2026-05-02

Around The World With U / Ulysses Owens Jr.

 

Ulysses Owens Jr.(ユリシーズ・オーエンス・ジュニア)はアメリカのドラマー。若手精鋭たち“ジェネレーションY”との共演シリーズ、2026年新作となります。今回は日本から寺久保エレナAs、治田七海Tb、中村恭士Bと3人が参加しています。ほかにアンソニー・ハーヴェイTp、タイラー・ブロックPというセクステット構成。

これぞジャズという音源をガッツリ聴くのはやっぱり気持ちよいもんです。ロックコンサートでスタンディングで楽しむのも良いのですが、ジャズクラブでゆったり座って、美味しい食事とお酒でお腹を満たしながら、スリリングな展開に食事の手が止まったままになったり、心温まるバラードにうっとりしたりする時間は、なんとも大人な愉しみで好きでした。

スリリングといえば、2.Bebop & Confirmation をお聴きあれ。ソニー・クラーク・トリオでお馴染み、これぞビバップ。次から次へと波のようにフレーズを高速でユニゾンで。ソロもノリノリです。うっとりといえば、7.The Light that Grew Amongst Us 。寺久保さんのアルトに浸ります。ラストの11.I'm Not So Sure ではジャズファンでなくとも体が揺れてしまうはず。ライヴ感覚溢れるこのアルバム、全般でユリシーズの巧みなドラムスに耳が奪われる1時間弱です。


2026-04-18

ラテン音楽、ふたたび

 

バッド・バニーは今年2月初旬、アメリカの国民的イベントであるNFL(アメフト)スーパーボウル(頂上決戦)のハーフタイムショーで、“憎しみより愛”をメッセージにパフォーマンス。我が家も家族3人でその録画を楽しみました。

今年のグラミー賞で年間最優秀アルバム賞を、史上初全編スペイン語作品で受賞したバッド・バニー。地元プエルト・リコの地銀がクリスマスシーズンに旬のスターや注目の若手を起用してCDやDVDを制作することを30年以上続けるという素敵な地銀なのですが、バッド・バニーは2018年に早くも起用されていたと。(「ゼロから分かる!ラテン音楽入門」世界文化社より)

昨年発表のアルバム「DeBÍ TiRAR MáS FOToS」の1曲目「NUEVAYoL」
エル・グラン・コンボ・デ・プエルト・リコの「Un Verano en Nueva York」で始まる

中南米から拡がったラテン音楽。僕は1988年あたりから90年代をとおしてレゲエ(ジャマイカ)、ボサノヴァやMPB(ブラジル)を中心にCDを集めていました。特にリズムの多彩さと進化はあまりに楽しくて、英語圏のロックを中心に聴いてきた耳にはとても新鮮に響きました。

ときは“ワールドミュージック”。六本木WAVEにて店内POPを読みながらスペイン語圏のCDも買ってヘヴィロテしていました。特に好きだったのはニューヨークのサルサ。奇しくも今年2月に亡くなってしまったウィリー・コロン、ルベーン・ブラデス、そしてファニア・オール・スターズ。プエルト・リコのコルティーホ(ボンバ)やキューバのアダルベルト・アルヴァレス(ソン)もよく聴きました。

ラテン音楽って日本でも馴染みがあるように思います。昭和歌謡にも多い印象。踊りたくなるようなリズムとちょっと哀愁を帯びたメロディ。僕個人の原体験は中学のときに聴いた高中正義の「SUPER TAKANAKA LIVE!」(1980年)。彼は今年73歳にしてワールドツアー即完売とは恐れ入りました。みなさんのラテン音楽原体験は何ですか?

30年以上経ってふたたびラテン音楽マイブーム。CD棚から引っぱり出すのはもちろん、サブスクで限りなく音源を漁れます。暑くなってきた春から初夏にぴったり。ここで熱く紹介したいのはファニア・オール・スターズのニューヨークはチーターで行われた伝説的なライヴ。会場の熱気がスゴイ!。Vol.2もありますよ。

2026-04-04

Honora / Flea

 

Flea(フリー)はアメリカのロックバンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)のベーシスト。彼がロックに行く前の少年時代、ジャズが好きでトランペットを演奏していたことに起因してアルバムを作ろうと思ったと。(レッチリの初代ギタリスト=ヒレルに会ってロックに傾倒していく姿はNetflixの“The Rise of the Red Hot Chili Peppers”に)アルバムアートワークは、彼の義理の母をイランで撮影したものとのこと。

