2024-08-13

夏だブルーラグーンだ

 

そろそろお盆だっていうのにこの暑さ。夕方たまーに風がちょっと涼しくなったかなと思う程度。毎年記録的暑さなんて言っているので来年はどうなることやら。こうなったら夏らしい音楽かけて脳内はサマーリゾートにしてやれって思います。体は冷房の部屋ですが...。

夏ミュージックって言っても人それぞれ。大学時代にゼミ仲間の車に乗るといつもザ・ビーチ・ボーイズがかかっていたのを思い出します。僕は1980年中学3年に聴いた高中正義「ブルー・ラグーン」が夏ミュージックの初めだったような。ウキウキラテン調で青い空青い海の開放的な気分満開です。

当時はジャズなんてものは知りませんし、ギター雑誌くらいしか情報源がなく、高中難しくて弾けない、カシオペア別格という扱い。いわゆるフュージョンというのは大人っぽいイメージの音楽でした。熱心に聴くのはハードロック、休憩に流すのはフュージョンという学生時代だったかな。

夏になるとひとりフュージョン大会します。カシオペア、スクエアから始め洋楽クロスオーバー系へ。ちょっと横道してR&Bクワイエット・ストーム系に行ったり。アイスコーヒーでも、ちょっとお酒でも用意してリゾート気分、夏満喫です。

2024-08-09

Phoenix Reimagined / Lakecia Benjamin

 

先日とあるジャズ好きの方から「ライヴ盤出ていますよ」と言われて知ったLakecia Benjamin(レイクシアorラケシア・ベンジャミン、Sax)の2024年リリース作。前作の収録曲を中心に、ブルックリンのザ・バンカーというスタジオでのライヴを録音したものです。

スゴい熱量の演奏です。圧倒的な前作をさらにパワーアップさせたようなこれぞジャズライヴ!な音を聴かせてくれます。影響を受けたというジョン・コルトレーンの魂を受け継いで、そのまま今のサウンドに昇華させてみせた貫禄の演奏。ジャズライヴの今を聴くのであれば、このアルバムとUlysses Owens Jr.の「A New Beat」は絶賛オススメです。

目玉はタイトル曲の3.Phoenix Reimagined でしょう。メンバーにランディー・ブレッカーTp、ジェフ・テイン・ワッツDr、ジョン・スコフィールドGが参加しています。勢いもあって太い。圧倒されます。コルトレーンな2.Trane もこれぞ彼女のサックスが堪能できます。もうひとつコルトレーンといえばの10.My Favorite Things を聴けば、彼女が奏法を真似ているのではなく、巨匠の意志を継いでいることが感じられると思います。

2024-08-06

瞑想のための音楽

 

ロバート・グラスパーが「Let Go」という瞑想的なアルバムを2024年今年リリース(Apple Musicとのパートナーシップ制作)していました。いつものグラスパーではないですが、気持ちが落ち着く作品です。音楽には精神安定効果があると思っていますし、TPOによって効き目のある音楽は違うと思います。

数年前から、デスクワークするときにチルアウトやLo-Fi、“集中したいとき”といったプレイリストをかけっぱなしにして作業していました。深い呼吸とからだの点検の瞑想もたまに。瞑想という建前の昼寝だったりしますが...。瞑想のための音楽も好きなほうです。

一方で、本当に集中したいときは音楽を流さず、ヘッドフォンやイヤフォンも外して生活音だけにします。受験勉強中の娘も、集中したいときは耳に何か入っている状態が嫌だと。あと、風邪などで寝込んでいるときもダメですね。音楽は元気じゃないと聴けない。

プレイリストでなく、“こういうときはこの曲”というのをいくつか持っていると、自分の気持ちをうまくコントロールできるのかもしれません。客観的になることができるという技かな。僕自身そういう曲は少なく、まだまだだなって思います。

2024-08-02

MoonDial / Pat Metheny

 

数ヶ月前から配信で小出しになっていたPat Metheny(パット・メセニー)の2024年新作が全曲揃いました。昨年の「Dream Box」同様ギター・ソロ作品。得意のバリトン・ギター(普通のギターよりもネックが長く、より低音が出る。主にカントリーやメタルで使用)に特注のナイロン弦を張ってみたら、興奮するほど素晴らしい音が出たという1枚でしょう。なるほど今までの弦とは違うタッチと音でした。

聴けばびっくりするほどの低音です。オーバーダビング無しとのことで、ベースをかぶせたわけではありません。いままでのアルバムにもバリトン・ギターは使用していたので予想はしていたのですが、上回る音域です。チューニングに工夫があるのかもしれません。いつものようにパット・メセニーの世界が美しいメロディとともに繰り広げられています。

秀逸なカヴァー作品が並んでいますが、ここではオリジナル作品からオススメを。1.MoonDial  の低音に驚いていただいて。こうして和音やベース音を弾きながらメロディーを紡いでいくジャズギターの弾き方ですが、とてもじゃぁないが難しくてできません。メセニーのそれはコードチェンジも頻繁で大変。こんなにも優しくて美しい曲なので困難さを感じさせないところがメセニーです。6.Falcon Love のようなメロディーもメセニーらしい。うるうるします。The Unity Sessionsでの9.This Belongs to You をソロで聴けるのはうれしい。ちなみに空間オーディオ(Dolby Atmos)でも堪能できますのでお試しあれ。

