2024-06-18

「スペース・サーカス」が配信に!

 

先日、ひとり盛り上がる事件がありました。なんとApple Musicのおすすめにスペース・サーカスの2枚目「FANTASTIC ARRIVAL」(1979年作)が表示されているではないですか。見れば2023年に配信開始されていた...。一言、もの凄い演奏です。再発されていた中古CDをウイッシュリストに入れて数十ヶ月。5千円くらいの値付けに躊躇していた音源です。

スペース・サーカス。“四人囃子、プリズムと並び、70年代プログレシーンを代表する異端派プログレッシヴ・ジャズ・ロックバンド”(ディスクユニオンより)とありますが、僕にとってはあの岡野ハジメさんのバンドです。岡野さんがベースを弾くPINKを聴きまくっていた大学時代。同じ大学の大先輩にあたります。DEAD ENDやL'Arc〜en〜Cielのプロデューサーでもあられます。

大学に入って何に一番驚いたかといいますと、先輩方の演奏のスゴいことでした。機材もさることながら、演奏力というか出し音が「もうこれプロなんですよね」というレベル。岡野さんのいらした時代から伝統的な文化だったのでしょうか。あーこれは追いつけないやと心の中で思っていました。

結局1枚目の「FUNKY CARAVAN」(1978年作)は中古CDを注文しました。ボーナス・トラックに“Live(at 明治学院大学431番教室 1976.11.1)”が入っているCDです。YouTubeにも音源があったので聴きましたが衝撃的な20歳の演奏です。あの大学時代に聴いたような音でした。
※1枚目はAmazon MusicやYouTube Musicでは配信されているようですが、Apple MusicやSpotifyには無い。なぜ...?

2024-06-14

Timing Is Everything / Eric Alexander

 

Eric Alexander(エリック・アレキサンダー)はアメリカのジャズサックス奏者。これまでにもOne For AllXaver Hellmeierのアルバムで紹介しました。55歳ながら多数のディスコグラフィーをもつベテランであり、名手として常連といえます。ニューヨークではスモールズあたりに出演されていてライヴも観ることができるなんて羨ましい。

彼のカルテット「My Favorite Things」(2007年)は一時ジャズ誌でも話題になりCDを購入しました。豪快なサックスがスピーカーから飛んできて、思わずボリュームを下げるほど。いやしかし元に戻して、存分にサックスを浴びるのが彼の作品の聴き方です。一度これを聴いてしまうと“ジャズを浴びてスッキリしたい”というときの定番になることでしょう。

軽快なシンバルワークの1.After the Rain を聴いて蒸し暑い季節の鬱陶しさも軽快に。印象に残るフレーズを連発する4.Big G’s Monk も聴いていて楽しくなります。6.Misty でのバラードもエリックの得意技でうっとり聴かせます。ハイレゾで音質面も余すところなく、これぞサックス・カルテットを味わうことができます。

2024-06-11

「ボン・ジョヴィ」観ました

 

ドキュメンタリー「ボン・ジョヴィ:Thank You, Goodnight」を観ました。1時間以上の番組を4本立て。ジョン・ボン・ジョヴィは現在62歳。デビュー前から現在に至るまでの彼とバンドの歴史をたっぷりと観ることができました。

大学1年で“SUPER ROCK '84 IN JAPAN”に行ってデビューした頃のボン・ジョヴィを観たことはいまだに記憶に残っています。「夜明けのランナウェイ」ですね。MTVと同時に育ったロックバンドというイメージで、僕は就職してまもなく日本での衛星放送MTVの立ち上げに関わったので同世代感があります。このドキュメンタリーの前半でも多くのシーンが。

2022年にバンド仲間とのライヴでラストに「It's My Life」を演奏しました。実はあまり彼らの曲を熱心に聴いてこなかった僕ですが、演奏していて一番良かったのはこの曲でした。良いときも悪いときもいろいろあってこれからもどうなるかわからないけれど、今があるという思いを感じさせてくれました。

還暦なジョンは喉を手術して、声が思うように出なくて落ち込んだり。僕も目歯耳足と故障が相次いで、急速に老いを実感したこの数年。でも音楽が好きな気持ちは変わらないかなと。6月7日に彼らのニューアルバム「フォーエヴァー」がリリースされたばかり。同世代からエールを送られました。

2024-06-07

Seems / Kelly Green

 

Kelly Green(ケリー・グリーン)はニューヨーク在住のピアニスト&ヴォーカリスト。プロのベーシストである父親とともにジャズを学び、数々の演奏歴、受賞歴がある秀でたミュージシャンであるようです。分断された世の中への問題意識から音楽表現によって特に女性としての意思を伝えていこうというビジョンをもった方でもあります。

