2023-06-29

人はそれをイヤースピーカーと呼ぶ

 

スピーカーで音楽を聴くのは楽しいし気持ちいい。でも家族がいるリビングでかつ集合住宅の我が家ではヘッドフォンが必要です。夜でも大きめの音量で聴きたい。設置場所も部屋の影響も関係ないヘッドフォンですから、ここはひとつ良いものをと思い、STAX SR-L700 MK2を愛用しています。

STAX SR-L700 MK2と専用アンプSRM-353X

四角いヘッドフォン。実は中学生の頃からの憧れだったのです。秋葉原でSTAXを聴いたとき、まるで装着していないかのような自然な音が耳や頭の周囲で鳴っていました。あれから40年。その道のプロが試聴機を用意してくれていました。ここで会ったのは運命とばかり数機種をじっくり聴いてこのL700 MK2を選びました。40年前の感動はいまや自宅で続いています。

ほかのヘッドフォンと鳴らす方法が違います。接続する端子もケーブルの形状も違いますし何より専用のアンプ(ドライバー)が必要です。音質は音楽の細部に至るまでしっかりと無理なく表現しきります。低域もしっかり出ています。生楽器を多用するクラシックやジャズを聴くときの生々しさ、オーケストラやビッグバンドの空間の拡がりは得意分野。あの空間オーディオよりもずっと自然な拡がりです。

で、これヘッドフォンではないです。STAX社は胸を張って「イヤースピーカー」と呼んでいます。けっこう音漏れするので家族にも聞こえています。一見大きくて重そうですが、そんなことはなく3時間も4時間も装着し続けられる。ああもうこれで高級オーディオは要らないなと思ってしまったくらいです。ちなみに僕のシステムでは、音源を集めたアンプ(UD-505)からXLRケーブル(BJエレクトリック製)でSTAXアンプSRM-353Xとバランス接続しています。音量は0dB位置で出してSRM-353Xでボリューム調整しています。
※STAX製品もBEAT&VOICEさんにて購入できます。SRM-353Xは後継SRM-400Sになっています。

おまけYouTube動画
STAXを徹底試聴 SR-X9000、SR-007A、SR-L300とSRM-D10



2023-06-28

Dream Box / Pat Metheny

 

出ましたPat Metheny(パット・メセニー)の2023年新作。今回はギターのみのソロ作品。パットの作品のなかでも最も好きな曲のひとつである「Solo from "More Travels"」(The Road to Youに収録)を思わせるようなギターバラードをずっと聴いていられる、幸せ。

今までにも2003年「One Quiet Night」や2011年「What's It All About」といった沁み入るソロ作品がありまして、それこそ夜に灯りを落として静か〜に楽しんでおりました。パットの昔の動画を観たりすると、メロディーラインとベースラインを同時に弾いていて、ちょっと思いつかないような弦の押さえ方だったりするので、ジャズギタリストってスゴイなと思います。

プライヴェートな時間を1.The Waves Are Not The Ocean から満たしていただきたい。名曲6.I Fall In Love Too Easily でチェット・ベイカーのVo.を思い出したり、スタンダードナンバー8.Morning Of The Carnival ではおなじみのメロディーを口ずさんだりしながら。ちょっとウトウトするのも、まぁしかたありません、気持ちよい音ですから。


2023-06-27

Bass Is Maternal / Smith & Mighty

 

Smith & Mighty(スミス&マイティ)はイギリス・ブリストルのグループ。1995年の本作はファーストアルバム。レゲエから派生した“ダブ(Dub)”という演奏スタイルで、あのマッシブ・アタックとも同郷。CDショップで買ったCarltonの「The Call Is Strong」という作品が好きで辿ったら音を作っているのはスミス&マイティだったのがきっかけでした。

ダブは、リズムにディレイやエコーをかけたり、突然低域や高域をカットしたり強調したりすることで、元々あった曲の破壊と構築を楽しむ音楽スタイル。音を響かせる現代アートのようにも感じていました。スミス&マイティのダブは“ひんやり”とした触感に特徴があって、彼らのオリジナリティになっていたと思います。

いきなりテープ逆回転と歪んだギターが繰り返す1.Hold On にその破壊ぶりが出ています。3.Closer はそのひんやり感がよく出た典型的な曲。これぞダブです。7.Accept All Contrasts はU2のドラムサウンドをそのまま持ってきて質感そのままに、全く違う曲に仕上げています。8.Bass Is Maternal は彼ららしいベースの強調とジャングルというリズムスタイルを取り入れたカッコいい曲。どっぷりとダブの世界に浸っていただきたい。


2023-06-26

目標設定で気をつけること

 

組織や個人の目標設定には、バランス・スコアカード(BSC、Balanced Scorecard)を参考に組み立てていました。「財務の視点」「顧客の視点」「社内ビジネスプロセスの視点」「学習と成長の視点」の4つの視点で、数値や期限を具体的に設定して、全社的に見える化し行動アクションに落とし込んでいくというものです。

