2023-05-23

Oranges & Lemons / XTC

 

XTC(エックス・ティー・シー)はイギリスのロックバンド。大学時代、先輩と作曲しているときに前作Skylarking(1986)をよく聴いて、雰囲気だけでも曲に反映できないかと思っていました。完成度の高い曲調からザ・ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズの後継とかひねくれポップとか言われることもありました。

当時さまざまなギターロックバンドを聴いていましたが、XTCの曲はメロディとコード進行が思いつかないほど絡み合っていて「ああ、天才が作曲するとこんな感じになるんだな」と思っていました。彼らのポップでキャッチーなところは、たぶんメロディー先行で作曲していると思います。

1992年の本作、1.Garden of Earthly Delights からいきなりひねくれています。2.The Mayor of Simpleton はCMソングに使えそうなポップな曲。でも一筋縄ではいかない工夫があちこちに。5.The Loving なんてもうビートルズです。9.Merely a Man のギターサウンドもかっこいいし曲展開もサイコー。こうしてたまにビートルズ以外の天才に浸るのもいいですよ。


2023-05-22

ビジョンなんかなくてもいいか?な。

ビジョンの話の続きですが、ビジョンが無くても事業運営できますし、ビジョンを掲げても社員は誰も見ちゃあいないし、社長の自己満足でしょ、というか社長も言行一致していないし。という声は聞きます。事実そうでしょう。だからビジョンなんて意味がないと。

ビジョンが意味をなしていない会社に身を置いてみるとわかります。社長も社員も愚痴が多い、優秀な人材ほど辞めていく、社長は金策ばかりで不機嫌を撒き散らす、失態を怖がって手を挙げない社員、会議では上司ばかりしゃべる、競合とは価格勝負のみ、1年前と言っていることやっていること同じで業績悪化、コスト削減ばかり、すべてにおいて場当たり...。

業績がいいときはそれでもなんとかなります。例えば稼ぎ頭の社員や商品がなんとかしてくれるとか、メイン顧客が好調で仕事が降ってくるとかです。たまたまです。しかしこれでは経営とは言えません。うまく行っているのも他人のおかげなら、悪くなったのも社員のせい、世の中のせいというわけです。社員が社長一人の場合は許されますが、それでも取引先や顧客というステークホルダーに迷惑をかけるかもしれません。

せめて目的地を決めて(宣言して)飛行しないと、その飛行機は目的地からどれほど離れていて航路からどれだけずれているのかわかりません。途中は暗闇と嵐と山が待っています。たどり着くルートはいくらでもありますからその中のひとつを選ぶのが戦略です。で、その目的地はステークホルダーにとって魅力的な場所でしょうか。もし魅力的であるなら、みんなこぞって協力してくれるでしょう。


2023-05-19

Way Kool / Hiram Bullock

 

Hiram Bullock(ハイラム・ブロック)のギターを初めて聴いたのは、夜中のテレビ番組"Night Music"での映像(デヴィッド・サンボーン Sax、マーカス・ミラー B、オマー・ハキム Dr、ハイラム Gらがバックバンド)を観たときでした。豪華メンバーの凄い演奏でしたが、ハイラムのギターの個性は光っていました。

大学時代、音楽好きな友人との間で「From All Sides」(1986)や「Give It What U Got」(1987)がカッコイイと話題となりすっかりファンになっていました。というのも彼のギターは一聴して彼のものだとわかる音色とフレーズを持っていたからです。残念ながら2008年に52歳の若さで亡くなってしまいましたが、いまだに彼のギターは語り草となっています。

強力なファンクベースに乗せてハイラム節が炸裂する1.Da Alley は途中でJB御大の声が聴けます。2.Shut Up も音数が少ないのに大きなフレーズを聴かせてくれます。7.Wolfman のギターも最高!です。そして8.Another Night のようにハイラムは歌も魅力的なヴォイスの持ち主。全編にわたりハイラム節の詰まったアルバムで何回か聴くうちにフレーズを覚えてしまいます。


2023-05-18

音楽を聴くことの原体験

 

長らく音楽鑑賞を趣味としてきました。原体験は、小学生のときの上野公園にある東京文化会館でのクラシックコンサートだと思います。学校の教室にあった3ウェイスピーカー、ヤマハNS-1000Mもよく覚えています。レコードを聴くなんて授業があって、その時間が大好きでした。自分が指揮者にでもなったつもりで夢中で聴いていました。

1970年代ですからテレビでは歌謡曲、自分用にはトランジスタラジオ→ラジカセ→ステレオラジカセ→オーディオと機器がグレードアップして、ソースもFMラジオをカセットテープに録音していました。1981年には高校生ですから小遣いでなんとかレコードを買ってカセットテープに録音してウォークマンで持ち歩いたり。大学生になるとレンタルレコードをカセットに録音して楽しむことも多かったです。