僕自身、レッチリは当時からCDを聴いていて、フジロックでもライヴを観たりして、そのファンクネスと狂気なロックに触れてきました。フリーが熱き男であることは周知で、Netflixのドキュメンタリーでも明らかです。聴衆の心に響くものを追求してきた彼のこと、ジャズに挑んだ今作2026年初ソロフルアルバムでもその才能は発揮され、ほかには無い作品を生み出しています。

今回はジャズを聴く人にもオススメな曲を紹介。2.A Plea のかっこいいファンクジャズベース。こうなるんだなフリーが演ると。5.Morning Cry もとてもジャズしているんですが、リズムがやっぱりオリジナリティ。9.Willow Weep for Me 名曲“柳よ泣いておくれ”ではしんみりしたフリーを思い浮かべたりして。ロック好きにはトム・ヨークやニック・ケイヴ参加曲もあり、ファンカデリックの6.Maggot Brain では後ろでエディ・ヘイゼルのギターが聴こえてきそうです。ぜひ大きめの音量で部屋(脳内)をベース音で満たしてください。

2026-03-20

DATA ISO BOX導入

 

やっとDATA ISO BOX(トップウイング社製)を導入しました。音楽ストリーミングやリッピング音源再生の“ネットワーク改善”ツールとして、界隈では盛り上がりを超えて、もはや定番化している感があります。

(左から)OPT APとDATA ISO BOX(セットで77,000円税込)、すでに導入していたOPT ISO BOX(39,600円税込)

接続順は、インターネット→Wi-Fiルーター→DATA ISO BOX→OPT ISO BOX→Macbook(Qobuz)→DAC(UD-505)→アンプ→スピーカー

昨年導入したOPT ISO BOXはLANケーブル上に乗ってくるノイズたちを駆除してくれる、いわばハードウェア的対策。今回のDATA ISO BOXはLAN上にオーディオ専用の部屋を作ってくれるような、いわばソフトウェア的対策。

DATA ISO BOXの上流にあるWi-Fiルーターは、家族のスマホやパソコン、テレビのネット接続でしょっちゅうアクセスしています。使っていないときもアクセスしているんです。それら常時アクセスの影響から切り離してオーディオ専用のネットワークを作ってくれるというわけです。

さて音質はというと、声や楽器がよりくっきり明瞭に、どころではなく「こんな音で録音されていたのか」と驚かされます。ネットワーク改善前のストリーミングはCDに比べてどこかシラケた感があって“一応聴いている”ようなイメージだったのが、OPT ISO BOXでCDと同等になったと思ったら、DATA ISO BOX導入によってストリーミングがCDを超えてきたなと。

音の粒立ちが明確になって、上下左右前後のどこで鳴っているかがわかります。中高域が改善されたのではと思いますが、つられて低域もさらにはっきりして迫力が感じられます。

OPT ISO BOXの効果を30とすると、DATA ISO BOXの効果は70くらいあります。でもこれで100。ネットワーク改善は基本的にこれで完成でいいかなと。

ちなみにOPT APは、そのオーディオ専用ネットワークを無線LAN対応にするもので、今まで同様にスマホやタブレットで曲をコントロールできるようにするものです。
※同じアカウントでログインしているMacbookのQobuzアプリのQobuz Connectを使う僕はいまのところ使用頻度が少ないです。

大事な点は、OPT ISO BOX同様、DATA ISO BOXにも電源ユニットDC POWER BOXから電源供給していること、そしてDCケーブルもDC Au Cable 2.1に変更していること。これらの音質への貢献は大きいです。

最初からすべてを揃えるのではなく、もしストリーミングの音をよくしたいと思ったらまず、DATA ISO BOXの導入から始めるのがオススメとなります。

2026-03-06

Side-Eye III+ / Pat Metheny

 

Pat Metheny(パット・メセニー)の6年ぶりのスタジオ録音による2026年新作。若手と共演するプロジェクトSide-Eyeの第2弾ということで、前作「Side-Eye NYC (V1.IV)」での構成であるドラムスとキーボード(ベース兼)を引き継いで、今回はクリス・フィッシュマンP&Key、ジョー・ダイソンDsとの共演となります。(ベースにDaryl Johnsなる名前があるのですが、たぶんスティング〜ローリング・ストーンズの彼とは別人物だと思う)

先月27日にストリーミング全曲発表以来、アルバム通して毎日聴いています。近年アコギな落ち着いた作品が続いただけに、うぉーっ!これはメセニー・グループ(PMG)節が帰ってきたぞと盛り上がっております。今回はゴスペルなヴォイスが大幅にフューチャーされていてこれがすごく効果的。71歳にしてこの新境地。やっぱりスゴいなメセニー。

