2023-05-31

Live at Smalls Jazz Club / George Coleman

 

George Coleman(ジョージ・コールマン)はアメリカのテナーサックス奏者。あのマイルス・デイヴィスのトランペット絶好調のライヴ名盤「"Four" & More」「My Funny Valentine: In Concert」で共演していました。共演サックスには以前にジョン・コルトレーンがいて以降にウェイン・ショーターがいますから、それはもう大変なものです。

高速フレーズを吹くコルトレーンと一緒にいたアルトサックスのキャノンボール・アダレイの豊かで落ち着いたプレイが好きでしたが、同様にテクニック的には凄いのに暖かい感じのするこれぞモダンジャズなジョージ・コールマンのプレイが好きでした。この新作ライヴアルバムでも彼のいいところに渋さ(今年で88歳!)を増した演奏を聴かせてくれます。

NYのジャズクラブSMOKEもいいですが、同じくNYのスモールズのライヴ録音盤も音質がよくて素晴らしい。曲は、やはりマイルスとの1.Four と3.My Funny Valentine での彼らしい小粋なアレンジがいいです。8.When Sunny Gets Blue で朗々とバラードを吹くのを聴きながらジャケット写真を見て、いい顔しているなーと思いました。


2023-05-30

Rage Against The Machine / Rage Against The Machine

 

Rage Against The Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)の1992年ファーストアルバム。最初に聴いたときはあまりに激しくて途中で再生を止めました。Vo.のザックの扇動的なラップとG.トム・モレロの革新的で刺激的なギター音、重くて破壊的なリズム隊はあまりの衝撃で、数多のハードロックを聴いてきた耳でも途中挫折するほどでした。

聴くほどに、トムのギタープレイは語り草となり、バンドサウンドはまるでかつてのレッド・ツェッペリンを想起させる重量感のあるものだと思うようになりました。決定的だったのは、1999年フジロックフェスでのライヴ(伝説なのは1997年)で、異様で危険な地響きから“Bulls On Parade”(2枚目「Evil Empire」収録) で一気に頂点に盛り上がった、生涯最高のロックライヴを観たことです。

まずは破壊的な2.Killing In the Name を聴いて耐性があることを確かめてから、トムの革新的なギター連発の5.Bullet In the Head 、6.Know Your Enemy でこりゃただ激しいだけじゃないなとご理解いただき、10.Freedom で座っていられなくなったら1.Bombtrackに戻って聴き直すといった具合でお願いできればと。


2023-05-29

「御社のMVVは?」に答えられますか?

 

ChatGPTさんに質問「企業経営にとってビジョンとは何ですか」答え「企業経営におけるビジョンとは、将来の目標や方向性を示す、組織の理想的な姿や未来像を表現したものです。ビジョンは、企業の使命(ミッション)や価値観と結び付いており、経営者や組織の指導者が示すべき重要な要素です。」

最近では、ミッション、バリュー(価値観)、ビジョンの3つを略して「MVV」と言うこともあるようです。主に大企業ではさらに「パーパス」なんて言葉も使っています。一般用語はChatGPTさんに聞くといいですが、よいコラムを見つけたのでリンク先へどうぞ。

コラムを参考にしますと、ビジョンは「目指す姿」ミッションは「何をする会社か」バリューは「企業の価値観、行動基準」とあります。これを決めるのは社長を含めた経営陣の仕事です。こんな教科書みたいなの嫌だと思うかもしれませんが、社長の人間性と社員の根性だけでなんとかなるほど世の中あまくありません。ここはもう現実的かつ素直になって、がんばって明文化していきましょう。好きな企業やブランドのホームページに行くと書いてありますから参考にしてはと思います。

私は35歳のときに起業した際、教えてくれる人がいて経営陣で半年くらいかけて策定しました。10年以上経ってかつての仲間が集ったとき、全員がその会社のMVVを言えたのは嬉しかったです(行動基準は11個あったのでところどころ忘れていましたが)。そしてそれぞれ独立した先で経営に本気で取り組んでいるからこそ、ビジョン策定の大事さを理解していたようです。

2023-05-26

Love Deluxe / Sade

 

Sade(シャーデー)は、Vo.のシャーデー・アデュを中心とするイギリスのバンド。おしゃれサウンドの代表格ですが、どのアルバムも聴き込むほどに深い世界を感じさせる作品です。ミニマルで質の高いサウンドプロダクションも他にはない味わいでよく聴いていました。