高校〜大学はハードロックとエレキギターに夢中でした。バンドを組んで好きなアーティストのコピーを演奏していましたが、やがてオリジナル曲も作るようになり、そこでいろいろなジャンルの曲を聴くようになったと思います。CDが出てきて集めるようになったのも1980年代後半から。秋葉原(オーディオ)にも御茶ノ水(楽器)にも近いところに住んでいたのでラッキーでした。

というように僕にとっての音楽リスニング体験は、ライヴを聴くこと、放送を聴くこと、レコードやカセットやCDをオーディオ機器で再生すること、楽器を演奏すること、どれもこれも夢中になって楽しむことでした。そして今、還暦近くになって再び音楽をじっくりリスニングする時間を持てるようになりました。そんな日常をつれづれなるままに書いていこうと思います。

2023-05-17

Enigmatic Society / Dinner Party

 

ここ数年のジャズを聴いている人であればこの豪華メンバー(Terrace Martin / Robert Glasper / 9th Wonder / Kamasi Washington)による新譜を聴かずにはいられないでしょう。ジャズアルバムというよりは、今現在のヒップホップやR&Bを上質に聴くことができます。

A Tribe Called Questが90年代当時の空気をヒップホップ&ジャズで表現したように、凄腕ジャズミュージシャンによって伝えてくれています。沈み込むぶっとい低音も健在。浮遊感のあるサウンドに気持ち良いメロディが乗ります。全体を聴いたあと、やっぱり彼らのジャズアルバムなんだなとしみじみ。

なんか懐かしいピアノが漂う1.Answered Prayer に始まり、今のヒップホップ&ジャズはこれだと思わせるビート&雫音のあとピアノが美しい5.For Granted 、ホール&オーツの有名曲のフレーズを取り入れた7.Can't Go もさすが彼らというサウンドでオススメです。


2023-05-16

Tribes, Vibes and Scribes / Incognito

 

Incognito(インコグニート)はイギリス・ロンドンのジャズ・ファンクバンド。僕は1991年のアルバム「Inside Life」で知りました。ハウスの伝説的な楽曲“Always There featuring Jocelyn Brown”が入っていて彼らのアレンジがカッコよかったのでファンになりました。

リーダーはギターのBluey(ジャン・ポール・'ブルーイ'・モーニック)で彼のソロアルバムもよく聴きました。彼がリスペクトしているであろうR&B、ジャズフュージョンやハウスの古き良きサウンドを現代風にアレンジし、印象的なメロディーとともに都会的でおしゃれなダンスミュージックに仕上げているのが特徴です。

印象的なベースラインでこれぞジャズファンクな1.Colibri に始まり、スティーヴィー・ワンダーの名曲4.Don't You Worry 'Bout a Thing ギターカッティングとベースラインがかっこいい7.Closer to the Feeling や9.Need to Know あたりが彼ららしいサウンドとしてオススメです。


2023-05-15

セルフなのに顧客満足度が高いって?

 

スターバックスコーヒーやドトールコーヒーなどセルフサービスが主流です。パン屋もスーパーも商品を自分で取ってレジに並びます。さらにセルフレジであればほとんど店員と対面する必要がありません。なのにスターバックスコーヒーの顧客満足度は高いと言われたりします。(値段が高いとか混んでてくつろげないという不満も多いようですが)

昔はどの喫茶店でもウェイターが注文をとりにきて、食事や飲み物をテーブルに運んでくれていました。こちらは座って待っているだけ。人手をかけてサービスしているのに、昔ながらの喫茶店はどんどん減っています。このことは外食業界だけでなく、あらゆる商売に共通する話題です。コロナ後の人手不足が拍車をかけそうです。

スタバと喫茶店の違いは、ひとことで言えばビジョンの違いです。ビジョンによって価値提供のポイントが変わってきます。どちらが良くてどちらが悪いということではなく、お客様によって選択されているのです。スタバと喫茶店を使い分けていると思います。そして残念ながら昔ほど喫茶店を使わなくなってしまったのです。

スタバが店舗数を増やすことができたのは、よく考えられたビジョンとその徹底ぶりが凄かったのだと思います。コーヒーの味や商品ラインナップはもちろん内装デザインやスタッフの話し言葉に至るまですべてビジョンに沿っていました。ここ数年やっとビジョン経営が当たり前になってきました。Z世代はまずそのチームのビジョンを確かめることから始めています。ビジョンと戦略と戦術はちゃんとつながっているかチームで確かめることが大事です。