔のCDも手放せないんです。音楽は聴いていた記憶とともにあるので「いい音」も人それぞれだという典型例ですね。

2023-08-23

The Good Life / George Freeman

 

George Freeman(ジョージ・フリーマン)はアメリカのジャズギタリストでなんと御年96歳!の作品です。1950年代にはチャーリー・パーカーと共演したり、70年代後期にはテナーサックスのジョニー・グリフィンと共演するなど数々のジャズレジェンドとプレイしているようです。そしてこの2023年のアルバムは、ベースにクリスチャン・マクブライド、オルガンにジョーイ・デフランセスコという豪華布陣です。

一聴してその濃密なサウンドに「うわぁ、いい時間が流れてるな〜」とライブラリに追加しました。ゆったりしたリズムなのにグルーヴィなオルガンが全体を覆っています。そして甘いトーンながら無駄のないブルースを奏でる落ち着いたギター。高音弦のトリルから独特の低音弦のフレーズまで聴かせます。くどいですがなんたって96歳でこのリズムですよ。

いかにもオルガンジャズな2.Mr. D のリズムがカッコいい。ジョージのギターソロが光ります。アップテンポな3.Up and Down はドラムスが牽引してグルーヴィなバッキングギターが聴けます。4.Lowe Groovin' での良いギター・トーンを聴いてください。これぞブルースギターというプレイです。あと何枚くらい発表するんでしょうか。


2023-08-22

Point / Cornelius

 

小山田圭吾のソロプロジェクト、Cornelius(コーネリアス)の2001年作品。フリッパーズ・ギターの活動は聴いていなかったので、この作品で衝撃を受けてコーネリアスを集めました。ここ数年ではYMO関連人脈でギターを弾く姿を観ていてそのユニークなギターサウンドにさすがだなーと思っていました。

彼の作品はまずオーディオ的に耳に刺激的。無音の使い方が圧倒的に上手いと思います。唯一無二なサウンドは世界的にも高く評価されるのが一聴してわかります。さらに驚いたのはライヴです。フジロックなどで観ましたが、完全再現の演奏。どんなプログレバンドより難しいんじゃないのと思う変拍子を普通にこなしさらに迫力をもって観客を盛り上げていました。2006年の次作『Sensuous』も感動の作品となっています。

2.Point Of View Point のアコギとドラムスの音の生々しさ。この1曲だけでも彼らが世界に類を見ない存在であることがわかります。水の音でリズムを作っている4.Drop もなんてユニーク。エレキギター音の使い方も彼にかかると5.Another View Point のとおりです。スタンダード曲を自然音と合わせてアレンジした9.Brazil も気持ちよくてオススメです。


2023-08-21

【実例】新生ハンズ=「C案」

「C案」の見つけ方について2022年春、東急ハンズを買収完了したカインズの例で見てみたいと思います。カインズはあのワークマンを中核にもつベイシアグループの企業で234店舗、5,158億円の売上高でホームセンターのトップです。ハンズは国内78店舗、514億円の売上高です。郊外型のカインズに対しハンズは都心を中心に店舗展開しており、事業環境は大きく違っていました。

「ハンズに行けばあるんじゃない」と私が学生の頃から渋谷店には行っていましたし、娘の代になっても同様の印象でした。しかし近隣にロフトや無印良品などができて以前ほどの頻度はなくなっていました。たとえば気に入ったものの探しやすさ、買い物のしやすさの点でハンズは劣っていたように思います。買いたいものが決まっている目的買いで使うことのほうが多かった。であればインターネットで買っても同じかと。

新生ハンズのドキュメンタリー番組(ガイアの夜明け)を観ました。そこにはハンズの社員が「強み」について議論する姿がありました。両社の社員が互いの店舗を研究して理解し合う姿もありました。そして命題は「新生ハンズ」を作り上げること。そこでカインズの社長が示した方針は“来客者の体験”でした。たとえば壁一面埋め尽くされた圧倒的な品揃え、ハッシュタグのように気づきを与える商品紹介、ペンの書き心地をさまざまな紙質で行えるコーナーなど。

従来のハンズのやり方でもなく、カインズのやり方でもない、“来客者の体験”に焦点を絞って「C案」をイチから作り上げていったのです。よってカインズ初の都心型店(新宿)のほうも郊外型にはないアイデアで店舗を作っています。チャレンジは始まったばかりでクリエイティブはまだまだこれからだと思いますが、ここには「C案」をつくるヒントがあると思います。

