2023-11-27

人口減少時代ですなぁ

 

総務省によれば12年連続で人口は減少しており総人口でも昨年55万人減っています。娘が就職するであろう5、6年後は会社はもちろん仕事をとりまく環境もさらに変化しているでしょう。人口減少によって、労働力人口不足は深刻です。ドル高ユーロ高は常態となり、賃金アップできる企業は輸出あるいは国際企業のみで、原材料費が上がり物価高騰を招き消費生活は苦しいままです。安全志向の若者は賃金アップ企業に流れ、中小企業は求人しても応募が少なく雇うのが難しい状況は変わらないと思います。

現時点でも、スーパーのセルフレジ化は急激に進みました。キャッシュレスも同様です。商品点数が多いので有人レジに進もうとしたら外国人スタッフに日本語で丁重に断られました。人手不足なわけです。日用品や食料品は単価を上げられないので省力化するのは当たり前。単価が高くて価格競争している家電やガジェットはネットで購入するものです。人間が対応してくれるのは利益率の高いブランド品など高額な富裕層向け商品だけ、となっています。

BtoCだけでなくBtoBも例外ではありません。WEBで申し込み、お試し利用、契約はクラウドサイン、質問にはAIが対応、です。営業スタッフが説明しに参りますなんてのは、よほどプレミアムな案件のみとなるわけです。セールスなんて言葉がありましたが、必要なものはこちらから言いますから、不要なものは提案しないで、となりました。営業スタッフも説き伏せて買ってもらうなんて行為を嫌がりますし、もっと効率的に仕事を進めたいと思うでしょう。

すでに会社のあらゆる部門で働き方は変わっています。会社のあり方、社長のあり方、雇用のあり方ももっと変わっていくでしょう。そのための準備を考えたいと思います。

2023-11-24

Live in Nyc / Gretchen Parlato

 

Gretchen Parlato(グレッチェン・パーラト)はアメリカのジャズヴォーカリスト。リオーネル・ルエケとの2023年作品「Lean In」でも取り上げました。彼女を知るきっかけとなったのが2013年のこのライヴCDです。DVDとセットになっていて映像でもニューヨークの小さめのハコでの演奏を楽しむことができます。ジャズクラブを経営していたときにこんな雰囲気を醸すことができたら素敵だなと思っていました。

参加メンバーとしてドラムスに旦那さんのマーク・ジュリアナケンドリック・スコットの叩く姿を観られるのがうれしい。彼らが創造的で繊細なビートを刻むのかがよくわかります。音質もとても生々しくて近距離で叩いているかのよう。そこにグレッチェン独特の歌が繰り広げられて幻想的な世界を描いていきます。2013年当時のニューヨークを象徴するサウンドがそこにあると感じることができます。

ハービー・ハンコックの1.Butterfly でのグレッチェンのスキャットと手拍子ですぐに世界に惹き込まれ、そのあとずっと続きます。ベースやドラムスが入ってきてこの音が当時グラスパーを始め新しいジャズの音なんだと知ります。2.All That I Can Say ではケンドリックの重くて引っ掛かるリズムが印象的。シンプリー・レッドの5.Holding Back the Years では新しいジャズによるカヴァーになっていてイイ雰囲気です。そして幻想的でゆったりとしたオリジナル9.Better Than で本ステージ終演となります。

2023-11-22

meets 新日本フィルハーモニー交響楽団 / 渡辺貞夫

 

ナベサダさんこと渡辺貞夫が2023年4月29日に、35年ぶりという新日本フィルハーモニー交響楽団との共演をライヴ録音したものです。御年90歳で父より年上にもかかわらずこの活躍ぶりは本当にスゴいと思います。2019年の「Sadao 2019 - Live at Blue Note Tokyo」が小気味良い演奏で、スティーヴ・ガッドのドラムスもかっこよく気に入っていました。

本作の会場は“すみだトリフォニーホール”です。2015年にKORG社のDSD録音イベントがあり、ハンディレコーダーでクラシックの交響楽団を生録するという幸運に恵まれました。本作の音を聴いていて、その奥行きがあって心地よい響きが生録した音を思い出させてくれました。拡がりのあるオーケストラの真ん中でサックスを浮かび上がらせる姿が想像できる音になっています。

1.ナイス・ショット を聴いたのは中学生の頃、資生堂ブラバスのCMだったかなと思います。今聴くとサウンドはシティポップしていて古く感じません。3.つま恋 では哀愁のサックスがオーケストラとマッチしていてドラマチックです。全般にブラジル音楽に精通されたナベサダさんの音世界が繰り広げられます。面白いと思った曲は8.サン・ダンス でちょっと日本らしいメロディが印象的です。名曲9.マイ・ディア・ライフ を聴きながら、ナベサダさんが以降の日本のフュージョンに大きな影響を与えていることをしみじみ思い知ったのでした。

