2023-12-20

Christmas Wish / Gregory Porter

 

2023年のクリスマスは、Gregory Porter(グレゴリー・ポーター)の本作で決まりでしょう。レコーディングはニューヨークとロンドンで、バックのオーケストラはアビー・ロード・スタジオでの録音だそうです。ブルーノート・レコード/デッカからのリリースで気合十分です。バックミュージシャンも長年のパートナーで間違いなし。いつもながらの高音質で聴くことができます。

クリスマス・アルバムはみなさんお気に入りをお持ちだと思います。若い時分はベタにスティーヴィー・ワンダーだったり山下達郎だったりしましたが、ジャズとなるとブルーノートのベスト盤「Yule Struttin'」がお気に入りだったりします。まあ25日までの数日間ですからカッコつけずに家族にウケのよい曲をかけてみんなで楽しみましょう。

グレゴリーらしい曲をオススメに。3.Everything’s Not Lost はシングルカットされたゴスペルなR&Bソウル曲です。7.What Are You Doing New Year’s Eve? は昨年のグラミー賞のサマラ・ジョイを迎えてのデュエット。優雅な雰囲気に包まれます。続くタイトル曲8.Christmas Wish もお得意の手拍子にノリノリのゴスペル曲を歌い上げます。ほかにも名曲が多いのでクリスマスに活躍の一枚となるでしょう。

2023-12-19

The Secret Between The Shadow And The Soul / Branford Marsalis Quartet

 

Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)のカルテットは2008年作「Metamorphosen」で頂点を極め誰も追いつけない領域に入りました。長年活動をともにしてきたドラムスのジェフ・テイン・ワッツが抜けて、新たに二十歳前のジャスティン・フォークナーを迎えて録音した3枚目が2019年の本作です。ジェフに負けないほどのアグレッシブなドラムスでこの最高峰のカルテットを支えています。

この頃は僕自身ジャズクラブを経営したりして公私共にジャズ漬けでありました。聴く音楽もジャズ以外はあまり受け付けない体になっていました。グラスパー以外で、骨のある“今”のジャズを聴こうと思ったらブランフォードの作品になっていました。媚びない太いサックス、アコースティック楽器としてフルに鳴らし切るピアノ、ベース、ドラムス。やっぱりこういうジャズがいいなぁと率直に思ったものです。

地鳴りのようなベースで始まる1.Dance of the Evil Toys でそれが証明されます。一筋縄ではいかない旋律、フリーな演奏。熟練した者だけが出せるサウンドです。そして2.Conversation Among the Ruins でのソプラノで得意の哀愁を聴かせてくれます。4.Cianna のラテンがまた大人の音楽といった雰囲気でちょっとダンスしたくなります。5.Nilaste ではカルテットの本領発揮とばかりに、これでもかのアグレッシブな演奏を聴くことができます。

2023-12-18

発信と「フィードバック」が大切

 

会社がコミュニティになると従来のコミュニケーションとは違ったスタイルが求められます。社長や上司が「お偉いさん」ではなく「リーダーという役割をもった人」です。忖度やイエスマン、保身や勝ち負けといった価値観は薄くなります。上司に気に入られないと昇進がどうの、なんて昔の話となるでしょう。

コミュニティでは、いかに「発信」するかです。自分がやろうとしていることの“やります”宣言、やったことのアウトプットをしないことには始まりません。ここで大切なことはほかのメンバーからの「フィードバック」です。“いいね”“ありがとうございます”“承知しました”は既に絵文字になってフィードバックしやすくなっていると思います。“ごめんなさい”も絵文字で。

率直な言葉でポジティブフィードバックすれば、さらにプロジェクトが前に進むでしょう。“こうすればもっとよくなるのでは”というギャップフィードバックは、根っこに建設的な意味合いがあれば有効になります。そしてフィードバックを受ける側の「受け方」がコミュニティにとってポイントになります。特にこの「受け方」については研修や学び合いが必要となるでしょう。

では、昇進や昇給のきっかけとなる「評価」は誰がやるのでしょう。おそらく大半は「AI」がやります。もう上司のお気に入りとかで評価できなくなります。会社のMVVBSCなどの評価項目をAIに学習させて、コミュニティでの活動履歴によって1次評価はAIがやってくれます。社長ももちろん被評価者です。MVVに沿っていない言動行動について最も厳しく評価されるでしょう。

2023-12-15

Collagically Speaking / R+R=Now

 

R+R=Nowとは、ピアノ&キーボードにロバート・グラスパー、サックス&ヴォコーダーにテラス・マーティン、トランペットにクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー、ベースにデリック・ホッジ、キーボードにテイラー・マクファーリン、ドラムスにジャスティン・タイソンという新しいジャズをリードする豪華メンバーのバンド。本作は2018年にブルーノート・レコードからリリースしたアルバムです。

ひとりひとりが単独で強力なオリジナリティを持っている彼らが、おそらくセッションのような肩に力を入れない和やかな雰囲気で作り上げた作品だと思います。ヒップホップやアンビエントのエッセンスを入れながらジャムっているうちに出来ちゃいましたという感じ。グラスパーをずっと聴いてきた僕としても、彼のエラそうにしない態度を感じながら互いのフィードバックを重んじるサウンドの集大成かつ象徴的なアルバムだと感じました。

