2024-12-03

ボニー・レイットを聴く日々

 

せっせと、あれよあれよと、ボニー・レイットのアルバムを集めてしまいました。ドン・ウォズとの仕事を終え、マイケル・フルームとチャド・ブレイクをプロデューサーに迎えた「ファンダメンタル」から最新作まで。

ボニー・レイットのCD

なにがいいってまず、音。クリアで高域から低域までバランス良く出ていて、どの楽器もグッと前に出てくる。ベースやバスドラの迫力良し。やっぱり特にスライドギターの音がたまらないです。サブスクでもいい音は感じていたのだけど、CDで聴きたくなってしまったのです。アナログで聴いたらもっとスゴいかも。

そして、曲。ノリノリもバラードも僕のツボでした。似たような曲で飽きるかなと思っていたのですが、全然そんなことない。聴けば「うん、この曲もいい」ってなってまた聴いている。彼女の声と曲がこのうえなく合っているんでしょうね。バラードはほんとに沁みます。

ボニー・レイットを昔から聴いている方は、もっと前の時代のものが好きなんだと思います。それらもサブスクで聴きましたが、僕には近作のほうが好みのようです。というわけで、何か聴こうかとまずボニー・レイット、ほかのをいろいろ聴いたらまたボニー・レイットに戻るみたいな聴き方をかれこれ1年以上続けています。

2024-11-29

Brightlight / Avishai Cohen

 

Avishai Cohen(アヴィシャイ・コーエン)はイスラエル出身のジャズベーシスト。14歳のときに米国セントルイスに引っ越し、その後ニューヨークへ。チック・コリアとのトリオで頭角を現し、1998年にアルバムデビュー。イスラエルに戻って活動を続けています。2024年新作は昨年からツアーを回っている若い才能、ロニ・カスピDr.とガイ・モスコビッチPを中心とした意欲作です。

ジンジャーのオーナーさんも今週noteに書かれていましたが、注目は若き女性ドラマー、ロニ・カスピです。記事のYouTubeで初めて観ましたが、おっしゃるとおり“叩きかた”がいいんです。もちろんジャズドラムは押さえているのですが、きっとヒップホップもロックも聴いているはず。特に左手のスネア(の中央)とリム(枠の部分)を同時に叩くオープンリムショットはとてもいい音を出していてこだわりを感じます。ベテランのアヴィシャイが惚れ込んだだけあるミュージシャンだなと思います。

全般にアヴィシャイのベースがいい音していて気持ちがよいです。たとえば4.The Ever And Ever Evolving Etude での彼のベースを始め3人のプレイは息を呑む演奏で素晴らしい。そしてロニのドラムスが際立つ7.Roni's Swing を。キレの良いスイングが堪能できます。スタンダードの10.Summertime だってシングルヒットしそうなカッコいいアレンジ。バランス感覚に優れたピアノのうしろでロニさんビシバシ決めています。ちゃんとベースが響く音量で鳴らしてください。もう1回頭から聴こうってなりますきっと。

2024-11-26

オーディオケーブル試聴会

 

先週、御茶ノ水のオーディオユニオンで開かれたイベントに行ってきました。BJ Electric社製オーディオケーブルの紹介ということで、総販売元でもあり日頃オーディオについていろいろ教えていただいているBEAT&VOICEの堀部さんによるトーク&試聴イベントでした。

アンプやCDプレイヤーは背面という珍しいプレゼン

我が家のオーディオでもアンプやCDプレーヤーのRCA、XLR、デジタル同軸各種ケーブルからPCをつなぐUSBケーブル、そしてスピーカーケーブルもBJ Electric社製です。ノイズ対策がしっかりなされて、かつ余計な色付けがまったく無い。しっかりと音源の音を伝えてくれている感じがします。オーディオグレードにもかかわらずリーズナブルな価格(2〜3万円台)で購入できるので少しずつ買い足すことができました。

もうこれでケーブルについては悩むことはない、と思っていたら今回「KAMシリーズ」の音を聴いてしまった。より音が鮮明に、空間を拡げてみせてくれます。手持ちの機器のグレードを一段上げてくれちゃう感じです。それもそのはず1セット20万円くらいしますので。オーディオの魔界にはもっとお高いケーブルはゴロゴロありますし、実際に買う人がいるわけなんですが...。まあ今回は存在を知ったということまでにしておきます。

以前、BJ Electric社の石河社長ともお会いして音づくりの思いもお聞きして、パワーアンプも導入しています。片手で持てる小型アンプでありながら、それまでに聴いたことがなかったガツンとした音を聴かせてくれています。小さな工房で、材料を吟味して、ひとつひとつ丁寧に作られている、実直な姿勢がアンプやケーブルの伝える音にも現れているんだと思います。

2024-11-22

I Hear Echoes / George Cables

 

George Cables(ジョージ・ケーブルス)はアメリカのジャズピアノ奏者。ソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードン、アート・ペッパーといったジャズサックス巨匠たちとも共演しているレジェンドです。2024年の本作はピアノトリオで、御年80歳とは思えない演奏をニューヨークにてライヴ録音したものです。

しばらく聴いていなかったピアノトリオでしたが、note仲間の投稿を読んで、ハンク・ジョーンズはThe Great Jazz Trioの数作(トニー・ウィリアムスやエルヴィン・ジョーンズがDrのもの)を聴きなおしては「やっぱりいいなぁ」となっていました。そんなところにこの新作アルバムを見つけて、演奏や音質のよさにリピートすることになりました。