「売上○億円」とか「利益率○%」とか“結果”だけを宣言して目標設定したつもりになっている社長がいましたが、まあ達成できたことはないですね。結果にはかならずそれをもたらす“原因”があるわけで、学習する組織があってこそ、プロセスが改善改革されて、そこに顧客の人気が集まって、やっと利益という結果が出るということです。

目標は因果関係つまり“原因”と“結果”が結びついている必要がある。その先に戦略の実現があって、ビジョンにつながっているというわけです。スタッフが個人目標を提示してきたらマネジャーはどこにつながっているかを確認共有して、つながっていなければ修正するようサポートします。1on1ミーティングでの大切なポイントです。

手間暇かけてきちんとやれば、組織はかなり筋肉質になります。少しずつ結果が出始めるだけでなく、その結果を継続できてさらに成長させることができるようになるでしょう。気をつけたいのはこうした管理を徹底しすぎて“会社ごっこ”になってしまわないことです。経営者としては考え方を知っておいて、随所でチームにフィードバックしていくことでもいいかもしれません。


2023-06-23

Future Listening! / Towa Tei

 

TOWA TEI(テイ・トウワ)はディー・ライトのデビュー作からずっと聴いていてEPやリミックス、別名義のアルバムも集めるほどお気に入りのミュージシャンです。彼の軽井沢スタジオの写真が雑誌に載っていたりすると羨望の眼差しで見入ってしまいます。かつては自分の部屋にも機材をいくつか置いていましたが、忙しくていじることもなく友人にほとんど譲ってしまいました。

故坂本龍一氏も図抜けた才能を認めていたように、天才が時間をかけて作った音が踊っているさまは圧巻です。ディー・ライトでも活躍していたので、この1994年ソロデビュー作にしてすでに完成度が高い。1音1音こだわって選んでクリエイティブしている姿が目に浮かびます。

ATCQのQティップとも仲がいいことで知られていますが、名曲2.Technova のヒップホップ感はさすがです。歪んだ音で始まる3.Batucada でブラジルから持ってくるセンス、テーマ曲のような4.Luv Connection のポップなダンスミュージック感など、彼の才能を感じる作品ばかりです。ラスト10.Dubnova, Pt. 1 & 2 を部屋で流せばクラブに早変わり。


2023-06-22

アンプの音を決める

 

スピーカーを鳴らすためのアンプも「その道のプロ」に紹介いただいたBJエレクトリック製の小型アンプを使っています。入力は1系統で無駄な機能は一切なし。JBLスピーカーとの相性もよく、小音量から中音量まで気持ちよく鳴らしてくれます。

キレイな音とか繊細な音というよりも、音楽そのものの芯を伝えてくれるような音。僕はギターアンプの出音とか生楽器の音を数多く聴いてきたこともあり、まずは個別の音がちゃんと鳴ってくれることを求めています。リビングに置いたスピーカーでの再生ですから生音そのものではないのですが、感じることができる音です。

そしてスピーカーから出る音を体で聴くことで、音楽全体を感じ没頭できるかどうか。このアンプはシンプルにそれを実現してくれています。ちなみにスピーカーケーブルもBJ社のもので揃えました。ツイーター(高域)ウーファー(低域)それぞれにケーブルを接続してバイワイヤリングしています。
※ BJエレクトリック社のアンプやケーブルはBEAT&VOICEさんから購入できます。

CDプレーヤーとPCの音源を切り替えるために、TEAC UD-505ヘッドフォンアンプ兼DACをプリアンプとして使用(ボリュームコントロール)し、上記小型アンプをパワーアンプとしてスピーカー駆動しています。CDプレーヤーからの同軸デジタルケーブル&RCAケーブルとPCからのUSBケーブルもBJエレクトリック製にしています。こうしてスピーカーから出る音はなるべく統一感を持たせています。これも音楽そのものに没頭するためです。

TEAC UD-505

2023-06-21

The Trio, Vol. 3 / Dave Bass

 

Dave Bass(デイヴ・ベース)はアメリカのジャズピアニスト。サブスクのニューリリースで知ったミュージシャンです。検索して経歴を読むと、手首を骨折してピアノを断念し、カリフォルニア州の副司法長官になったという弁護士時代があるとのことで、カムバックして70歳を超えた今はジャズピアニストに専念しているそうです。人生いろいろです。

この作品はいわゆる「ピアノトリオ」というスタイルで、あのビル・エヴァンスやキース・ジャレットをはじめ数多のジャズピアニストが名作を生み出しています。イメージとしては透き通るようなピアノサウンドにちょっと饒舌なベース、それらを静かに支えるドラムスでしょうか。最近はこうしたアルバムを聴いていなかったので久しぶりに良い音のピアノトリオを耳にして繰り返しています。

これぞセロニアス・モンクな2.Criss Cross のウォーキングベースと不協和音が楽しいです。スタンダード7.Israel ではビル・エヴァンスを思い出しつつ、これが2023年のピアノトリオの空気であると感じます。デイヴ・ベースはラテンが得意とのことで大御所アストル・ピアソラの11.Libertango をギターの入った彼のアレンジで。