2025-02-07

Dark Moon / Holly Cole

 

Holly Cole(ホリー・コール)はカナダのシンガー。スタジオアルバム2作目であの「コーリング・ユー」を1992年にヒットさせました。2025年13作目にあたる本作を携えて、3月にブルーノート東京に来日するそうです。ジャズのみならず、ポップスやカントリーのスタンダード曲をバックミュージシャンとともに彼女の声に合ったアレンジで聴かせてくれています。

あの「バグダッド・カフェ」の楽曲を歌う歌声のイメージがあったので、「こんな声だったっけ」と思いながら聴き始め、なんともスモーキーというか味わい深い歌唱にハマってしまいました。Qobuzの1月下旬のストリーミングランキングで再生数1位とのことで、2位幾田りら、3位米津玄師を上回る成績を記録していました。なんかちょっとうれしい。

「ティファニーで朝食を」の劇中歌3.Moon River を聴くとあの「コーリング・ユー」の歌声が蘇ります。彼女の声はなぜ映画楽曲に合うのでしょうか。ディオンヌ・ワーウィックの5.Message To Michael もしっとりいい曲です。バックもベテランらしい抑制が効いて効果的な演奏で素晴らしく、ギターの音がなんとも哀愁たっぷりです。ギターといえば、ラストを飾るペギー・リーの11.Johnny Guitar がなんとも印象的で沁みます。 曲が終わってからもしばらく浸ってしまいます。部屋じゅうに響かせるような音量で聴くとどっぷりです。

2025-01-31

巳年リコメンド曲

 

わたくし巳(へび)年生まれでございます。つまり還暦を迎える年になりました。30年ほど前に父の還暦祝いをしたことをうっすら覚えていて、自分もそんな歳になってしまったのかと。まだ48歳分くらいしか生きていないなどと悪あがきしたい気分です。

1月のジンジャーイベントはやむを得ず欠席してしまったので、ここでそのリコメンド会に持ち込もうと思っていた楽曲を載せておこうと思います。

僕よりもふたまわり上で、音楽紹介の元祖、ベストヒットUSAのDJであられる小林克也さんも巳年生まれだそうです。そこから名前をとったSNAKEMAN SHOW絡みで1曲。YMOのアルバム「増殖」から4曲目「Tighten Up」。

細野さんのベースラインと幸宏さんのタイトなリズムが組み合わさって唯一無二のグルーヴです。段ボールジャケットで発売日に入手したのを覚えています。

もう1曲。Rushの18作目スタジオアルバム「Snakes & Arrows」より1曲目の「Far Cry」。

へびのイメージはなんかアンダーグラウンドでミステリアスでロックのイメージとぴったり。それにしても圧巻の演奏です。

Snakeでロックといえばホワイトスネイクですが、これは誰かがリコメンドするからいいだろう、と思っていたらなんとジョン・サイクスの訃報が。多くのギター好きが復活を望んでいただけに残念でなりません。スーパーロック’84で観たのは大学1年生の頃かぁ。僕自身45歳を過ぎてバンドで引きつりながらカヴァーした、これぞ弾きまくりのこの曲「Crying in the Rain」(アルバム1曲目)を追悼に。

2025-01-24

You Don't Know Jack! / Brian Charette

 

Brian Charette(ブライアン・シャレット)はアメリカのジャズオルガン&ピアノ奏者。リーダー作としても23作目にあたる2024年の本作は、共演のコーリー・ウィーズTsが率いるCeller Liveレーベルの作品として、オルガンの名手ジャック・マクダフへのトリビュートとして発表されました。

ふだんあまりジャズを聴かない人から「何から聴くといいですか?」と聞かれたとき、オルガンジャズをオススメしたりします。ロック好きにもソウルR&B好きにもウケるノリのよさやサウンドの押しの強さがあって、メロディも馴染みやすい曲が多いという印象です。僕自身ロックの入り口でディープ・パープルのジョン・ロードのハモンドオルガンを聴いて育った(もちろんメインはギターのリッチー)ので、今回のブライアンのようなハモンドの音が好きなんです。

2.Jolly Black Giant ではのっけからハモンドが決まっています。このブルーノートを思わせるアルバムジャケットの下方にスライドバーの絵がありますが、オルガンにこうしたバーがたくさん付いていて音色をアナログチックに変えることができるのも魅力なのかも。ボサノヴァのあの曲をアレンジしたかのような4.6:30 In The Morning では絶妙にオルガンの音がマッチしていていい感じです。7.Why'd You Have To Go and Lie To Me Boy はドラムとキャッチーなイントロからのオルガンソロとソウルフルな展開に体が揺れます。気軽に部屋をジャズで満たすことができるオルガンジャズのオススメ作品です。

2025-01-21

両親と音楽の思い出

 

父が他界しました。あと数日で91歳を迎えるところでした。このブログは父の1月の誕生日を機に2023年に連載し始めたもので3年目に入ります。最初の1年は、母の死をきっかけに何か残しておこうと毎日書き続け、2年目はそのとき聴いている音楽や思ったことを週2回のペースで投稿してきました。

僕の高校受験合格祝いとして、当時立派なオーディオセットを父が買ってくれました。その喜びはいまでも覚えています。よく“親がオーディオを持っていて”なんて人の話も聞いて、いいなあと思ったりします。我が父母は音楽よりはテレビで時代劇やスポーツ(野球や相撲)を観るのが楽しかったようで、あまり音楽の話はしなかったと思います。

