2024-11-05

音楽配信「Qobuz」おためし

 

ハイレゾストリーミングサービス「Qobuz(コバズ)」が10月下旬にやっとスタートしました。Apple MusicやAmazon Music Unlimited、ハイレゾはないがSpotifyと同様の音楽配信プラットフォームです。フランス発で随分前からやっていますが、日本ではe-onkyo musicのサービスを継承するかたちで準備していたとのこと。

1年くらい前に“始まる”と聞いてから、もう忘れ去るかと思われたところでした。僕自身いくつものサービスローンチに関わってきたので、その苦労度合いは推測できます。“こういうとき、どうすんの?”というイレギュラーケースも膨大。対応できないとすぐに酷評されて市場から撤退なんてことになりかねない。あー大変。

聴くのに必要なのは、PCやスマホ→DAC→アンプ→スピーカー(ヘッドホン)。一般的にはQobuzアプリをPCやスマホにインストールして(Webブラウザも可)、つまり他のサービスと同様です。オーディオファンはRoonAudirvānaといった音質に定評のあるソフトやネットワークプレーヤーのソフトを介して聴くことを期待でしょうけど、僕は未経験です。

ハイレゾ音源(24/96)を再生してみた

僕はe-onkyo music会員でいくつかダウンロード購入履歴があったので移行手続きしました。するとクラウドにあるハイレゾ音源ファイルを再生できるようになっていたので、サブスク契約する前に音質チェックを兼ねて“お試し”。

普段はApple Musicをファミリー利用しています。比較すると“粒立ち”がいい気がする。高域の拡がりは同等かもしれないけれど、スピーカーで聴くと低域は少し沈み込みが深いような。うん、なかなかいい音です。どこかの記事でも見ましたが、Appleはどんな視聴環境でもそれなりに“いい音”を感じさせてくれるのに対し、Qobuzはオーディオ環境を整えるとそれに比例して“いい音”を奏でるのではと期待させる印象です。

僕個人としてはヘッドホンで聴き比べしたときよりもスピーカーで鳴らしたときに印象の違いを感じました。もちろん楽曲によって違いはあるでしょうし、なんだ同じじゃんと思う音源もあるでしょう。AppleやAmazonのそれは、空間オーディオの楽しみもありますからやっぱりいらないかなと思う人も多いかと。

細かい話ですが、Appleの場合はDACの表示が「Audio MIDI設定」でのフォーマット固定(例えば192kHz)だったのに対し、Qobuzは楽曲ごとに表示が変わります(96kHzや88.2kHzなど)。これってAppleが「中で何やっているかわからない」状態だったのが、Qobuzはちゃんと曲毎に合わせてDACに送ってますよ的な安心感につながりました。

楽曲のメタデータ(参加ミュージシャンやプロデューサー、レーベル、アルバム解説など)も挑戦が見られてちょっと好感。音楽やオーディオに関する「マガジン」にもそういった姿勢がうかがえます。これならサブスク契約しようかなと、応援しておくかなと思うレベルでした。

ちなみに1アカウント年間契約で15,360円(月額換算1,280円)または月額1,480円です。さて、レコードやCDも持っているはずの比較的ディープな音楽好きが、サブスクを聴く時間を割けるかどうか。断捨離を決め込んだ元オーディオファンが「もうこれで充分」となるかどうか。もしくは高音質コンテンツ好きの若年層をどう取り込めるか。これからですね。

2024-11-01

Little Big III / Aaron Parks

 

Aaron Parks(アーロン・パークス)はアメリカのジャズピアニスト。ケニー・バロンPに師事していたこともあるそう。2024年本作は41歳でありながらリーダー作として15作目。ブルーノートからリリースしています。客演経験も豊富で、僕自身何度も耳にしているピアノです。

ジョシュア・レッドマンSaxらと一緒に演った「James Farm」でも印象的なメロディセンスを聴かせてくれていました。ジャズだけでなく、フォークや民族音楽、ロック、カントリーなど様々な音楽を取り込んだインストミュージックといった印象です。個人的にはライル・メイズ&メセニーやキース・ジャレットの演奏から感じるものと通じるところがあると思います。

