2024-09-06

Let's Walk / Madeleine Peyroux

 

Madeleine Peyroux(マデリン・ペルー)はアメリカのシンガーソングライター。パリに移住してストリートミュージシャンをやっていたこともある。2024年本作は6年ぶりの10作目。ジャズをはじめ様々なジャンルの曲を彼女なりのアレンジで歌うことも多かったが、今回は全曲オリジナル。

これもジャズなのね、とノラ・ジョーンズのように言われそうですが、ルーツのひとつにジャズがあるということかな。様々な音楽から着想を得てアレンジしていくことで楽曲そのものの楽しさを味わうのがジャズとも思います。そして何より彼女の曲は楽しい。我が家でも妻に好評。自然と口ずさむような印象的な曲が詰まっています。

タイトル曲3.Let's Walk なんてまさにポップでおしゃれな曲。暑くなければ散歩したい。5.Blues for Heaven や9.Showman Dan のようなブルース曲が僕のお気に入りです。バックの演奏も小粋でしっかりした演奏。オルガンやギターの音もいい。ほかの楽曲も様々な音楽を知るベテランならではの深みを感じさせつつ、気軽に聴けるいいアルバムです。

2024-09-03

ジャズしか聴けなかった

 

最近、これ聴いています」で今年発表のジャズアルバムを紹介していたり、ジャズクラブを運営していたとかなると、さぞジャズどっぷり人なのではと思われます。実はそんなに詳しくない...。

同記事は“note.com”というサイトにも転載。清澄白河のカフェGinger.tokyoで、noteに投稿するくらい音楽めっちゃ詳しい方々とお会いすることができたのですが、そこで「ジャズ以外も聴くんですね」なんて言われたりして。

昔、よく聴いていました」も書いていたので、HR/HM出身なのはバレバレですし、我ながら雑食だなと思い返しました。そしてやっぱりギターを弾いていたことは聴く音楽にも大きく影響していると思いました。大学時代、曲を作るために、先輩の家でいろいろな音楽を聴いたのもきっかけになったかな。XTCとかヴェルヴェットとかP-Funkとか。

社会人になって、仕事がいろいろキツくなってきた30代後半くらいから、ジャズしか耳に入らなくなってきたというのが本音です。もしくはダンスミュージックかインスト。はっきりしたコード進行でなく明るくも暗くもない、気持ちがニュートラルになるような音楽しか聴けなくなりました。そうこうするうちにいつの間にかジャズどっぷり人になっていた気がします。

でもやっと解放されて、いまは再び何でも聴くようになりました。だから音楽好きな人と話しをするのは本当に楽しい。投稿を読むのも楽しい。歳をとるのも悪くないなと思っています。

2024-08-30

And Then Again / Bill Charlap Trio

 

Bill Charlap(ビル・チャーラップ)はアメリカのジャズピアニスト。2024年本作はピーター・ワシントンB、ケニー・ワシントンDrとのトリオで、ニューヨークのヴィレッジヴァンガードでのライヴをブルーノートからリリース。1997年から続くレギュラートリオとのことでベテランの味わい深い演奏を聴くことができます。

ビル・チャーラップの作品はいずれもオーディオ的に優れていて、特にピアノの音には惚れ惚れします。本作を一聴したとき「ん、ボリュームちょっと小さい?」と思いましたが、途中のドラムスの音はしっかり出ていて、ベースも豊かな低音が鳴っています。これ、小さな音はより繊細に、大きな音はより際立って、つまりダイナミクスが大きいんですね。だから音量上げ気味で聴くといいかも。臨場感もぐっと上がります。

いかにもケニー・バロンの作品だという1.And Then Again はこのトリオらしく途中からエネルギッシュな展開。ヴィレッジヴァンガードの空気が伝わってくるようです。3.'Round Midnight のアレンジも小粋で大人な雰囲気。ガーシュインの7.The Man I Love も軽快に楽しい演奏。おだやかな秋が恋しくなるアルバムです。

2024-08-27

リスニングポイントの話

 

スピーカーで音楽を聴くときに、どの位置で聴いていますか?僕は音をしっかり聴くときは、オーディオセオリーどおりに正三角形の頂点?で聴いています。つまり左右のスピーカーの距離と等距離の真ん中で、ソファから少し乗り出した状態。するとヴォーカルは眼の前の真ん中に定位して、左右や場合によっては前後にも音場が拡がるのを楽しんでいます。