2023-08-18

CAR SONGS OF THE YEARS / 奥田民生

 

奥田民生は僕と同じ昭和40年生まれ。当然10代の頃に聴いていた音楽に共通項多いです。歌謡曲もハードロックも。ユニコーン時代のポップセンスは「この人天才」と少し距離感があったのですが、ソロになってからストレートなロックが多くなり同い年の親近感が増しました。ラジオにライヴにひとり股旅にまあよく観ました聴きました。

この“車専用ベスト”が出たのは2001年。僕は起業したばかりでひとり車に乗ってコレをかけては宛てのないドライビングにレッツゴーしていました。20年ばかり乗った車も2020年を迎える前に手放してしまいましたが、その間ずっと聴いていたのはこのアルバムでした。愛車との思い出たっぷりCDです。

レスポールのハムバッキング・ギターから始まる1.ガソリンガタリン でいつもスタート。渋滞にはまると2.車カー を歌っちゃいます。このアルバムのメインは愛車に捧げる4.And I Love Car でしょう。名曲5.イージュー★ライダー はみんなで一緒に人生讃歌。ソウルクラシックを民生風に歌った8.SUNNY も好きでした。ああまたドライヴ行きたくなっちゃったなー行き先決めずに。


2023-08-17

レコードが「良い音」なのは

 

レコードの話のつづきになりますが、レコードの音が良いというのは、レコード時代の音源だからだと思います。つまりレコードで発売されることを前提にミュージシャンやスタッフが音を作っているわけです。当時のステレオで聴いて「良い音」と感じてもらえるように。そしてモノラルスピーカーで聴くようにできている音源は、そういう装置でも迫力が出るように音が収録してある。

僕が録音された音楽を聴くようになったのは中学の頃ですから70年代後半。そこから80年代にかけての音楽はやはりレコードで聴くとしっくり来ます。まして性能がよくなった今のオーディオで聴くと「こんな迫力のある音だったのか」と驚きます。さらにその音源を収録した直後にその国の工場でプレスされた「オリジナル盤」は制作者の意図をダイレクトに伝えるような音だとして貴重なモノになっています。

ということはレコード時代に録音されたものはレコードで、CD時代のものはCDで、サブスク時代のものはストリーミングで聴くように最適化されていると思ったほうがいいでしょう。最近はサブスクで発表していてもレコードでも発売する作品もありますが、それは最終段階でレコード用にきちんと音を最適化することを意識して作られているはずです。逆に昔の音源はCDやサブスクにすることを意識して作っているわけではないので、なんというかCD化やサブスク化の当事者が恣意的にこんな感じがいいかなと音決めしているように思います。と、取り留めなく家でCDやサブスクを聴いていて感じたことでした。

2023-08-16

Green on the Scene / Nick Green

 

Nick Green(ニック・グリーン)はニューヨーク・ブルックリン生まれ育ちのアルトサックス奏者。2023年の本作がファーストアルバムとのことで期待の若手なのですが、演奏は伝統的なバップを快調に聴かせてくれます。新録でこれほどド直球なバップを聴くことはないのでそこが新鮮ですし、NYっ子らしいなあと思いました。

アルトサックスというとやはりチャーリー・パーカーでしょう。ウネウネ上下する音のつながりは楽しいですが途中でちょっと酔ってくる。僕としてはアート・ペッパーやキャノンボール・アダレイあたりの時折見せる優しい音色と饒舌に吹きまくるのを混ぜたような演奏が好きです。その点ニック・グリーンの演奏はとてもいいサウンドで正統派ハードバップであることもなぜか安心させてくれます。

本当に新作だよねと確かめたくなる1.Red Cross から勢いよくハードバップしています。ミュートトランペットも出てきてニンマリ。3.Horizons なんてアート・ブレイキーを思わせる良きスイング。腕利きのリズム隊がニックのアルトを引き立てます。4.A Handful Of Starsのバラードではアルトのとろけるようなフレージングを甘い音で奏でてくれます。


2023-08-15

Like Water For Chocolate / Common

 

Common(コモン)はアメリカ・シカゴのヒップホップミュージシャン。本作はネオ・ソウル、ヒップホップ集団ソウルクエリアンズの活動の一環として2000年に発表した彼の4枚目のアルバムです。彼はその後もカニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスのプロデュースでヒップホップを代表するアルバムを発表し、グラミー賞やアカデミー賞を受賞したりしています。

