2024-02-09

Foreverland / Keyon Harrold

Keyon Harrold(キーヨン・ハロルド)はアメリカのトランペッター、プロデューサーです。プロとしての最初の仕事はコモンのバックメンバーとして、同級生であるロバート・グラスパーの推薦だったとのこと。マイルス・デイヴィスの伝記映画「マイルズ・アヘッド」での吹き替えトランペット演奏も彼によるもので、ジャズプレイヤーとしての実力も確かです。

2024年本作の1.Find Your Peace でラップを聴かせるコモンは昨年Apple TV+の「サイロ」で俳優としても活躍するなどマルチな才能をみせてくれました。この曲はグラスパーも参加して、キーヨンが新世代を代表する存在であることを象徴しています。漂うようなリズムと浮遊感のあるバッキングが気持ちよい曲です。ほかにもいくつかR&Bな曲が入っていて、グラスパーが好きなら要チェックなアルバムです。

僕としてはあえてジャズな曲をオススメしたいと思います。3.The Intellectual ではフリーに叩くドラムスに乗せてキーヨンのトランペットを存分に聴くことができます。8.Gotta Go (Outer Space) は複雑なリズムとともに地を這うベースが印象的な曲。9.Pictures ではバラードのトランペットソロが中心の曲で内省的な雰囲気が伝わってきます。

2024-02-06

イヤーパッド交換してみた

 

お気に入りのヘッドフォン「ULTRASONE edition9」も愛用して16年が経っていました。さすがにそろそろイヤーパッドを交換しようとネット検索。同メーカーの輸入代理店も変更になっていて今はアユートの公式ECサイトで取り扱っていました。昨年閲覧したときには売り切れになっていたところ、今年確認したら入荷されていたので購入しました。

真ん中で挟まっているのが交換前のイヤーパッド

なんか見た目がまったく違う...。ECサイトの説明にはメーカー純正と表記があり、この機種に対応したイヤーパッドはこれしかなかったのでしかたなく購入したのです。ほかの対応機種にSignatureシリーズもあったのでそちらの機種のもの、なのかもしれません。

交換して1週間ほど聴き込んてみましたが、やっぱりイイです。高域はくっきりきっちり描いて、低域は締まりのあるedition9特有のあの低音が蘇りました。新しいイヤーパッドの触感は以前のものよりサラッとしていて長時間装着のムレが軽減。クッションも増して耳のなかに音楽をホールドしてくれています。しばらくSTAXばかりになっていましたが、ハードパンチな曲ではやっぱりこの密閉型です。

愛用の機器はメンテして長く使うのが良い、ということを思い知った次第です。

2024-02-02

Evergreen / Jun Iida

 

Jun Iida(飯田潤)はアメリカのトランペッター&作曲家。日系移民の息子として、セントルイス→ピッツバーグ→クリーブランド→ロサンゼルス→シアトル→ニューヨークと活躍しているミュージシャンです。本作はリーダーとしてのデビュー作で2024年にワールドリリースされました。琴奏者の母親がクラシックやジャズ、そして日本の民謡や童謡を教えてくれたそうで、このアルバムにも影響がみられます。

「クリーブランド音楽院でクラシック音楽を、ケース・ウェスタン・リザーブ大学でジャズを学び、航空宇宙工学も学んだ。」とWEBサイトに記載されていますが、こうしたしっかりした基礎のうえに、クラシックやジャズの現場を数多く経験してきただけあって、その音には深みを感じますし、曲やプレイにはこれからの時代の新しい何かがあると思いました。

日本人リスナーとしては、2.Akatombo や4.Shiki no Uta でのメロディーや日本語に親近感と飯田さんの人柄を感じることができるでしょう。タイトル曲3.Evergreen をはじめ、ほかにも全編にAubrey Johnsonのスキャットと共演していてトランペットだけでなく、バンドアンサンブルを重視しているアルバムです。落ち着いた心地よい演奏が主ですが、8.My Anguish In Solidarity では後半にプログレとも思えるドラムスがビシバシする展開があったりして、オススメ曲です。

2024-01-30

静電気の恐怖

 

愛用のイヤースピーカー(ヘッドフォンにあらず)STAX SR-L700 MK2とドライバーのSRM-353Xは、今もとても“音楽的に”耳の周りで鳴ってくれています。これを耳にして音楽に浸る時間のなんと心地よいこと。こんな筐体なのにほんとに負担を感じさせません。

愛機のSTAXたち

冬になると乾燥しますね。これを耳につけてソファでノリノリ。ん〜いい曲だった、別のCDをかけようかとソファから離れるときです、(ビリビリッ)または(バチッ)と耳から頭頂にかけてなんと静電気が襲うのです。「うわっ!」と声を上げるくらい。

そうこのイヤースピーカーは「振動膜(ダイアフラム)に静電気を発生させることで振動発音する原理(STAXホームページより)」なのです。そもそも耳周辺で静電気が発生しているところに、ソファとの摩擦で体全体に大量の電気を発生させて相乗効果しているのではないかと想像するのです。