まずは1.In On It ですよ。来たきたー。譜面渡された若手も大変だなぁ。聴きまくったPMG作品の数々が蘇ってまいります。2曲目3曲目も長尺でどっぷり。得意のギターシンセも響かせてくれます。メセニーを聴かない人にもオススメなのは4.Urban and Western 。ソウルフルなギターとオルガンでゆったりときて、徐々にゴスペルで盛り上がる新機軸。なんかアレサ・フランクリンのナチュラル・ウーマンを思い出しました。若手ふたりの凄腕プレイが光る5.SE-O もぜひ聴いてほしい。過去作品とはひと味違うアメリカの風景を織り交ぜた、メセニーの新しい音世界をご堪能あれ。

2026-02-13

おうちでジャズ喫茶

 

寒いですね。冬ですからしかたない。こんな日は“おうちでジャズ喫茶”ごっこすることにします。ジャズクラブの仕事をしていたときは暇を見つけてジャズ喫茶に行ったりして楽しんでいました。いまは外国人の方にも日本特有文化の珍しさで知る人ぞ知る存在だそうです。

うちのスピーカーJBLを朗々と鳴らしたい。というわけでCD棚の前に立ってどれにしようかなというのは幸せな時間。マイルス、コルトレーン、ビル・エヴァンスといったド定番は案外ジャズ喫茶でもかからないんですよね。というわけで選んだのはこの3枚。温かいコーヒーでも用意してからどうぞ。


左から1枚目、ハンク・モブレーの「ソウル・ステーション」から1曲目の「リメンバー」。モブレーのテナーサックスがエコーも気持ちよく、優しく軽快に響きます。口笛で吹きたくなるほどのキャッチーなメロディ。難しいフレーズ無し。ジャズファンでなくたって安心して聴けますよ。ウイントン・ケリーのピアノソロもポール・チェンバースのベースソロも、誰かさんと一緒のときの緊張感はなくリラックスリラックス〜。


お次はジョー・ヘンダーソンの「ページ・ワン」から1曲目「ブルー・ボッサ」。一転してエコーの少ない録音。眼の前で演奏しているかのように各楽器がハッキリ鳴ります。ケニー・ドーハムのトランペットの細かい震え奏法?もそこで鳴ってる。ちょっと昭和歌謡なメロディが素敵でこれまたキャッチー。ジョーヘンのソロはモダンな感じ。マッコイ・タイナーのピアノが華をそえて、ブッチ・ウォーレンのベースもリズミカル。


3枚目はホレス・パーランの「アス・スリー」から1曲目「アス・スリー」。まぁこれはオーディオ好き定番かな。初っ端ジョージ・タッカーのベース音からもうかっこいい。んでアル・ヘアウッドのブラシですよ。スピーカーでこの疾走感が出ないと。パーランのピアノが入ってきたら3者一体のこのグルーヴ。これぞジャズ!コーヒー飲んでる場合じゃないです。


実は3枚ともブルーノートで4000番台、録音はルディー・ヴァン・ゲルダーで選んでみました。どれも1曲目をかけましたが、気に入ったらアルバムごと聴いてみてください。それぞれアルバム全体のキャラクターがありながら、別の表情も見せてくれます。そうそう、アルバムジャケットもそれぞれイケてます。

2026-02-06

Scenes From Above / Julian Lage

 

Julian Lage(ジュリアン・ラージ)はアメリカのジャズギタリスト、作曲家。1987年生まれの37歳ですが、“現代ジャズギターの最高峰”と呼ばれるほどの実力者です。リーダー作として17作品目にあたる2026年ブルーノートからの本作は、ベーシストありのオルガン・カルテット作品です。

オルガン奏者はジョン・メデスキ。ジャズ・ファンクなジャムバンド、メデスキ・マーティン&ウッドとして、ジョン・スコフィールドGとよく共演していたことを思い起こします。オルガンとギターの組み合わせは好きですね。今回ジュリアンは、エレクトリックだけでなく、アコギも合わせてきています。ジャズギターはフルアコのモコっとした音色が代表的ですが、ジュリアンはさにあらず、実に様々なギタートーンを聴かせてくれてそれが彼の個性になっていると思います。

1.Opal から、これファンクじゃないなと。メランコリックで拡がりのあるサウンド。懐かしいような風景が浮かびます。個人的には3.Talking Drum がノリノリで好き。オルガンもホットでバンドサウンドを味わえます。続く4.Havens がアコギの曲。これは新しい食感だなぁ。でもオルガンとすごくマッチしていると思います。ギターの音色も音選びもいままでのジャズギターにはない、曲調もジャズらしくはない、でも噛めば噛むほど味わい深いアルバムです。