アーロンらしい叙情的なピアノだなと思うのは3.Heart Stories 。美しい曲だなと。4.Sports のメロディなんてちょっと懐かしいような。グレッグ・テューイGの音も印象的です。6.The Machines Say No ではJKキムのたたみかけるドラムスが聴けます。アーロンのリーダー作ではありますが、全体としてはバンドサウンドを重視しているようです。秋空に合うサウンドが詰まったアルバム。散歩のお供にしようと思います。

2024-10-29

「クイーンⅠ」(2024 Mix)聴きました

 

クイーンのデビューアルバムが「クイーンⅠ」として2024年最新リミックス&リマスターがリリースされました。メンバーが望む音と曲順を実現させたとのこと。特に以前のドラムスの音が「ボスッ、ボスッ」って感じだったので「なんでこんな音で録っちゃったんでしょうね」なんて言っていました。今回はまさにロジャー・テイラーの音。フロアタムが低音まで鳴り響きます。

僕は大学時代および社会人になっても、大学の先輩でもある“日本のロジャー・テイラー”(現QUEERのDr.=ロジャー M.T.、シンコーミュージックからロジャー・テイラーのムック本を2冊出版)と一緒にバンドを演ることがほとんどだったので、自ずとクイーンを聴く機会も多かったのです。

1曲目のKeep Yourself Alive のギターは大昔コピー(多重録音はやっていませんが)したので何度も聴きました。2.Doing All Right はスマイル時代の音源を含めて好きですし、ブライアンのギターとしては、3.Great King Rat や7.The Night Comes Down のイントロも大好きです。後期にはない陰影のあるサウンドがいいです。

そして2024年作は、さすがに聴き慣れた音と違って、ちょっとマッチョになった感がありますが、オーディオ的にはダイナミックレンジ広く気持ちよく鳴ってくれています。Apple MusicのDolby Atmosを5.1chサラウンドスピーカーで鳴らすと、コーラスやギターやディレイやエコーが部屋じゅうに拡がって、彼らの緻密で奇想天外なアレンジに再度驚くことになるかと思います。

2024-10-25

Portrait / Samara Joy

 

Samara Joy(サマラ・ジョイ)はアメリカのジャズ歌手。2021年にデビューし、2022年アルバム「Linger Awhile」で一躍有名になりました。2023年にはグラミー賞で最優秀ジャズヴォーカルアルバムと最優秀新人賞を受賞。当時ジャズ関係では数多く目にしていたので、みんな聴いているからいいかなと思いブログに書きませんでした。

2024年本作は3作目。24歳とは思えない本格的なジャズ歌ものです。2019年にサラ・ヴォーン国際ジャズ・ボーカル・コンペティションで優勝とのことで、まさにサラを彷彿とさせる歌いっぷり。有名になったアルバムのあとで売れ線を狙うかと思いきや、ぐっとジャズ魂を深めてきたのが気に入っています。

多くの管楽器をバックに優雅に始まる1.You Stepped Out Of A Dream はジャズ伝統の雰囲気。2.Reincarnation Of A Lovebird の独唱を聴けば並外れた才能であることがわかります。誰もが知るボサノヴァ名曲「想いあふれて/Chega de Saudade」の6.No More Blues を彼女がどう歌うかお試しあれ。高低強弱を駆使して、スキャットも入れて細やかな感情の起伏をヴォーカルで表現。聴いているうちに、気持ちが優しくほぐされていくようです。

2024-10-22

「危機」のBlu-ray Audio盤

 

プログレの名盤、イエス「Close to the Edge(危機)」のBlu-ray Audio盤を聴きました。

・2013 Stereo Mix(24bit/96kHz)
・2013 5.1 PCM(24bit/96kHz)
・2013 5.1 DTS-HD(24bit/48kHz)
・Original Stereo Mix (マスターのFlat Transfer、24bit/192kHz) 
・UKオリジナル・アナログ音源Transfer(24bit/96kHz )ほかにもいろいろ...