シャーデー・アデュの美しい佇まいにファンも多いでしょう。私のフェイバリットソングは1988年のアルバム「Stronger Than Pride」の1.Love Is Stronger Than Pride で、漂うようなサウンドが好きでした。1992年の本作はさらに心の内面に潜り込んで静かに燃える感情を表現していると思います。

彼ららしい陰影に富んだサウンドの1.No Ordinary Love から始まり、淡々としたリズムに何かを訴える意志を感じる2.Feel No Pain 、静かに喜びを感じる5.Kiss of Life 、悲しみに覆われた7.Pearls 。どれも孤独な心に寄り添った曲になっています。


2023-05-25

ギターとウォークマンと車

 

今になって思い返してみると、音楽をちゃんと聴いていなかったかも、と思います。特にエレキギターを弾くようになってから。家のオーディオで音楽を鳴らすとついギターを持っていました。曲に合わせて弾きます。ギターアンプのスイッチを入れます。すると音楽を聴いているのか、自分のギターの音を聴いているのか定かではなくなります。

いろいろなギタリストの曲を聴きたくてレンタルレコードで数枚借りてきては、カセットテープに録音しウォークマンに入れて移動中に聴く。つまり音楽を聴いているのは移動中だったということです。せっかくオーディオを持っていたのに、音の記憶はカセットテープ&ウォークマンが出していた音が大半ということです。

ウォークマンについている低音を強調するスイッチをONにして聴いていたので、曲の記憶もそういう音。今では音をなるべく加工せずに聴くので、昔のCDを聴くと逆に「あれ、こんな迫力のない音だったっけ」なんて思ったりすることもあります。

大学を卒業して仕事をするようになると、会社にいることが多くなり、やっぱり音楽は移動中になります。カセットやCDのウォークマンはもちろん、車の中で聴くことも多かったです。MTVなど衛星放送に関わる仕事もしていましたから音と映像は身近にあって、多くの作品を聴くためにもっぱらソフト(CDやLD、DVD)にお金を注ぎ込んで、自宅のオーディオにはお金をかけず買ったものを故障するまで使い続けていました。

今になって時間ができて、かつて聴いていた音楽をまた聴いてみています。なるべくエレキギターに手を伸ばさないように...。

2023-05-24

Lean In / Gretchen Parlato & Lionel Loueke

 

Gretchen Parlato(グレッチェン・パーラト)はアメリカのジャズ歌手で「Live in NYC」というライヴアルバムを愛聴していました。共演のLionel Loueke(リオーネル・ルエケ)はアフリカ中西部ベナン共和国出身のギタリスト&歌手です。ハービー・ハンコックやウェイン・ショーター参加のアルバム「Karibu」を愛聴していました。今作は好きなアーティストの共演になります。

グレッチェンが歌い出すと一瞬でそのアンニュイで優しい世界に引き込まれそのまま抜け出せなくなります。リオーネルのギターも優しく丸い音色で絡んできます。加えてこのアルバムの魅力は全体にわたってアフリカのリズムを感じられること。ふたりが組み合わせるとどこの音楽とも思えない不思議な浮遊感につつまれていきます。

オススメは、目の前でふたりがささやき合っているような2.I Miss You 、グレッチェン得意の手拍子とリオーネルのアコギが気持ちいい7.Muse 、グレッチェン夫君のマーク・ジュリアナがパーカッションしている9.Lean in は独特のアフリカンリズム。ニューヨークのジャズクラブでの演奏を思わせる11.Dou Wé Interludeも刺激的。


2023-05-23

Oranges & Lemons / XTC

 

XTC(エックス・ティー・シー)はイギリスのロックバンド。大学時代、先輩と作曲しているときに前作Skylarking(1986)をよく聴いて、雰囲気だけでも曲に反映できないかと思っていました。完成度の高い曲調からザ・ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズの後継とかひねくれポップとか言われることもありました。

当時さまざまなギターロックバンドを聴いていましたが、XTCの曲はメロディとコード進行が思いつかないほど絡み合っていて「ああ、天才が作曲するとこんな感じになるんだな」と思っていました。彼らのポップでキャッチーなところは、たぶんメロディー先行で作曲していると思います。

1992年の本作、1.Garden of Earthly Delights からいきなりひねくれています。2.The Mayor of Simpleton はCMソングに使えそうなポップな曲。でも一筋縄ではいかない工夫があちこちに。5.The Loving なんてもうビートルズです。9.Merely a Man のギターサウンドもかっこいいし曲展開もサイコー。こうしてたまにビートルズ以外の天才に浸るのもいいですよ。