このアルバムを初めて聴いたとき、ほかのヒップホップとは明らかに違うサウンドで、いかしたジャズアルバムかと思いました。しかも1日じゅう部屋でループしていても飽きない。数年後にロバート・グラスパーを聴いたとき「これコモンorザ・ルーツじゃないの?」と思ったくらいでした。

ロイ・ハーグローヴ(トランペット)参加の1.Time Travelin' (A Tribute To Fela)  や3.Cold Blooded なんかグラスパー以降のいけてるジャズです。最も聴いたのは5.The Light です。故J・ディラのセンスが光るサウンドでお気に入り。DJプレミアのプロデュースによる9.The 6th Sense もカッコいい。ヒップホップ界隈の豪華メンバー満載のアルバムです。


2023-08-14

A案でもB案でもない「C案」

 

新規事業をやるとなったら「パートナー探しが重要」と書きましたが、そのパートナーがやりたかったことをやる場合においては、当初の課題はシンプルです。つまりそのパートナーが持っていなくてこちらが持っているもの、例えばスタッフ、人脈、資金、設備をどう用意してバックアップするかです。やりたいことが一致していることが大前提ですが。

問題は、こちらの会社(A社とします)もパートナーの会社(B社とします)もやったことのない、新たな事業を始める場合です。A社は自分たちのやりたいことはコレだというのがあり、B社もそれよりもこっちをやりたいというのがあったりします。A社のやり方とB社のやり方は成り立ちも事業環境も違うので、必ずといっていいほど対立が発生します。そのうちどちらが折れるか譲るかなんて話になってしまいます。

ここでも社長の出番です。そもそも新たな事業を始めようとなったのは両社の社長どうしですからここはきちんと話をしなければなりません。肝心なのは、A社のA案でもなく、B社のB案でもない、C案をつくることです。互いの強み弱みをよく知ったうえで、新たな商品や新たな市場をつくり出すのです。

これはとてもChallengingなことであり、Creativeなことです。互いが互いを尊重しかつ忌憚のない意見を出し合う必要があります。何度も「ほんとうにそうか」と問いただすことになるでしょう。7つの習慣でいうところの「Win-Win」「理解してから理解される」という土台をしっかり築きます。その過程を経て「C案」をつくりあげ、実行できたときにはじめて「相乗効果」となります。これぞ新しい事業の醍醐味だと思います。

2023-08-10

夏のお祭り

 

東京の月島(佃)で行われた「令和5年住吉神社例祭」にて。
5年ぶりに開催された通称「佃祭」。
数日前から街がウキウキし始めて、3日間神輿を担ぐ声が鳴り響いていました。
笛・太鼓の音、女性だけで担ぐ神輿、メインの八角神輿を収める前の音を収録しました。

録音機材レコーダーはKORG MR-2 内蔵マイクにて収録
セッティングはMic Sens HIGH それ以外は全部Off
ファイル形式はWAV 24bit 192kHz ※SoundCloudにてダウンロード可


2023-08-09

Roneando / Perico Sambeat

 

Perico Sambeat(ペリコ・サンビート)はスペインのサックス奏者。すでに20枚以上のリーダー作をもつベテランとのことで、共演者にはビッグネームもずらり。演奏を聴くとバリバリとブロウするタイプではなく、やさしく曲に寄り添うような余裕のあるプレイで安心できます。

今年の夏はとにかく暑かったですから、熱い演奏ばかりではちょっと胃が疲れてしまいます。そんなときにこういう涼しいサックスの音色に身を委ねていると休まります。曲調もメジャーでゆったりとした曲が多く、モヒートなんか傾けながら夏の夕方の風に吹かれるのもいいもんです。

アルバムタイトル曲2.Roneando はフラメンコの手拍子に軽快なサックスが重なる気持ちのいい曲。女性ヴォーカルが唄うスタンダード「時さえ忘れて」の3.I Didn't Know What Time It Was のけだるくクールダウンした感じがいいです。9.Bulería en D の軽快なリズムを聴く頃には暑さに疲れた体も回復しているはずです。


2023-08-08

Community Music / Asian Dub Foundation

 

