2023-09-20

The Return / Joel Haynes, Seamus Blake & Neil Swainson

 

Joel Haynes(ジョエル・ヘインズ)はカナダ・トロントで活動しているドラマー。15年ぶり3rdアルバムの2023年作とのことでベテランらしい演奏を聴かせてくれています。同じくカナダのサックスプレーヤー、シーマス・ブレイクを加えたカルテット作品です。前回に続いてピアノトリオ+ワンホーンとなります。

ジャズはドラムスから聴くことを書きましたが、このアルバムもドラマーがリーダーということで、非常に小気味よい、心地よい音のドラムスで気に入りました。シンバルでリズムをとって、スネアやタムはフィルイン(盛り上げ役)なことがよくわかります。スネアとバスドラでリズムをとるロックとは対称的ですね。ドラムスの音量もロックほど大きくないので、ピアノやウッドベースの音との掛け合いも楽しめます。

タイトル曲1.The Return からアップテンポで軽快です。こういう曲で仕事を始めると捗ります。4.Tomorrow Never Knows はビートルズのカヴァー。歌心を感じるシーマスのサックスにひと息リラックスできます。ラスト8.Payback ではまたアップテンポに戻ってスリリングなアンサンブルが楽しめます。ジョエルのドラムスがグイグイ引っ張って炸裂しています。


2023-09-19

Sacred Love / Sting

 

Sting(スティング)は、The Police時代からそりゃもうほんとによく聴きました。大好きな曲も多く作曲家としてもベースプレイヤーとしても素晴らしいミュージシャンだと尊敬しています。2003年の本作はアメリカ同時多発テロ事件を受けて作られたもので「愛」というテーマについて深掘りした作品になっています。発売後のライヴも観に行きましたが、最高にカッコいいステージでした。

彼によって僕の聴く音楽範囲が大きく拡がったわけですが、今回もフラメンコギタリストのビセンテ・アミーゴを知ったり、シタール奏者のアヌーシュカ・シャンカルとの共演や好きなソウルシンガー、メアリー・J. ブライジとデュエットしたりと魅力的なコラボレーションにワクワクしました。僕の持っているSACDには大好きな曲「ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート」をコーネリアスがリメイクしたナンバーが入っています。

何回聴いたかわからないフェイバリット曲の2.Send Your Love ですが、ビセンテ・アミーゴのギターがとにかくカッコいい。続く3.Whenever I Say Your Name は見事にメアリーらしさと融合していてメロディアス。スティング流ドラムンベースな5.Never Coming Home はブリング・オン・ザ・ナイトを想わせるし、6.Stolen Car (Take Me Dancing) はシェイプ・オブ・マイ・ハートを想わせる曲ですがいい曲はいいんです。


2023-09-15

TOWA TEI / Sweet Robots Against The Machine

 

Sweet Robots Against The Machine(スウィート ロボッツ アゲインスト ザ マシーン)はテイ・トウワの変名プロジェクト。本作は2002年の自身の名前をタイトルにした同名義2ndアルバム。砂原良徳、細野晴臣などが参加しています。テイ・トウワの作品はリミックスを含めて全部買っていたのでこのアルバムも発売とともに入手しました。

機材いじりを楽しんでいた時期と重なって、1音1音にこだわりを感じる彼の音楽をリスペクトしていました。このアルバムの音が、いかにもあの軽井沢のスタジオから生まれた音らしくて憧れながらヘヴィロテしたのでした。スタジオのミキサー卓の上に置かれたニアフィールド(近距離)スピーカーで聴くのが似合うサウンドだと勝手に思っています。

ドラム音のテストのような1.AUDIO SEX に始まり、今ちょっと流行っているらしい倍速再生を20年以上前にすでにやっている天才ぶりの2.FREE 、ソニーの愛犬ロボットが一緒に踊る(らしい)5.LATTE&MACARON なんていう新しいアイデアも。細野さんにしかできないベースラインの6.TIKUS 、砂原さんらしいリズムとエコーの10.I.Q.INFINITY もオススメ。何回聴いても今聴いてもまったく飽きることのないサウンドが詰まっています。


2023-09-14

ジャズはドラムスを聴いちゃう

 

Amazon Prime Videoで「ウェイン・ショーター:無重力の世界」を観ました。3つのパートでしたが、3番めが面白かったです。ウェイン・ショーターは3月に“未知の世界”に旅立ってしまいました。僕はマイルス・デイヴィスと一緒にやっていたアルバムはもちろん、彼のリーダー作のほとんどをCDで持っているくらい彼の創り出す音楽が好きです。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、ジャック・ディジョネットと4人で来日した公演を観ることができたのはいい思い出です。