ただ、ずっとその姿勢で聴いていると疲れちゃうので、結局ソファ背もたれに寄りかかる。そうすると正三角形ではなく、二等辺三角形の頂点になります。ちょっと音楽を俯瞰して全体でゆったり聴くことができる。で、おっこれ何、となると乗り出す。そんなことを繰り返しながら聴いています。

でもちょっと思うのは、正三角形で聴くのはなんとなくヘッドフォン的。いろんな音を聴き逃すまいと聴くようなところがある気がしています。スタジオのコンソールの前みたいな。スピーカーは耳だけでなく体でも聴いているのが心地いいので、まあ違うわけですが。たまに、いろんなところに座ってスピーカーから鳴っている音を聴くのもよかったりします。

2024-08-23

Trio II: 2 / Marty Holoubek

 

Marty Holoubek(マーティ・ホロベック)はオーストラリア出身の東京在住のベーシスト&作曲家。NHK『ムジカ・ピッコリーノ』にレギュラーとして出演したりして多方面で活躍しています。そんな彼が信頼するミュージシャン、井上銘G、石若駿Drと組んだトリオ“Trio II”の2024年2作目。

僕もジャズクラブをやっていた頃に多数出演いただいた若手ジャズギタリストNo.1の井上銘さん。同じく若手ドラマーとして突出して活躍されている石若駿さん。このトリオでの演奏は数多のセッションで鍛え上げられた演奏能力と“日本の”では済まない世界に通じるオリジナリティサウンドを持った、まさに“今”の音楽が表現されています。

それにしてもスゴい演奏の7曲37分です。2.Uncle Izu を聴けば彼らがジャズにとどまらず、あらゆる音楽を吸収して演奏していることがわかるでしょう。井上銘さんのギターサウンド、刺激的でカッコいい。個人的にThe Durutti Columnを思い出した4.Maritta のギターも好き。6.Beki のリズム...こんなの石若駿さんしか叩けないでしょう。ドラムス炸裂していてスゴいです。マーティさん起点だからこそ生まれた傑作に感謝。

2024-08-20

「ストレンジャー・シングス」を観た

 

Netflixでドラマ「ストレンジャー・シングス」をシーズン4までハイペースで観ました。外はとにかく暑いのでエアコンの効いた部屋で、ネット動画配信はうってつけです。時間があるからもう1話観ちゃおうか、となるのがドラマの罠です。

アメリカのSFホラーで2016年に配信開始されたシリーズですが、1980年代の雰囲気プンプンでなかなか楽しいです。ショッピングモールやビデオレンタルショップもそうですが、なんと言ってもBGMに80年代ヒット曲やハードロックがかかって、ひとりノリノリになりました。

ラストには登場人物がギターを持ってメタリカ「Master of Puppets」を弾きますからオォーッて。映画全体を覆う雰囲気もどこかメタルチック。というかメタル愛、リスペクトを感じる作品だと思います。

完結すると言われているシーズン5も製作を開始しているそうなので、来年観られるかな。


2024-08-16

Epic Cool / Kirk Whalum

 

Kirk Whalum(カーク・ウェイラム)はアメリカのサックス奏者。今年6月にも「村上春樹 produce 村上JAM 〜フュージョンナイト」で来日されて、単独公演もされていたようです。ホイットニー・ヒューストン「オールウェイズ・ラヴ・ユー」でのサックスソロは誰もが耳にしたことのある名演奏だと思います。

2024年新作のこれぞスムースジャズまたはフュージョン。音質いいです。お気に入りのオーディオ&スピーカーでスカッと鳴らしてください。曲調も真夏にぴったりリゾート気分です。カークのサックスも歌うように奏でられて気持ちのよいこと。あーもうなにも考えなくていいやってなりますきっと。

1.Bah-De-Yah! から期待を裏切らないフュージョンぶり。リズムのツボをおさえたノリノリな曲で始まります。5.Through the Storm はその名の通りクワイエット・ストームな1曲でクールダウン。サックスが歌っています。8.MF はマーカス・フィニーのドラムスとおそらく息子のカイル・ウェイラムのリズム隊ビシバシのテクニック派大好き曲です。ハイレゾ24/96&Dolby Atmos対応音源です。