2024-10-08

デヴィッド・ギルモアのギター

 

先月“ジンジャー”にてnote仲間の方々と集まったときに、好きなギタリストにデヴィッド・ギルモアが挙がりました。その際オーナーがかけていた映像がカッコよくて見入ってしまいました。

実は最近やっとデヴィッド・ギルモアのギターの良さがわかるようになったんです。ギターキッズとしては音数は少ないし演奏は長いしテクニカルに感じなかったわけです。中学生の頃通っていた寺子屋のような塾に、なぜか見目麗しいオーディオが置いてあり、そこでピンク・フロイドを聴けといくつか聴いたのですが、なんともピンとこない。その印象が続いてしまいました。

黒いストラトキャスターに白いピックアップ、メイプルネック。ストラト弾きの僕としてじっくり耳を傾けるとこれがなんともシングルコイルらしい素晴らしい音。深めのディレイ&エコーもあって音色とフレーズが沁みるように伝わってきます。そうしてピンク・フロイドもギルモア中心な後期を聴くと、演奏も音質も痺れるほどいいです。

聴いていて、自分の中で鳴っている音がありました。ポール・マッカートニーの「No More Lonely Nights」のギターソロです。何度も聴いたこの印象的なギター。そうかギルモアだったか。

会話がきっかけとなり“知っていたけれどあまり聴かなかった”ミュージシャンを再発見できるのは音楽好きにとって楽しいことのひとつです。

2024-10-04

Lifescape / Taka Nawashiro

 

Taka Nawashiro(苗代尚寛)は日本のギタリスト、作曲家。医者になる道もあったそうですが、2017年にニューヨークの大学にてプロを目指し卒業時にはJohn Coltrane Awardを受賞するなど才能に恵まれたミュージシャンです。今は東京を拠点に、2024年本作でも日本を代表するジャズミュージシャンの馬場智章Saxや石若駿Drが参加しての作品となっています。

ジャケット写真のギターは、スペインのSoulezza Guitars(ソウレッツァ・ギター)というヘッドレスギターだそうです。彼のギターの音色はこのコンパクトボディから、歌うように滑らかな表情をみせる個性的なヴォイスが生まれているんだなと思います。フレージングも気持ちよい風のような印象を受けました。

1.WindBeast から複雑なリズムでありながら全くそれを感じさせない曲で、作曲家としての持ち味も感じました。2.Promise of 60 は女性ヴォイスも参加してスリリングな曲。キレのあるドラムソロプレイが光ります。表題曲8.Lifescape は静かでありながら彼のギタリストとしての味わいを感じることができる作品。ニューヨークと東京をまたいで、新しい創作のあり方やコラボレーションを実現した新世代のアルバムだと思います。

2024-10-01

音楽好きが集まるお店

 

東京のイーストサイド、江東区の清澄白河にあるカフェ「ginger.tokyo」はポークジンジャーやバターチキンカレー、タコライスが美味しいお店でありますが、なんと7インチ盤を中心にアナログレコードも販売されています。

オーナーはとても親切な方で、もちろん音楽については詳しいどころじゃない。「note」への投稿を読んでみれば、その幅広さ奥深さにますます興味津々となっておりました。お店主催のイベントではたとえば「80年代特集」と題して、オーナーが映像とGoodサウンドでDJ。音楽好き仲間がワイワイ、僕も時間を忘れて楽しみました。

そしてなんと“ジンジャー”には、noteに投稿する音楽好きツワモノたちが集まっているとお聞きしてお店に行ってみると、まあ皆さんオープンでフランクで、ほんとに音楽が好きでたまらない方々で、こっちが嬉しくなってしまいました。仲間に入れていただき、いまや月イチ定例になるくらい楽しみなオフ会になりました。

ここで知り合ったnote仲間の方々の投稿を読んでは聴いて、CD棚の前に立って、サブスクでもDigって。いままで聴いていなかった音楽や知っているけれどちゃんと聴いていない曲を聴く機会が増えました。お店でアナログレコードの音の良さも再発見したりして、レコードプレイヤーを検索してしまうというのもあります...。

2024-09-27

50 / Herb Alpert

 

Herb Alpert(ハーブ・アルパート)はアメリカのトランペッター&音楽プロデューサー。御年89歳。A&Mレコード創業者で“A”は彼の名前から。“ヴォーカル曲とインストゥルメンタル曲の両方で、ビルボード誌全米シングル・チャートNo.1を獲得した唯一の人物”だそうです。2024年新作は通算50作目、奥様との結婚50年アニバーサリーでこの題名に。

僕の世代にとっては、なんといっても「オールナイトニッポン」のテーマ曲「Bittersweet Samba」の人です。新作を聴くと深めのエコーのトランペットが、やはりなんとも昭和郷愁を感じさせて、ほんわか&ウキウキします。この感じを出せるのは彼しかいないのではと思うとオリジナリティに満ちた人だなと感じます。

2.Sh-Boom はドゥーワップ・クラシックだそうですが、これまたラジオ番組が始まりそうです。すごくいい感じ。3.Are You Lonesome Tonight? はプレスリーの曲。泣かせます。これ聴いて夕日を見たらたまりません。4.Baubles, Bangles And Beads も有名曲とのことですが軽快で小躍りしたくなるアレンジ。一貫性がありながら、飽きることのない音作りで楽しませてくれるアルバムです。