映画の中でウェインが、JAZZは昔“JASS”と綴っていて、シンバルを叩く音から来ているというようなことを言っています。たしかにいわゆる昔のジャズはシンバルの「ヂーヂキッ、ヂーヂキッ」とか「ジャッ、ジャ~ン」というリズムがバンド全体を引っ張っているようなイメージがあります。そんなウェインも最初はドラマーのアート・ブレイキーのグループで鍛えられて成長しました。

僕はといえば、ジャズを聴くときはついドラムスを聴いてしまいます。この曲カッコいいと思うときは、ドラムスが凄いリズムと好きなサウンドで鳴っていることが多い。ウェインと共演したトニー・ウィリアムスブライアン・ブレイドのドラムスを聴くと「うぉーっ!」ってなります。そしてそのプレイを聴きたくてまたCDをかけるのです。

2023-09-13

Funeral Dance / Helge Lien Trio & Tore Brunborg

 

Helge Lien(ヘルゲ・リエン)はノルウェーのジャズピアニスト。2023年本作は彼のトリオと同じくノルウェーのテナーサックスプレーヤーTore Brunborg(トーレ・ブルンボルグ)とカルテットを組んでの作品。ヘルゲ・リエンの先生でもあるウクライナのピアニストの死を悼んで鎮魂歌曲集となっているそうです。

ヘルゲ・リエンは「To The Little Radio」という2006年作を持っていますが、とにかく音質が良くて、とりわけピアノの音が美しい。オーディオ&ジャズ好きな人たちから人気のアルバムです。彼の美意識と叙情的な表現は、北欧のピアニストというイメージにもぴったりな印象です。今回サックスが入ることで色彩が豊かになり、より感情に響く作品だと思います。

織りなすようなメロディで始まる1.Adam のピアノ&サックスサウンドに浸って景色が変わります。タイトル曲4.Funeral Dance は戦乱の地で一筋の光を見るかのよう。5.Kaldanuten は異色のドラムスの重いリズムが鳴り続けますが、途中から入ってくるヘルゲのピアノがなんともドラマチックな曲です。秋を迎えこれからの季節にぴったりのアルバムになっています。


2023-09-12

NEXT WAVE / MONDO GROSSO

 

大沢伸一率いる、MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)の2003年5作目にあたる。2000年に全日空のキャンペーンソング「Life feat. bird」が大ヒットして一躍有名になりました。ダンスミュージックのサウンドクリエイターとしてもDJとしても世界に通用する音作りで、YMO以降の洋楽邦楽関係ないミュージシャンがこうして出てくることは率直に嬉しい思いでした。

もともとKyoto Jazz Massiveというジャズとクラブミュージックを融合させたユニットからの派生バンドとしてスタートした彼ら。僕もそうしたコンピレーションアルバムは好んで聴いていたので名前は知っていました。このアルバムではそれに加えて、ハウスやテクノなどの要素を強調させたカッコいいサウンドを作り上げて、最もポジティブで輝く存在であったと思います。

フラメンコハウスな1.BLAZE IT UP で勢いよくオープニング。王道ハウスな5.Everything Needs Love [feat. BoA]はヒットしてラジオなんかでよくかかっていました。あのビースティ・ボーイズの曲へのオマージュソング7.FIGHT FOR YOUR RIGHT もディストーションギターでノリノリです。極めつけはUAがヴォーカルの14.光 で、あまりにもカッコいい曲で鳥肌モノです。ぜひ大音量で聴いてほしい!


2023-09-11

わかっちゃいるけど「5W2H」

 

遅刻もブッキングも、社会人一年生じゃぁないんだから言われなくても、と。でも出来ていない人が多いんです。最後にもう一つ。報連相なんて昭和語がありましたが、社長であれば報告を聞くこともありますし、仕事を依頼することもあります。せめて「5W2H」くらいは文字にしておきたいところです。

これも出来ていない人多いです...。「◯◯やっておいて。」なんて曖昧な指示。報告するほうも「だいたい出来てます」なんて報告。に対して社長は「何が?」といった会話。互いに文字にしていないからミーティングも長引くし、感情的になる。「だから言っただろ」って。そんでもって提案書や稟議書って何書けばいいんですか?なんて聞かれることもあります。そんなときはまず「5W2H」を押さえておけば具体的なことは伝わります。

When(期限、時期、期間)Where(現場、訪問先)Who(担当者や責任者、メンバー)What(仕事内容や依頼内容)Why(仕事の理由や目的、意義)How(方法や手段)How much(コスト、売上、損失)※“5W2Hを意識した具体性のある行動”から引用。

社長になると進めなければいけない仕事は複数にわたります。社長からはWhyとWhatだけ伝えてあとはスタッフが検討してくれ、なんて場合が多いでしょう。任せて安心な部下がいるとすれば、そのスタッフは「5W2H」をしっかり押さえています。もし「5W2H」を伝え合わずに仕事が進んでいるとしたら、社長自身だけでなくスタッフにも相当ストレスがかかっている場合もあるので気をつけたい。