対策としては加湿ですね。加湿器からの蒸気がソファにちょうど降りかかるくらいに、ずっと加湿しています。加湿器の音がまあ気になりますが、静電気の恐怖と引き換えに仕方がない。これも「いい音」と付き合っていく冬の行事だと思って楽しんでいます。

加湿器つけっぱなし

2024-01-25

聴いては書いて、書いては聴いて

 

なんとか1年間書き続けました。平日毎日。「昔、よく聴いていました」を99記事、「最近、これ聴いています」を51記事、「音楽を聴くことの雑感」はこれ入れて33記事、「ちょっとフィールドレコーディング」は8記事、音楽とは関係ないけど「てやんでぇ!社長」を60記事。父の誕生日の翌日に書き始めて1年経ち、今日は父の90歳誕生日で卒寿、めでたしです。

それにしても毎日書くのをずっと続けている人はいらっしゃるわけで、なかなかに尊敬レベルだなと思います。常日頃ネタを考えては「次はコレ書こうかな」ってやるわけですから、ボーっとしている暇はありません。好きなことを好き勝手に書くので誰にでも出来ると思っていたのですが...。まぁここらで一息ついて、週1〜2記事くらいにペース落とすことにします。

音楽を聴いては書いて、書いては音楽を聴いて、というのもちょっと鍛えられてよかったです。ふつう音楽を聴いたときの言語化って「おっ」とか「いいねコレ」とか「くぅー」くらいしか出てこないので、なんとか少ないボキャブラリーの中からひねり出すように書くのはそれなりに頭を使います。書くうちに気づきもあったりしてそれはそれでラッキーと。音楽を聴く楽しみのひとつになりました。

2024-01-24

Groove Street / Dave Stryker

 

Dave Stryker(デイヴ・ストライカー)はアメリカのジャズギタリスト。リーダーとしてすでに25枚以上のアルバムがあり、スタンリー・タレンタインSax、ジャック・マクダフOrgらのサイドマンとしても活躍しているベテランです。2024年の本作は彼のトリオと、あのイエロージャケッツのボブ・ミンツァーSaxとの共演ということで、活動拠点であるニューヨークのライヴハウスにいるかのような演奏を聴かせてくれます。

オルガンが入っているとタイトルどおりグッとグルーヴィになります。このベースはなに?と思いましたがオルガンが弾いています。独特の重低音がとてもいい感じです。そういえばウェス・モンゴメリーのトリオもオルガンがベース役を兼ねていました。デイヴのギターは奇をてらわずストレートな音色とフレーズで気持ちよい音。そして力強いボブのサックスがバンドサウンドを引き立てます。

勢いよくタイトル曲の1.Groove Street のグイグイくるスイングが体を揺らしてくれます。4.Infant Eyes ではクールダウン。都会のフュージョンサウンドなんですが、このバンドならではの濃い色を醸しています。ファンキーな6.Cold Duck もカッコよくてオススメ。大人のオジサマたちによる粋なニューヨークサウンドが羨ましいアルバムです。

2024-01-23

山下達郎

 

大学時代はギターばっかりではありましたが、普通の?大学生活もあったわけで、そんなときはいつも山下達郎を聴いていました。やはり1980年の「RIDE ON TIME」の伸びやかな声をラジオで聴いてこれぞと思い、確か大学に入った1984年頃に企画盤コンピレーションアルバムの「COME ALONG」と「COME ALONGⅡ」を購入してカセットテープに入れてウォークマンで持ち歩いていました。僕にとっては夏といえばユーミンでもサザンでもなく達郎でした。

「BOMBER」のチョッパー入りゴリゴリベースに痺れ、「SOLID SLIDER」や「PAPER DOLL」のクールなリズムにやられました。夏になると「LOVELAND, ISLAND」のCMを思い出し、バラード名曲の「潮騒」「YOUR EYES」にも浸りました。この企画盤ばかり聴いたので曲順や小林克也&竹内まりやのセリフも込みで覚えてしまいました。達郎さんの歌唱力はもちろんバックメンバーの本格的な演奏力に、歌謡曲というより洋楽らしさを感じて聴いていたのだと思います。

大学を卒業しても「僕の中の少年」(1988年)や「ARTISAN」(1991年)は社会人若かりし頃の想い出とともに、最も聴いたアルバムとして今でも愛聴しています。以降も達郎さんの作品は買い続け、昨年のライヴでも“僕はこの人の音楽とともに人生を過ごしてきたんだな”と感慨深いものがありました。娘はいま達郎さんが通った高校に通学しています。家でもよくかけるのでいくつかの曲は覚えてしまったようです。自然と受け継いでいくのかなと思います。

“昔、よく聴きました”もここで一旦終わりにしようと思います。40年以上を振り返るよい機会となりました。CD棚を眺めていて「あ、これも聴いたな」と思い出したらまた書くとします。