Asian Dub Foundation(エイジアン・ダブ・ファウンデーション)は在英のインド・バングラデシュ系グループ。ダブ、レゲエ、バングラビート、ジャングル、パンク、ロックなどをミックスさせて社会風刺、政治批判などメッセージも発信しています。本作は2000年のブレイク作で同じ頃フジロック・フェスティバルにも出演し僕も大いに盛り上がりました。

彼らの魅力はやはりライヴでこそ発揮されます。この独特のメロディと扇動的なリズムを聴くとフジロックに行きたくなる。夏に野外でカレー風味の肉なんか食べながらビールを飲んで、彼らのステージに向かうなんてそりゃ楽しいです。快楽だけでなく、社会活動のシリアスな面をもつ彼らはあのフェスに似合うなあって思います。

その名も「コミュニティ・ミュージック」です。イギリス社会風刺の1.Real Great Britain からグイグイ煽ってきます。バングラデシュらしいメロディで始まる4.New Way, New Life みたいなのがライヴで盛り上がります。カレーを食べるときには6.Collective Mode を流したら美味しくなるはずです。


2023-08-07

どんな事業なの?に30秒以内で答えよう

 

事業を始めようと企画したり、起業家としてスタートするときは、事業内容を説明する資料をパワポで作ったりします。それまで考えてきたことをテキストにしていくのでつい文字数が多くなりがち。ページ数も多くなってしまいます。事業への思いが強ければそれもしかたないでしょう。

しかし聞くほうはずっとその思いを聞いていられるほどの時間はありません。それが資金援助をお願いする投資家や起業パートナーであれば、なるべく短い時間で判断する癖がついているので長々と説明されることを嫌います。「どんな事業を始めるの?」と聞かれたら30秒以内に説明できるよう準備しておく必要があります。俗に言う“エレベーターピッチ”です。エレベーターに乗って降りるまでの間に説明が終わるようプレゼンすることです。

以前TechCrunchの記事で読んだものですが、テンプレートはこうです。「私の会社(自社名)は(ターゲットの顧客)の(こういう課題)を(独自の処方)によって解決するために(プロジェクトの名称)を開発しています。」このカッコ内を埋めて文章にしておくのです。(独自の処方)あたりを見つけて事業にするのですからここは説明できるでしょう。

問題は、ほとんどの場合(ターゲットの顧客)の定義があいまいであることが多い。ここを具体的にしておかないと、そのターゲットが抱える(課題)も明確になってきません。となるとその独自の処方は合っているのか、本当に効果があるのかがあやしくなってきます。せめて上記テンプレートを30秒以内で説明できるようしっかり準備しておきましょう。

2023-08-04

Traveling Miles / Cassandra Wilson

 

Cassandra Wilson(カサンドラ・ウィルソン)はアメリカのジャズ・シンガーソングライター。僕はスティーヴ・コールマン(Sax)のアルバム参加で知って、そのちょっと低くてブルージーな歌声が印象に残っていました。1999年のこの作品はマイルス・デイヴィスに捧ぐアルバムということで、当時マイルスを聴き始めた僕の関心を誘いました。

女性ヴォーカルは甘くてコケティッシュな声よりも、低域に少し特徴のある響きが豊かな声質が僕の好みでして、カサンドラは中でも最もオトナな感じ。特にジャズを歌うとなるともう声だけで説得力充分です。歴代にビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドがいて、マイルスが題材の作品となると彼女くらいしか歌えません。

彼女のオリジナル2.Traveling Miles のアコースティックジャズぶりがとてもいい感じです。マイルスがカヴァーしたシンディ・ローパーの4.Time After Time も深みのある仕上がり。マイルス得意の6.Seven Steps や7.Someday My Prince Will Come は粋なアレンジで。10.Sky & Sea はあのカインド・オブ・ブルー収録の「ブルー・イン・グリーン」が原曲。孤独な夜を静かに癒やしてくれるアルバムになっています。


2023-08-03

レコード、持っていない…

 

音楽を聴く愛好家としては「レコード」の楽しみはわかります。でも今はレコードを持っていない。今回は言い訳です。

80年代にオーディオを初めて手に入れたときには2台のレコードプレイヤーを持っていました。カートリッジもMMとMCを取り替えながら手間ひまかけて。まだCDが出る前のことですから、音楽を聴くにはレコードとカセットテープです。小遣いを貯めては、秋葉原「石丸電気」で特典とクーポン券をもらいながら買い揃えたり、御茶ノ水「ジャニス」に通っては何枚ものレコードを抱えて行き来した日々が懐かしい。レコードやレコード袋のにおい、ジャケットの質感、針を落とす時のワクワクやレコード面のホコリとりなどの一連の動作。それらひっくるめてレコードは楽しかった。

