2023-09-25

社長にだけはなりたくない!

 

「てやんでぇ!社長」も8ヶ月ほど書いてきました。20年程やってきた社長や経営者という仕事を振り返って、次代にどんな仕事に就くかわからない娘に向けて思いつくところを書いてみました。これを読んだらおそらく「社長なんてやりたくない」と言うでしょう。理由は大変そうだから。そりゃ、これだけいろんなこと考えなきゃならないし、やらなきゃいけないんだからそう言うのも無理はない。

社長になるとまあ批判が多いですよ。悪口、陰口、野次も。足も引っ張られるし、後ろから矢が飛んでくるし、揚げ足もとられる。結果が悪いと責任とって辞任したり減給したり、しなかったり...。開き直って「悪いのは自分じゃない」とばかり部下のせいにしたり、取引先のせいにしたり。不機嫌を周囲に撒き散らして、さらに悪口が増える。

できることなら社長にだけはなりたくない、せめてNo.2以下、いやいや平社員が一番。だって言われたことだけやってれば給料もらえるんだから。余計なことはしないほうがいい。なんとか仕事をやっつけて、たまにゃ時間外に仲間と会社や社長への愚痴でもいいながら食べたり飲んだり。こっちだって大変な仕事やってやるんだから愚痴ぐらい別にいいだろと。

選択の時代”ですから、どんな人生を歩もうとそりゃ人の勝手です。死ぬときゃみんな独り、あの世には何も持っていけません。死んだあと何を言われようと自分には何も聞こえません...。
でもまあ奇跡のような縁あって、父と娘なわけですから、娘が生きていく過程で自ら“選択”するときにちょっと参考になればと思い、あと数ヶ月書いてみます。

2023-09-22

Everything Must Go / Steely Dan

 

Steely Dan(スティーリー・ダン)のCDですが、我が家には「彩(エイジャ)」(1997年作)が5枚、「ガウチョ」(1980年作)が4枚あります(SACD含む)。リマスター違いでもあり、わずかですが音が違う。レコードプレーヤーを持っていたらこの倍は揃えていたはずです。音質も演奏も曲も最高クォリティだからこそ、最高の音を聴きたいという思いからです。

2003年の本作は実質ラスト・スタジオアルバムです。2017年にウォルター・ベッカーが亡くなりドナルド・フェイゲンだけになってしまいました。このアルバムももちろん最高クォリティです。ロックでありソウルでありジャズである唯一無二のサウンドです。僕はスピーカーやヘッドフォンをチェックするときには彼らの音源を用意します。このサウンドを気持ちよく鳴らすことができる機器であることが条件です。

たとえば1.The Last Mall の細かく刻むハイハット、薄くドライヴかけたギター、絶妙に絡んでくるホーンセクション、終わり方にシャレが効いています。歯切れのよいリズムの2.Things I Miss the Most はキャッチーでありながら独特のハーモニーとコード進行、ポップで覚えやすい3.Blues Beach のスネアの乾いた音、変わった音色の装飾などなど、このあともずっと丁寧に作り込まれた、そこにあるべくしてそれしかない厳選されたサウンドとアレンジを聴くことができます。

2023-09-21

原始的に衝撃を受けた曲

 

これまで音楽を聴いてきて「衝撃!」と言える音や曲が誰にでもあると思います。それこそ説明書きなしに聴いて「なんじゃこりゃぁ」となった音源です。僕にとってその曲とは、中3か高1のときにFMラジオで聴いたヴァン・ヘイレンの1stに入っている「Eruption」です。

中古のエレキギターを手に入れてリッチー・ブラックモア最高!と弾き始めた頃、この世のものとは思えないギターを聴いてしまいました。エディことエドワード・ヴァン・ヘイレンが爆撃のように始めて、ぶっ飛んだソロをこれでもかと展開する短いインスト曲です。邦題は「暗闇の爆撃」とあってそのとおりだと思いました。

まともな言葉では説明できない。すげーな、どーなってんのこれ、うぉーっ!っていう感想しか出てこなかった。とても原始的な感動です。こうなるともう説明不要、音質関係なし。爆音で部屋を耳を満たすことで何度でも衝撃!です。こんなギターを弾けるようになってみたい、こんなサウンドを出してみたい、と僕のエレキギター熱は急上昇したのは間違いありません。

あとで知ったことですが、世界中のギタリストが衝撃を受けていました。そりゃそうだ。そして多くのスーパーギタリストがこうしたギターのみの曲を発表していますが、このエディのプレイを超えるものは無いと僕は思っています。

2023-09-20

The Return / Joel Haynes, Seamus Blake & Neil Swainson

 

Joel Haynes(ジョエル・ヘインズ)はカナダ・トロントで活動しているドラマー。15年ぶり3rdアルバムの2023年作とのことでベテランらしい演奏を聴かせてくれています。同じくカナダのサックスプレーヤー、シーマス・ブレイクを加えたカルテット作品です。前回に続いてピアノトリオ+ワンホーンとなります。

