2023-03-15

Black, Brown, and Blue / Eric Reed

Buster Williamsの回でもとりあげたニューヨークのジャズクラブ「スモーク」のライヴ音源シリーズから新作です。Eric Reed(エリック・リード)は1970年生まれのジャズ・ピアニストで、ウイントン・マルサリスやクリスチャン・マクブライドらとも共演しているベテランです。

ジャズファン人気のピアノ・トリオ(ベースとドラムスと)が中心で、しっとりゆったり聴かせる曲は一日の疲れをとってくれるはず。ニューヨークのジャズクラブでウイスキーなんか飲みながら演奏を聴いていることを想像させてくれます。

全体的に静かで流して聴くのがオススメですが、実は乗れるカヴァー曲もあります。ビル・ウィザースの2.Lean on Me 、スティービー・ワンダーの12.Pastime Paradise の2曲はソウルフルなヴォーカルと一緒に体が揺れます。そして先日亡くなったウェイン・ショーター作のバラード7.Infant Eyes をじっくりと聴いていただきたいと思います。


2023-03-14

Club Classics: Vol. 1 / Soul II Soul

 

1989年バブル期は社会人2年目で、当時芝浦の会社に勤めていたこともありGJといったディスコクラブにもよく行きました。若輩者でバブルの恩恵にあずかることはなかったのですが、それらのハコの音圧や重低音を体で感じていて、聴く音楽にもそれを求めていました。

Soul II Soulのこのアルバムは重低音とピアノ、ソウルフルなヴォーカル、Jazzy Bのラップというシンプルかつミニマルなサウンドで、当時の時代の空気感を表していると思います。1.Keep On Movin' はグラウンド・ビートと呼ばれ、少しハネるリズムと重低音ベースが好きで似たような曲をCD屋で探し回っていました。

オススメは、1.と10.Jazzie's Groove でリズムプログラミングを屋敷豪太さんがやっています。つまり僕が好きになったビートは実は日本人が作り出したものだったと後に知りました。9.Back To Life (Accapella) はキャロン・ウィーラーのVo.のみの曲でなぜか元気の出るいい曲でした。7.Feel Free もDo'reenの細かく震えるVo.が印象に残ります。


2023-03-13

Z世代と一緒に働く準備はできていますか?

「Z世代」という言葉を聞かない日はありません。我が家にも高校生がいるのでリアルに感じることがあります。ガジェット好き、スマホもゲームも最初からあって日常的、アプリもあっという間に使いこなし、衣食住はデフレで育ったので安くても一定レベルをキープ、心理的安心感は確保しておきたい、といった印象です。

昭和どっぷりで育ち働いてきた私ですから違いは感じます。でもとにかく時代は変わったんだと認識せざるを得ない現在です。「昔はよかった」というセリフは禁句のようになっていますが、実際は若者たちも「確かに昔にいいものはあったのは理解できるしリスペクトできる」、けれど「自分たちが生きているのは今なんだ」という意識です。

昔のやり方を押し付けることなく、「背中をみて育て」なんて突き放すこともせず、どうやって時代に適応した接し方をしていけばいいのか。正解はなく、人やチームによって違います。そこはやはり「観察」するところから始まります。

わかりやすいのは現役が若者のスポーツです。結果だけではくプロセスをデータ化して共有することを長年やって試行錯誤を繰り返しています。ドローンを使ったり、センサーを埋め込んだり、AI分析したりと進化も早いです。良い面ばかりでなくデジタル化の弊害も生まれています。経営は進化しているのでしょうか。1on1ミーティングの内容は変わってきていますか。まさか1年前と同じですなんてことは...。

2023-03-10

Yellow Moon / Neville Brothers

 

Neville Brothers(ネヴィル・ブラザーズ)はすでにミーターズなどで活躍していた兄弟が結成したニューオリンズのバンド。CDショップでイチオシされていたのでこのアルバムを買いました。最初はなんか暗い重い曲だなと思っていたのですが、聴けば聴くほどこれは名盤だなと。