セッションのようにして始まる1.Change Of Tone からリラックスして聴くことができます。ジャスティンの自在なドラムスがスゴいです。4.Resting Warrior ではデリックのカッコいいベースラインから新しいフュージョンサウンドを奏でていて、アルバム中のお気に入り曲です。10.Respond もジャズティンとデリックのリズム隊がカッコいい曲です。

2023-12-14

音量を計測してみた

 

音楽を聴くときの「音量」ってどうしています?思ったより人によってマチマチなんだなと思います。娘のイヤフォンで聴いたときに「小さっ」て思いました。もしかして普通の人ってこのくらいかも。ってことは僕が大きいんだなと。聴いている音楽の小さな音まで聴き逃すまいと思っているからか、それとも加齢?のせいかもしれません。

問題はスピーカーです。隣接する部屋や家に迷惑がかからないようにとなると、そんなに大きな音は出せません。家族と住んでいたら時に同じ部屋にいるわけで、ヘッドフォンで聴いてよ、となります。でも、せっかくいい音のスピーカーを導入しているのだから、気持ちよく鳴らしたい欲求は常にあります。

スマホで音量を簡易に計測できます。僕は「Mobile Tools by Audiocontrol」というアプリを使っていますが、ほかにもありますし何でもいいです。スピーカーからの距離は約2mです。計測結果をざっくりと。BGM的に聴くときは「55dB」程度、音楽聴くぞってときは「65dB」程度、昼間で音楽の迫力を味わいたいときは「75dB」程度という感じです。もちろん曲によって適度にボリュームを上げたり下げたりしています。ちなみに道路に面した我が家(昼間&窓締め切り)の無音状態は「50dB」を下回るくらいです。

ジャズクラブをやっていたのでPAや生音の音量も味わっています。昨年練習したロックバンドのスタジオなんて100dB以上出ているはず。大音量って気持ちいいんですよね。だから、オーディオ専用ルームとかぽつんと一軒家とか憧れます。飽和状態にならないギリギリの大音量で高音質を浴びてみたいなと。

2023-12-13

In December / Robert Glasper

 

Robert Glasper(ロバート・グラスパー)による2023年ホリデーシーズンのアルバム。Apple Musicの解説によればグラスパーは「ホリデーアルバムを制作する上での最大のチャレンジは、お祝いの気分を作り出すと同時に、リアルに感じられて、ベタではない方法で実現することでした」と語っている。その通り、クリスマスの日だけでなく、シーズンを通じて生活の中に溶け込むように心地よいアルバムだと感じました。

米国外資の会社に勤めていた頃、12月の中旬になってくると外国人スタッフは休暇に入ってしまい、残された日本人スタッフは年末まで忙しいのに呑気なもんだと半分羨ましい気持ちでした。12月を師走ととらえるかホリデーシーズンととらえるかの差ですね。忙しい日々のちょっとした時間にこうしたリラックスしたサウンドを聴くのもいいもんです。

暖炉の音が入った小曲1.Fireside (Intro) の浮遊感のあるピアノが好きです。2.God Rest Ye Merry Gentlemen / Carol Of The Bells の優しい歌声に癒やされます。刺激的な音はなく、すでにウトウトしてしまいそうです。5.Joy To The World はおなじみのメロディを上質なR&Bで聴くことができます。外は雪景色な生活のワンシーンには6.December が合います。グラスパーならではの“リアル”なサウンドに浸ってみては。

2023-12-12

Rebirth / Billy Childs

 

アメリカのジャズピアニスト、Billy Childs(ビリー・チャイルズ)の2017年作。翌年のグラミー賞で「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム」を受賞した作品でもあります。ドラムスに僕の大好きなエリック・ハーランド、アルト&ソプラノサックスにスティーヴ・ウィルソンを迎えて、一聴してこれは「買い」だと思わせるアルバムでした。そしてこの年最も聴いたアルバムとなり、以降もスカッとジャズを聴きたいときはこのアルバムを手にしています。

実はビリー・チャイルズを聴いたのは本アルバムが最初でした。端正で粒立ちのよい音からクラシック音楽のテイストも感じます。そこにJ・J・ジョンソン、フレディ・ハバードといった巨匠に若かりし頃鍛え上げられたジャズ魂が合わさって彼独特のサウンドを産んでいます。最初の6曲はビリーのオリジナルとのことで作曲にもセンスが光っています。

1.Backwards Bop から勢いよくエリックのドラムスが叩きまくっています。この硬いスネアの音がたまりません。キメッキメのカッコいい曲です。2.Rebirth はパット・メセニー・グループの名曲「First Circle」を思わる鳥肌な曲です。ソプラノサックスと女性スキャットヴォーカルが気分を最高にしてくれます。4.Dance of Shiva もエリックの変拍子ドラムスが光るスリリングな曲で圧倒的な演奏力を聴かせてくれます。