ジャズはドラムスから聴くことを書きましたが、このアルバムもドラマーがリーダーということで、非常に小気味よい、心地よい音のドラムスで気に入りました。シンバルでリズムをとって、スネアやタムはフィルイン(盛り上げ役)なことがよくわかります。スネアとバスドラでリズムをとるロックとは対称的ですね。ドラムスの音量もロックほど大きくないので、ピアノやウッドベースの音との掛け合いも楽しめます。

タイトル曲1.The Return からアップテンポで軽快です。こういう曲で仕事を始めると捗ります。4.Tomorrow Never Knows はビートルズのカヴァー。歌心を感じるシーマスのサックスにひと息リラックスできます。ラスト8.Payback ではまたアップテンポに戻ってスリリングなアンサンブルが楽しめます。ジョエルのドラムスがグイグイ引っ張って炸裂しています。


2023-09-19

Sacred Love / Sting

 

Sting(スティング)は、The Police時代からそりゃもうほんとによく聴きました。大好きな曲も多く作曲家としてもベースプレイヤーとしても素晴らしいミュージシャンだと尊敬しています。2003年の本作はアメリカ同時多発テロ事件を受けて作られたもので「愛」というテーマについて深掘りした作品になっています。発売後のライヴも観に行きましたが、最高にカッコいいステージでした。

彼によって僕の聴く音楽範囲が大きく拡がったわけですが、今回もフラメンコギタリストのビセンテ・アミーゴを知ったり、シタール奏者のアヌーシュカ・シャンカルとの共演や好きなソウルシンガー、メアリー・J. ブライジとデュエットしたりと魅力的なコラボレーションにワクワクしました。僕の持っているSACDには大好きな曲「ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート」をコーネリアスがリメイクしたナンバーが入っています。

何回聴いたかわからないフェイバリット曲の2.Send Your Love ですが、ビセンテ・アミーゴのギターがとにかくカッコいい。続く3.Whenever I Say Your Name は見事にメアリーらしさと融合していてメロディアス。スティング流ドラムンベースな5.Never Coming Home はブリング・オン・ザ・ナイトを想わせるし、6.Stolen Car (Take Me Dancing) はシェイプ・オブ・マイ・ハートを想わせる曲ですがいい曲はいいんです。


2023-09-15

TOWA TEI / Sweet Robots Against The Machine

 

Sweet Robots Against The Machine(スウィート ロボッツ アゲインスト ザ マシーン)はテイ・トウワの変名プロジェクト。本作は2002年の自身の名前をタイトルにした同名義2ndアルバム。砂原良徳、細野晴臣などが参加しています。テイ・トウワの作品はリミックスを含めて全部買っていたのでこのアルバムも発売とともに入手しました。

機材いじりを楽しんでいた時期と重なって、1音1音にこだわりを感じる彼の音楽をリスペクトしていました。このアルバムの音が、いかにもあの軽井沢のスタジオから生まれた音らしくて憧れながらヘヴィロテしたのでした。スタジオのミキサー卓の上に置かれたニアフィールド(近距離)スピーカーで聴くのが似合うサウンドだと勝手に思っています。

ドラム音のテストのような1.AUDIO SEX に始まり、今ちょっと流行っているらしい倍速再生を20年以上前にすでにやっている天才ぶりの2.FREE 、ソニーの愛犬ロボットが一緒に踊る(らしい)5.LATTE&MACARON なんていう新しいアイデアも。細野さんにしかできないベースラインの6.TIKUS 、砂原さんらしいリズムとエコーの10.I.Q.INFINITY もオススメ。何回聴いても今聴いてもまったく飽きることのないサウンドが詰まっています。


2023-09-14

ジャズはドラムスを聴いちゃう

 

Amazon Prime Videoで「ウェイン・ショーター:無重力の世界」を観ました。3つのパートでしたが、3番めが面白かったです。ウェイン・ショーターは3月に“未知の世界”に旅立ってしまいました。僕はマイルス・デイヴィスと一緒にやっていたアルバムはもちろん、彼のリーダー作のほとんどをCDで持っているくらい彼の創り出す音楽が好きです。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、ジャック・ディジョネットと4人で来日した公演を観ることができたのはいい思い出です。

映画の中でウェインが、JAZZは昔“JASS”と綴っていて、シンバルを叩く音から来ているというようなことを言っています。たしかにいわゆる昔のジャズはシンバルの「ヂーヂキッ、ヂーヂキッ」とか「ジャッ、ジャ~ン」というリズムがバンド全体を引っ張っているようなイメージがあります。そんなウェインも最初はドラマーのアート・ブレイキーのグループで鍛えられて成長しました。

僕はといえば、ジャズを聴くときはついドラムスを聴いてしまいます。この曲カッコいいと思うときは、ドラムスが凄いリズムと好きなサウンドで鳴っていることが多い。ウェインと共演したトニー・ウィリアムスブライアン・ブレイドのドラムスを聴くと「うぉーっ!」ってなります。そしてそのプレイを聴きたくてまたCDをかけるのです。