1.Echo of a Scream が勢いよく始まり、一瞬どこの若手の演奏かと思うくらいでした。マイルスの3.So Near, So Far も若々しい演奏。でもドヤ感はなく落ち着いた雰囲気。リラックスして演奏を聴くことができます。彼のもうひとつの持ち味はまるで歌うように弾くこと。7.Like a Lover や9.Blue Nights といったポップな曲では、ライヴで楽しそうに弾く姿が目に浮かびます。

2024-11-19

リコメンド会@ginger.tokyo

 

週末は、清澄白河の音楽好きが集まるカフェginger.tokyo」にて、参加者が好きな音源を持ち寄るリコメンド会が開かれ参加してきました。オーナーさんのおかげもあって徐々に常連さんにも受け入れていただき、毎回楽しませてもらっています。

それにしてもみなさん心から、実体験から“好き”と思った音源を披露されていて、解説を話すマイクを握りしめながら楽しそう。だから推薦する曲がその人なりというか個性的。様々なジャンルや年代の曲を聴くことができて、ジンジャーならではだなぁと思いました。

僕は以前ジャズクラブをやっていたので今回はジャズを紹介。今月11月に91歳で亡くなったクインシー・ジョーンズが21歳のときに編曲したヘレン・メリルの「You'd Be So Nice To Come Home To」を。1954年(70年前)の録音でモノラルながら素晴らしいヴォーカルが聴けます。ヘレンは当時24歳にしてこの成熟ぶり。途中の宝石のようなトランペットソロを聴かせるクリフォード・ブラウンも24歳の名演です。


評価絶頂にあったクリフォードは1年半後くらいに自動車事故で25歳の若さで亡くなってしまいます。ちなみに親日家であられるヘレンはいま95歳でご存命です。

もう1曲は、そのクリフォードと一糸乱れぬテーマを演奏する、今月11月に98歳で亡くなったルー・ドナルドソンAsの名演が聴けるアート・ブレイキーの「A Night at Birdland Vol.1」から「Quicksilver」を。


ジャズクラブではオーディエンスにこんな熱い演奏を聴かせることができたらと思っていました。そして、もうひとりこの11月に99歳で亡くなったジャズドラマーの巨匠ロイ・ヘインズについては次回12月のジンジャーにて“リベンジ”したいと思っています。

2024-11-15

We See / Steve Davis

 

Steve Davis(スティーヴ・デイヴィス)はアメリカNYのトロンボーン奏者。SMOKEのクラブ25周年、SMOKE Sessions Recordsの10周年記念盤とのことで、2024年の本作は嬉しいライヴ録音になっています。エディ・ヘンダーソンTp、ラルフ・ムーアTs、リニー・ロスネスP、エシエット・エシエットB、ルイス・ナッシュDrの三管セクステット。これまた大好きなハードバップを繰り広げています。

それにしても今月はジャズ界巨匠の訃報が相次ぎ、クインシー・ジョーンズ、ルー・ドナルドソン、ロイ・ヘインズといずれも90歳代で亡くなっています。彼らが20代そこらの時代に築いた音楽がこうして今現在もニューヨークの街角で元気に演奏されていることに驚きと嬉しさを感じます。ジャズクラブがこうした熱気を失わないで続いていくことを願っています。

マイルスの1.Milestones から「イイねぇ」となります。演奏がシャキッとして爽やか、元気が出ます。拍をずらして入ってくるトランペット、ニヤリです。すかさずスティーヴのトロンボーンのソロが暖かい音色なんです。モンクの3.We See もクラブで聴いてみたい曲です。きっと楽しい。締めのマイルス7.All Blues もオリジナルに近い演奏で観客の笑顔が目に浮かぶよう。ライヴでもSMOKE高音質録音なので、部屋をジャズクラブにして秋の夜を楽しみましょう。

2024-11-12

出張とレコ屋めぐり

 

このところ遠方への出張が相次ぎました。地元の美味しい食をいただくのも楽しみでしたが、今回は中古レコード(CD)屋を見て回ることも楽しみに加えました。事前にGoogle Mapに保存しておいて、駅に着いたら近いのはどこかなと探します。レコード復活の現在、外国人のお客がおそらく数時間物色(仕入れ?)していました。来日の目的がこれなんでしょう。

広島GROOVIN'

高松ROOTS RECORDS

その昔、どこに行くにしても立ち寄るのはCDショップだった時代がありましたが、ネットで購入するようになった頃から行かなくなり、サブスクが始まって追い打ちをかけました。しかし久しぶりにこうしてショップ巡りをすると楽しさが蘇ってくるような。時間を忘れてパタパタ、引っ張り出ししていました。掘り出し物は無いかなと店内をあちこち。

僕もApple MusicやQobuzとサブスクで聴くことが多くなっていますが、買ったCDを持ち帰ってプレイヤーにかけるまでの時間が楽しいですね。中身を知っていたとしても、です。サブスクは探し当てたらクリックですぐ聴けちゃうので、そのワクワク時間がない。ジャケットを眺めたりブックレットに目を通しながら、結局アルバム1枚を聴き終えるのがレコードやCDなのに対し、サブスクではそれがない。

レコードやCDはプレイヤーに載せるたび、ちょっとしたワクワク感を短時間でも味わうことが喜びのひとつであるわけです。だからCD棚を捨てるわけにはいかない。“サブスクに全部あるんだからいいんじゃないの”に対抗する言い訳ですが。