まずはその演奏の図太く強力なファンク・リズム。年季が違う。そして印象的なのはアーロンの特徴ある歌声。アメリカの大地に古くから伝えられているサウンドといったイメージ。ホーンセクションに同郷のダーティー・ダズン・ブラス・バンドも加わってパワー倍増しています。

オススメは彼らの演奏力が発揮された 2.Yellow Moon や 11.Wild Injuns 、アーロンの歌声が美しいサム・クックの 4.A Change Is Gonna Come やボブ・ディランの 6.With God on Our Side に胸を打たれます。ヒットした 5.Sister Rosa もキャッチーで好きな曲です。


2023-03-09

一緒に働きたい人はどんな人ですか?

 

会社にとって一緒に働きたい人とはどんな人でしょうか。私はズバリ「主体的に動く人」だと思います。7つの習慣の第一の習慣も「主体性を発揮する」です。これはあらゆる活動のベースとなっていて、これがないと始まらない基本です。

反対の「主体的に動かない」とはつまり受け身、受動的で外部からの指示がないと動かない。よく聞く話です。たとえ受け身の仕事でも何かしらそこに自分なりの工夫をしたり提案したりすることでチームに貢献することが求められます。

ところがこれ「働かされる」と考える人にとってはキツいんです。会社側が用意してケアすべきで、うまくいかないのは他人のせい会社のせいにしたいんです。なんとなくうまーく気持ちよく導いてほしいんです。そうすれば言うとおり働くよ、働いてやるよと。そもそも人間てそういうものなんじゃないかと。

いくら教育しても叱咤激励しても伝わりません。こればかりは「主体的に」動いてみた人にしかわからない喜びってものです。だからツラい人はずっとツラいし、面白がる人は失敗しながら面白くしていく。私の感覚では10人に1人、主体的で変わった面白人がいます。9人は普通の人です。9人の中にものちのち面白人になっていく人がいて、その種を見つけるのが採用活動だと思います。

2023-03-08

Phoenix / Lakecia Benjamin

 

ジャケット写真のインパクトでつい再生ボタンを押した、Lakecia Benjamin(レイクシアorラケシア・ベンジャミン)の今年2023年作。ニューヨークのサックス奏者で、スティーヴィー・ワンダーやアリシア・キーズ、ミッシー・エリオットなどと共演しているそう。

サウンド・メイキングはさすがに若い才能らしく軽々とジャンルを超えてきます。かといって元気を売りにするのではなく堂々としたベテラン感のある演奏を聴かせてくれます。10.Trane という曲があるようにジョン・コルトレーンの影響を全般に感じることができるのも楽しいところ。

新たな才能を感じさせる 3.Phoenix (feat. Georgia Anne Muldrow) 、有名人客演による 4.Mercy (feat. Dianne Reeves) と 5.Jubilation (feat. Patrice Rushen) あたりがオススメ。そしてなんと今月3月2日に亡くなったウェイン・ショーターの声が 11.Supernova に入っているではないか!(もしかして最後の録音?)


2023-03-07

Estrangeiro / Caetano Veloso

 

Caetano Veloso(カエターノ・ヴェローゾ)はブラジル出身の国際的なミュージシャン。このアルバムは共同プロデューサーのArto Lindsayから知りました。なるほど全体にAmbitious Loversらしさが漂っています。ここから僕のブラジル音楽の旅が始まりました。

カエターノの甘美で時にスパイシーな歌声に完全に魅せられてしまい、この作品以降ずっと聴いています。もちろんライヴも観に行きましたが、ボサノヴァやサンバといったブラジル音楽の美味しいところを余すことなく味わえるだけでなく、多彩な音楽と演出に彼の芸術性が溢れていてずっと浸っていたい気分にさせられました。

このアルバムで最も聴いたのが、5.Jasper でちょっとゾクッとくるようなメロディにArtoの無調整ギターが絡む大好きな曲。1.O Estrangeiro のワクワク感や 3.Os Outros Romanticos のArtoギターの暴れっぷりも楽しい。そして 4.Branquinhaの甘美なボサノヴァに浸ってみてください。