2024-07-30

オーディオ展示会に行ってきた

 

6月にOTOTEN、7月にインターナショナルオーディオショウに行ってきました。量販店でさえオーディオ売り場が縮小していく時代に、果たして“オーディオ”がどれほど一般的なものなのか疑問でありますが、こうした展示会に行くと来客の意外な多さに驚き、関わっている業界の方々の懸命さに少し嬉しくなったりします。

やっぱり来客は僕のようなオジサンが多いですね。70年代80年代のオーディオ最盛期に夢中になった世代ということでしょう。しかしあと10年もすると...。若い世代にとってどうなんでしょう。オーディオってヘッドフォンやイヤフォンで聴くこと?Bluetoothスピーカー?という感じかな。そうなるとスピーカーの前でじっくり聴くスタイルはニッチなのかもしれないと思ったりします。

ニッチで何が悪いとばかりに、高級機のデモを聴きます。きちんと調整された環境で聴く高級機の音は、余裕があって、眼の前にあらゆる音が鮮明に表現されて、素直に「あぁ音楽っていいなぁ」と思わせる揺るがないチカラを感じます。家を買うよりは安いし、高級車を買うくらいのつもりでこの音が手に入るなら、という値段です...。夢があるのはいいことですよね。

OTOTEN 2024
インターナショナルオーディオショウ 2024



2024-07-26

Evergreen / Julius Rodriguez

 

Julius Rodriguez(ジュリアス・ロドリゲス)はアメリカのマルチ奏者&作曲家です。ドラマーとしても活動しているそうですが、この2024年作でも鍵盤、ギター、ベース、ドラムス、プログラミングなどなんでも一人で演奏しています。ジャズのみならず、ヒップホップ、テクノなどジャンルを超越して彼の音世界を展開しています。現在25歳とのことで、若くて凄い才能です。

サウンドデザインのことを書きましたが、その視点で聴いても面白いです。モノラルのように中央に音を集めておいて一気に左右に空間を拡げたり、細かく音を移動(パン)させたり、後方で街の雑踏を混ぜたりというように、白黒から極彩色まで使い分けて、曲そのもののイメージを伝えています。もちろん演奏技術や曲の進行も秀逸なのですが、それもあくまでパーツであるというような位置づけ。

2.Funmi’s Groove を聴けばその極彩色ぶりがわかると思います。曲としても印象に残る7.Run To It (The CP Song) はミッシェル・ンデゲオチェロと共作とのことで、ポップ性が光る作品。キーヨン・ハロルドTpが参加している8.Love Everlasting も気持ちのよい曲でサウンドデザインが効いています。Apple Musicでは空間オーディオ(Dolby Atmos)で聴くことができます。スピーカーでサラウンドもお持ちであればぜひ。

2024-07-23

サウンドデザインについて

 

僕が80年代のヒット曲を聴いていたりすると、家族に「いかにも昔の音って感じ」と言われてしまいます。この頃の音楽制作では、デジタルによる機材の進歩が始まり、かなりの創意工夫で現場は苦労が多かったと思います。DTMソフトの操作性はもちろん、CPUもメモリもハードディスクも限界が低くてバグやクラッシュで大変だっただろうなと。それでもマイケル・ジャクソンやプリンスの音を聴くと時代を超えたチカラを感じる音を出していて、スゴいなと思います。

それが2010年代にもなるとデジタル技術は進化して、アメリカのアーティストを筆頭に革新的な音作りになっていきます。特にサウンドデザインといわれる音像や音場、倍音や位相、エコーの処理など細部にわたってコントロールできるようになって、キャンパスに絵を描くように音作りされています。オーディオ的にはイヤフォンやヘッドフォンで聴くリスナーが多くなって、耳の中に拡がる空間表現を楽しむようになったことも関係していると思います。

例えば、個人的な印象になりますが、ハイハットやアコギなどの高域成分は左右に思い切り振って、ベースのような中低域は真ん中よりちょっと下に厚めにノリよく。超低域から高域はシンセで広大な空間を意識させて。ヴォーカルやコーラスがひきたつように全体をバランス調整している。昔のようにライヴでの演奏位置に配置するだけではない印象です。

20年代の今はさらにDTMや音作りのソフト技術が進化して、ハイレゾでキャンパスが最大限に広くなり、空間オーディオによって音像をさらに細かく位置づけできるようになって、サウンドデザインは驚くほどクオリティの高い楽曲が増えていると思います。

リスナーのリスニング環境も多様化しているので、音楽制作の現場もいろいろやることが多くて大変だろうなと推測します。ソフトの進化やAIによる工数削減はあるものの、作詞や作曲だけでなく、サウンドデザインをどうするかについてもクリエイティビティが問われる時代になっていると思います。