2024-09-24

「趣味は?」って聞かないらしい

 

YouTubeで「【解説】驚きの報道!趣味「音楽鑑賞」が絶滅寸前!?」なるタイトルが目に入り見てしまいました。詳細はリンクから動画を見てていただくとして、女子高生の親として「言えているなぁ」と思う部分がありました。

若者(に限った話ではないかも)は「趣味は?」と聞かれて「音楽鑑賞」と答えない傾向であると。音楽を友達と話すことはない、年長者に「何聴いている?」と聞かれて答えると「なにそれ?」って言われたりして面倒くさい、サブスク有料は月1000円もかかると。コミュニケーションツールにならないし、コスパ悪い、んだそうです。

初対面で「趣味は?」と聞かれることもほとんどない世の中だそうですが、勝手に“こんな人”とイメージ付けされるリスクを嫌がるのかもしれません。「そんなの聴いているの?」はNGワードです。これもコスパにつながる話ですが。

一方で、「特定のアーティストは聴く」んです。つまり“推し”ですね。それを積極的に人に言うかというとそうでもない。これは個人的意見ですが、そのアーティストのライヴに行くとファンだけが集まるので、大袈裟に言うと価値観が合った人と会えてうれしい、的なことはあるのかなと思います。

娘の話から友達と音楽の話で盛り上がった話は聞いたことないですし、自分がイヤホンで聴いている音楽を人に話したような感じはありません。たぶん趣味は?と聞かれて“音楽”とは言わないでしょう。かといって、オタクなほど探求しているものはあるんです。でも友達に言うわけではない。

若者の全員が全員そういうわけではないですし、音楽ビジネス市場規模は伸びているのだからこれでいいのではとも思います。娘の世代がどんな傾向にあるのかは知ったうえで、オジサンの考えを若者に押し付けることなく、僕は僕で我が道を行く、というのが答えのようです。


2024-09-20

Alone / Wayne Escoffery

 

Wayne Escoffery(ウェイン・エスコフェリー)の2024年新作も、SMOKE Sessionsから。僕のブログでは2度目の登場です。ニューヨークのテナーサックス奏者。ジェラルド・クレイトンP、ロン・カーターB、カール・アレンDrのワンホーンカルテットです。なんでも休暇中に指を骨折したりして孤独な時間を過ごしているうちに構想したアルバムだそうです。

夜にひとりで聴くにふさわしい、内省的で哀愁ただようサックスです。手数も少なめで音色がしっかりと伝わってきます。個人的にはデクスター・ゴードン(僕が所有している数枚のアルバムは2曲目がいつもバラード)を思わせるバラード集です。

1.Moments with You 1曲目からソファに身を預けてゆったりモードです。あぁいい時間が始まったなと。ピアノの音の美しさが光る4.The Ice Queen はウェインの個性的なオリジナル。心の移り変わりを味わいます。映画「いそしぎ」の5.The Shadow of Your Smile も深いアレンジ。ゆっくりと語りかけるようなサックスに酔いしれます。SMOKEの高音質録音をハイレゾで堪能できます。

2024-09-17

「ローレル・キャニオン」を観て

 

Amazonプライムビデオで「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」を観ました。ほかにもクロスビー、スティルス、ナッシュ(&ヤング)やリンダ・ロンシュタットのドキュメンタリーも観ました。ママス&パパス、バッファロー・スプリングフィールド、ザ・バーズ、ザ・ドアーズ、ジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウン、イーグルスといったアメリカンフォーク〜ロックの面々が登場。

僕は80年代が高校大学でしたから、当時ここらへんはほとんど聴いていませんでした。ヒッピーとかサイケとか言っても思い浮かぶのはジミヘンくらいで、聴くのはアメリカよりもイギリス方面ばかりだったと思います。

65年〜75年くらいの洋楽なので、10歳〜15歳くらい年上の先輩方は知っていて当然の音楽かもしれません。ところが僕自身1年前にボニー・レイットを気に入ってから周辺に興味が湧いたのでした。

ロサンゼルスのローレル・キャニオンという地域にミュージシャンたちが集まる自然発生的なコミュニティ。彼らの交流が新たな楽曲を生み、やがて大ヒットに。そして事件や精神的支柱だったママス〜のキャスの死などで終わっていく。

音楽が手元にあって、楽曲や歌声の良さを純粋に競っていた時代。CSNのハーモニーやジョニ・ミッチェルの歌声は宝石のようでもあります。そして同時にレコード会社の短期的収益やマーケティングの雲が覆い始めてきた頃なんだと思います。

ジミヘンといえばの、当時のモンタレーやウッドストックといったロックフェスで、大音量化〜スタジアムロック、ギターが延々とソロを弾くあたりで、やっと僕が聴いてきたものにつながります。イーグルスのライヴでステージからリンダ・ロンシュタットが去っていく姿が印象的でした。

“ホテル・カリフォルニア”の哀愁感もピンと来なかったくらい知らなかった時期ですが、少しわかったような気がしました。