それでも家にクラシックのレコード(通販の数枚セット)があったりして、僕にとっては大切なきっかけになっていました。ミュージックビデオやライヴ番組などの録画も母が協力してくれていました。そうやって両親のおかげで今の音楽ライフがあるわけで、大いに感謝いたしております。

父は僕が成長してからも特に仕事の面で大事なアドヴァイスをしてくれて、そのまま僕の生き方に影響を与えてきました。商売人として常に利他を重んじる父をほんとうに尊敬しています。生きている間についに追いつくことはできなかったと感じています。

さて、次の1年は週に1つのペースで音楽にまつわる何かしらを投稿し、楽しくなったnoteにも転記しながら続けていこうと思います。よろしくお願いします。

2025-01-17

Motion I / Out Of/Into

 

Out Of/Into はアメリカのジャズミュージシャンであるイマニュエル・ウィルキンスAs、ジョエル・ロスVib、ジェラルド・クレイトンP、マット・ブリューワーB、ケンドリック・スコットDsからなる“ブルーノート・クインテットとして結成されたオールスター集団”。レーベル85周年としてグループ初の2024年作品です。

ブルーノート・レコードは2012年にドン・ウォズが社長に就任してからも、ロバート・グラスパーなどジャズの枠を超えて幅広いファンを獲得する音楽を提供していて、新作はいつも注目に値する作品ばかりです。今回の作品もかつてのジャズを革新する演奏が繰り広げられていて、さすがオールスターのなせるワザを聴くことができます。家にあるかつてのブルーノート作品もその時代において常に革新的であったわけですが。

正月からYouTubeでドラムの動画ばかり観ていたこともあり、ここでのケンドリック・スコットの超絶演奏に耳を奪われます。1.Ofafrii や3.Radical をしっかりした音量で聴くとマット・ブリューワーのBとともに圧倒されます。6.Synchrony もドラムスで始まり、ヴィブラフォンからサックスソロでのバンドが熱を帯びる様がなんともカッコいい曲になっています。トップミュージシャンが集まると緩急自在で複雑なリズムもなんのその、というものすごい演奏が詰まったアルバムになっています。

2025-01-14

オーディオMac高音質化計画

 

Qobuzは、オーディオ専用のMacBook Air(2013年モデル)でQobuzアプリを立ち上げて聴いています。MacBook Air→TEAC UD-505(DAC)→アンプ→スピーカーという接続です。Apple MusicもQobuzと同様です。今はもっぱらQobuzですが。

MacBookの前、つまり音源はWi-Fiルーターから無線でMacに飛ばしていました。ふと思い立ち、これ有線にしたらさらに音質向上するのではと。有線LAN(USB接続)アダプタを購入(1,500円程度)してルーターとLANケーブル(有線)で繋いでみたら、ちょっと音の重心下がったかも、と良い効果を感じました。

PC(Mac)の高音質化計画をまとめると

  • 有線LAN接続
  • Wi-Fiをオフ
  • Bluetoothをオフ(AirDropもオフ)
  • 通知も全部オフ(Siriもオフ)
  • ほかのアプリのバックグラウンド動作をなるべくさせないよう設定
  • DACへのUSBケーブルやLANケーブルはノイズ対策してあるものに
つまり古いPCやMacをオーディオ専用機にしてノイズの源を極力排除するってことですね。

ほかにも高音質化対策を探すと、電源アダプタと電源そのものの改善(クリーン電源とか)や有線LAN部分の改善(光アイソレートとか)などオーディオマニアックなツールが世の中にはありますが、手っ取り早く&安価に高音質化するなら上記でしょう。

いやいや“オーディオ”としてはシステムにPCがあること自体、納得がいかないという話もあります。ノイズをまとっている物体であると。近年は音質に特化したネットワークオーディオプレーヤーなるものが多数販売されております。10万円以下からもっとお高いのまで。曲のコントロールは離れてタブレット端末で、なんていうのがスマートです。

PCアプリも「Audirvāna」(オーディルヴァーナ)という高音質アプリがあったり、PCやオーディオネットワークプレーヤーでも統合音楽リスニング環境を高音質で構築できる「Roon」はオーディオ好きで音楽好きには話題だったりします。それぞれ使用料が必要ですが。まぁ、沼ですね...。

2025-01-10

Crossing Paths / Renee Rosnes

 

Renee Rosnes(リニー・ロスネス)はカナダのジャズピアニスト&作曲家です。ジョー・ヘンダーソンやウェイン・ショーター、JJジョンソン、ボビー・ハッチャーソンといった巨匠たちとの共演歴もあり、現在もトップミュージシャンとして活躍しています。あのジャズピアニストのビル・チャーラップと2007年に結婚しています。2024年の本作はブラジル音楽へのリスペクトを感じる作品です。

ボサノヴァをはじめMPB(Música Popular Brasileira)のブラジル音楽は僕自身も好きで、カエターノ・ヴェローゾマリーザ・モンチやいくつかの当時若手ミュージシャンをよく聴いていました。多彩なコード感やリズムはジャズとも通じるところが多く、いままでも多くのミュージシャンがブラジル音楽に傾倒してきたと思います。リニー・ロスネスも約30年前から構想してきたそうです。

爽やかなフルートで始まる1.Frevo からブラジルの風を感じることができます。これまたいい音のギターと気持ちの良いユニゾンを奏でています。伝説的ミュージシャンの2曲、エドゥ・ロボとの5.Casa Forte やジョイス・モレーノとの6.Essa Mulher がいかにもブラジル音楽の魅力を凝縮していて聴き惚れてしまいます。いままでにも多くのブラジル音楽とジャズの融合作品がありましたが、いまのサウンドで聴くことができる最高のものだと思います。