このアルバムでもヴォーカル曲、インストゥルメンタル曲、あるときは伝統的、そして現代的、テーマと即興というように様々なスタイルを際立たせて聴かせてくれます。そこにあるのは確かな演奏力と自由で前向きさが感じられる全体感。聴いていて楽しくなるはずです。

フルートと印象的なテーマで始まる1.Down That Road でオリジナリティ性の高いジャズグループかと思いきや、2.World of My Own でなんとも魅力的な女性ヴォーカルを聴かせ、3.Lonely One では日本の尺八を思わせる現代音楽アプローチからの自由なヴォーカル。そして4.Street Cleaning は一筋縄ではいかないバンドアンサンブル。多様ではありますが、彼女の思いを感じることができる演奏がこのあとも続きます。こういう作品があるからジャズは面白いと思うんです。

2024-06-04

「ボブ・マーリー」観ました

 

映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE」を観て来ました。ボブ・マーリー関連の映像ソフトだけでもLD5枚、DVD2枚を持っているほど彼についてはある程度知っているので、へぇ〜という部分は少なかったのですが、俳優さんたちの演技が良かったのと映画館の音も迫力があって没頭して楽しめました。ただもうちょっと曲を聴きたかったかなぁ。

僕よりもかなり若い人でも「ボブ・マーリーは好きで聴きます」という知人はけっこういて、世代を超えた存在であることは確かだと思います。リズムやメロディーに優しさが溢れていて、人懐こいところが人気なのではないかと。(オススメ音源はこちら

僕はエリック・クラプトンの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のギターをコピーしたのがボブ・マーリーの音楽との出会いかな。その後彼の音楽やレゲエを聴き込むようになったのは80年代も後半になってからだと記憶しています。生き様やライヴ映像での鬼気迫る姿という意味では僕にとってジミ・ヘンドリックスと同様な存在。語り継がれてほしいミュージシャンのひとりです。

2024-05-31

Reverence / Charles McPherson

 

Charles McPherson(チャールズ・マクファーソン)はアメリカのジャズサックス奏者。1939年生まれで我が亡き母と同じ。現在84歳。あのチャールズ・ミンガスとも60〜70年代に共演しているそうです。この2024年新作は師匠のバリー・ハリスP(2021年逝去)への追悼と尊敬の意を込めたライヴアルバムです。

数多の巨匠たちと共演してきたチャールズはもちろんクインテットの演奏はジャズへの敬意や情熱をヒシヒシと感じることができ、ああなんて素晴らしい演奏なんだと思います。それを僕の好きなSMOKEのライヴ録音(客席の反応最高!)で聴かせてくれるのですからありがたやです。往年の熱いジャズを最新録音で聴くならこのアルバムです。どうやったらこんなに良い音で録音できるのだろう。

1.Surge からうれしい演奏を聴くことができます。テレル・スタッフォードのトランペットが気持ちよく飛んできます。続くチャールズのプレイものっけから年齢を感じさせないフレーズで応酬してくれます。ジェブ・パットンの素敵なピアノで始まるスタンダードの3.Come Rain or Come Shine ではチャールズが気持ちたっぷりにあの印象的なメロディを吹いています。バリーに捧げるラストの6.Ode to Barry は軽快でユニークなナンバー。師匠の印象を曲にしたのかもしれません。全編にわたってドラムスとベースの音も最高です。

2024-05-28

いい音紹介〜スティーヴ・スミス

 

Steve Smith(スティーヴ・スミス)と聞いてジャーニーのドラマーであることは知っている人も多いでしょう。「セパレイト・ウェイズ」「オープン・アームズ」といったヒット曲で誰もが耳にしているあのサウンドです。スタジアム級のハードロックバンドで曲に合ったドラミングを聴かせてくれるこれぞプロのプレイはミュージシャンにも人気です。

もともとジャズドラマーであることも知られていて、このヴァイタル・インフォメーションというプロジェクトに専念したくてジャーニーを辞めたそうです。で、このバンドのドラムスを聴いてびっくり。ジャーニーとは全然違う。インド?タブラ?的でとても個性的(たとえば3.Interwoven Rhythms-Synchronous )。ところがこれが癖になるサウンドなのです。これがやりたかったのかぁ。

そしてなんと言っても音が素晴らしい。ライヴ録音ということもあり、現場感がビシビシ伝わってきます。小さめのハコで演奏されるドラムスの音ってこうなんだよなーと思わせてくれます。様々なリズムでシンバルからタムまでくっきりはっきりです。そして強力なバスドラ!

僕は家のスピーカーをセッテングしているときにこのCDをずっと掛けっぱなしにして位置調整しています。ギターやベース、キーボードとのアンサンブルも生々しい音で、目の前に各楽器が気持ちよく再現できているかチェックしています。小さめの音でもしっかりスピーカーを鳴らしてくれるオススメ音源です。