紙ジャケ、ちょっと作りが雑な輸入盤

あるロックバーで聴いたアナログ盤「こわれもの」の音が衝撃的で、腹の底からグイグイくるベース音とか空間に飛び散るギター&キーボードが記憶に残っていて、それに近いものを求めているところがあります。「危機」はそれほど鮮烈な音ではなかったこともあり、聴く回数は少なかったかも。

さてBlu-ray Audioはいかに。期待したのは“Original Stereo Mix(24bit/192kHz) ”です。192ですからもしや...と思ったのですが、「こわれもの」体験ほどではありませんでした。まぁ違うアルバムですから。でも各楽器の音がくっきりした印象です。

ではスティーヴン・ウィルソン2013ミックス&サラウンドに期待。というのはほかのアルバムでDVD-Audioの“音の太さ”を体験していたので、Blu-ray Audioもいいんじゃないかと。元の音源にもよるのかもしれないですが、DVD-Audioほどではないにせよ、サブウーファーのおかげもありぐっと重心が下がります。サラウンドの音の拡がりはスゴい。パイプオルガンが部屋じゅうに鳴り響き、「これぞ危機!プログレ!」となりました。

さすが容量の多いBlu-ray。ハイレゾ満載かつ特典音源も多くて楽しい。んー、でもアナログ盤の“太い”というのとは違うんですけどね。

2024-10-18

Better Angels / Peter Bernstein

 

ニューヨークのPeter Bernstein(ピーター・バーンスタイン)Gの2024年リーダー作。得意のSMOKE Sessionsから。ブラッド・メルドーP、ヴィセンテ・アーチャーB、アル・フォスターDrを従えてのオールスター・ギターカルテット。メンバーからして間違いないです。

僕はこの人の粒立ちのよいギター・トーンが好きなんです。グラント・グリーン、ケニー・バレル、ジム・ホールといったバップ&ブルージーな名手たちの系譜といいますか。1音1音しっかりと聴かせてフレーズを楽しませてくれるサウンドです。メロディやソロを単音フレーズを弾いて〜和音でつないでっていうのは出来そうで出来ない、ジャズギタリストならではのテクニックです。憧れます。

軽快な2.Ditty for Dewey はスイング感を保ちながら、一筋縄ではいかない和音感を楽しめる曲。やっぱりメルドーの独特ピアノから触発されているかな。タイトル曲5.Better Angels もシンプルなメロディなのに何か独特でバップ的です。ピーターのソロ8.Lament ではギターのサウンドを存分に味わえます。新譜でこういうジャズギターを聴くことが少なくなった今、貴重な存在なのではないかと。ほかのジャズスタンダード曲も洒落た素敵な演奏です。

2024-10-15

ヘッドホンを首にかけて

 

誕生日プレゼントの前倒しということで、娘にヘッドホンを買いました。ソニーのWH-CH720N。ソニー史上最軽量のワイヤレスノイキャンヘッドホンのことで、15,000円しないくらいでした。ネットで見てJBLとかオーディオテクニカとか候補にあったのですが、娘いわく「お店に見に行きたい」とのことで実際に手に取ってかけてみて、この機種に決めました。

いまのヘッドホン売り場って、音楽聴かないんですね。聴くことができる機種もあるんですが、この価格帯のものはヘッドホンをかけても音楽は鳴っていない or 鳴らし方がわからないようでした。音質は比較しなくていいのか...。

必要なのは「鏡」です。かけた感じがどう見えるか。“ちょっと横に出っ張っている”“洋服や帽子に合わせやすい、にくい”“首にかけたときどうか”あたりがポイントです。加えてかけ心地。長い時間かけていて疲れないかとか。

学校や塾の自習時間にヘッドホンをしている人は結構いるとのこと。電車に乗っていてもイヤホンではなくてヘッドホンをしている若者が多くなった気がします。娘は電車時はノイキャンの効きがいいのでイヤホンだそうです。それ以外は耳の中がムレないヘッドホンかなと。集中したいときは音楽もなにも流していないらしい。

密閉型だオープン型だ、やっぱり有線でヘッドフォンアンプにっていうのとは別の話ですね。まぁそんなんでも音楽を聴く機会が増えてくれればいいかな。ただでさえスマホの他のコンテンツに奪われがちなスキマ時間ですから。