Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)のカルテットは2008年作「Metamorphosen」で頂点を極め誰も追いつけない領域に入りました。長年活動をともにしてきたドラムスのジェフ・テイン・ワッツが抜けて、新たに二十歳前のジャスティン・フォークナーを迎えて録音した3枚目が2019年の本作です。ジェフに負けないほどのアグレッシブなドラムスでこの最高峰のカルテットを支えています。
この頃は僕自身ジャズクラブを経営したりして公私共にジャズ漬けでありました。聴く音楽もジャズ以外はあまり受け付けない体になっていました。グラスパー以外で、骨のある“今”のジャズを聴こうと思ったらブランフォードの作品になっていました。媚びない太いサックス、アコースティック楽器としてフルに鳴らし切るピアノ、ベース、ドラムス。やっぱりこういうジャズがいいなぁと率直に思ったものです。
地鳴りのようなベースで始まる1.Dance of the Evil Toys でそれが証明されます。一筋縄ではいかない旋律、フリーな演奏。熟練した者だけが出せるサウンドです。そして2.Conversation Among the Ruins でのソプラノで得意の哀愁を聴かせてくれます。4.Cianna のラテンがまた大人の音楽といった雰囲気でちょっとダンスしたくなります。5.Nilaste ではカルテットの本領発揮とばかりに、これでもかのアグレッシブな演奏を聴くことができます。
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