大学3年くらいだったかCDプレイヤーを買いました。曲作りのために先輩の家に入り浸ってレコードを聴いていた部屋にも、ある日CDプレイヤーが置かれ、ひとこと「便利だなこれ」。やがてレコードよりもCDを買うようになりました。社会人になったら積み上がったCDを整理する棚を買っていました。ああ、いいレコードプレイヤーだったのに下取りに出さなきゃよかった。レコードコレクションも友人に譲らなきゃよかった。いまだに後悔。

近年、自宅以外ではレコードを聴く機会をいただいています。そしてレコードで音楽を聴いてみて率直に「楽しい」と言えます。レコードプレスの時期や生産国によって音が全然ちがう。カートリッジを変えてもこっちのが好きとかそうでもないとか、針で音を拾ったあとの処理でもまたちがってくる。それを音楽好きが集まって聴くとそりゃもう楽しいです。

さてこれからレコードプレイヤーとカートリッジとその他もろもろを揃えてレコードを収集して、えっと置く場所はっと、じっくりスピーカーで大きめの音でかけてっと、ん〜。今はオーディオはリビング設置で家族共有空間なので、無理そうです。自分の部屋を持ったら考えます。ですから知人友人の方々、今後もレコードを聴く機会をいただきたく、お願いします〜。

2023-08-02

Kings Highway / Brian Blade & The Fellowship Band

 

Brian Blade(ブライアン・ブレイド)はアメリカのミュージシャンでドラマー。僕はベースの北川潔さん、ピアノのケニー・バロンとのトリオ作品で初めて聴きました。DVDも出ていたのでその独特の叩く姿も目に焼き付いています。映像といえばノラ・ジョーンズのロニースコッツでのライヴも素敵なサポートぶりでした。圧巻はウェイン・ショーター後期のライヴ音源でこれも必聴。とにかく人気のドラマーです。

ドラムスなのに、彼独特の“ヴォイス”を持つという記事を読んだことがありますが、緩急自在で時に語りかけるような静かな音を奏でると思ったら、電光石火物凄い音で畳み掛ける様はカミナリのようです。単純にリズムをキープするだけでなく幾重にもフレーズを重ねているのだと思います。彼がリーダーのこのバンドではそんな彼の多彩なドラムと優しい性格が表現された楽曲を聴くことができます。

2.Catalysts で2人のサックスが独特のハーモニーを奏でたあと、カート・ローゼンウィンケルがフルートのようなギターソロを響かせます。タイトル曲4.Kings Highway ではまさに緩急自在の彼の“ヴォイス”が堪能できます。こんなドラムス叩く人いないでしょう。15分の大作6.Migration を聴くと彼がドラマーとしてだけでなく作曲家としても物凄いことがわかります。


2023-08-01

The Space Between Us / Craig Armstrong

 

Craig Armstrong(クレイグ・アームストロング)はスコットランド出身の作曲家。「ロミオ+ジュリエット」「ムーラン・ルージュ」「ワールド・トレード・センター」など多くの映画音楽を担当していて、ストリングスだけでなくエレクトリック音も積極的に使用したドラマチックな曲調が好きです。この1998年の初リーダーアルバムはマッシヴ・アタックのレーベルからデヴューしています。

サウンドトラックも参加ミュージシャンによって買ったりしていますが、中でもクレイグ・アームストロングの作品は10枚くらい持っています。僕の中では凝った音作りや曲展開が彼独自の世界観で構築されていて、マッシヴ・アタックを思わせるところが好きな理由かもしれません。

1.Weather Storm はダークでドラマチックな世界が象徴的で、彼のテーマ曲。マッシヴのアルバムにも参加しているエリザベス・フレイザーのVo.が印象に残る2.This Love 、彼らしい音使いの4.After the Storm や8.Rise ではストリングスやピアノがエレクトリックサウンドに見事にマッチしていて引き込まれます。彼のサウンドをイヤホンに街に出てみると、すべてがスローな動画のドラマチックな風景に見えてきますよ。