2023-11-21

Conviction / Kendrick Scott Oracle

 

Kendrick Scott(ケンドリック・スコット)はアメリカのジャズドラマーであり作曲家。デビュー時は同世代のロバート・グラスパーらと共演するなど新時代ジャズ界隈のドラマーで、2013年メジャーデビューとなる本作はKendrick Scott Oracle名義でのリーダー3作目。パット・メセニーGやテレンス・ブランチャードTpなどとの共演経験もあり、山中千尋さんのアルバムにも参加していたりします。

デリック・ホッジのアルバム同様、2013年に開業したパン屋の往復に最も聴いた作品のひとつで、聴いていると当時が蘇ります。グラスパーを始め新しいジャズの潮流に魅力を感じていたことと凄いジャズドラマーが次々に現れていたことが重なって、新譜を聴くのが楽しかった時期でした。新譜とは言ってもCDではなくiTunesでのダウンロードでしたが。

1.Pendulum の語りのあとから勢いのあるジャズドラムが展開され、後半になると壮絶になります。アラン・ハンプトンの印象的なヴォーカルで始まる2.Too Much はアルバムの中でもイチオシのポップな曲。マイク・モレノのギターが印象的です。タイトル曲7.Conviction でもケンドリックの超絶ドラムスを聴くことができます。10.Be Water で独白しているのは敬愛するブルース・リーだそう。

2023-11-20

社長の「進退」

 

社長自身の進退をどうするか。社長とはまさに人生を「選択」してきた人ですから、人からどうこう言われて決める人ではありません。その社長の勝手にするというのが結論です。しかし不死身ではないのでいずれ誰かに引き継ぐか、会社を売却や廃業するなど次をどうするか「選択」する必要があります。

有名社長が次期社長を指名して、結局また自分が返り咲くといったニュースを見かけますが、私個人の意見としては、なんだかしっくりこないという感想です。当人いろいろ考えての判断でしょうから他人にはわからないことだと思いますが、幻滅してしまいます。しがみつきとか保身とかそんな印象さえあります。有名社長なら意地でも会社にはタッチしない、報酬ももらわない、そんな気概を見せてほしいと思います。

事業を起こして成し遂げた、それを後進に譲ったのだから「自分は次に行く」と宣言してほしいのです。また新たな事業を立ち上げてチャレンジしていく姿を見せてほしい。また成功するかどうかなんてわからない。すでに財を成したのだから、そこから出資してゼロから始めるということです。有名社長でなくてもそうするべきだと私は思っています。

2023-11-17

Live Today / Derrick Hodge

 

Derrick Hodge(デリック・ホッジ)は、アメリカのミュージシャンでベーシスト。活動家でもあります。ロバート・グラスパー・エクスペリメントの「Black Radio」でもベースを弾いています。2013年の本作はブルーノートから発売された初リーダー作。すでにネオソウルを始めとする名だたるミュージシャンとの経験もあり、作品は豊かなバックグラウンドを想像させるものになっています。

2013年といえば個人的にはパン屋を始めた年でもあり、往復2時間の毎日でヘッドフォンでありながら様々な音楽をどっぷり聴くことができました。このアルバムはそんな中よく聴いた作品で、聴くと当時の風景や匂いが思い起こされるほどになっています。デリックの太いベース音が少しの高揚感と癒やしをもたらして、多様な楽曲とともによい時間を過ごすことができました。

ベースのハーモニックスで始まる1.The Real からいかにもデリック唯一無二の音になっています。3.Message of Hope も印象的なメロディーをベースで奏でて、一筋縄でいかないリズムとともに新しいジャズを提示しています。4.Boro March でいきなり超絶ユニゾンから太いベースラインに移るところがカッコいい。このアルバムでも好きな曲です。コモンが参加した5.Live Today はもはやヒップホップの名曲といえるでしょう。時代を超えて色褪せない作品になっています。

2023-11-16

完全再現ライヴと即興演奏ライヴ

 

先日観に行ったシネマ・コンサートは満員の盛況ぶりでした。いわゆる「完全再現」コンサートというものです。YouTubeなどでは大物アーティストやアイドルグループのライヴを垣間見ますが、ヴォーカルこそ生で歌っているものの、バックの演奏は生演奏ではなくマシン再生したものが多いようです。求められている音は、ストリーミングやCDの「完全再現」なのです。音源にないギターソロを延々と繰り広げるなんてしちゃいけないんです。

ファンは「いつも聴いていたものと違う」ことを嫌うようで、ミュージシャン側もファンの希望に沿ったものを提供しているのだと思います。セットリストもSNSで事前に予習してきていますから。となるとライヴの魅力は、迫力のある音響に加え、舞台演出やダンスパフォーマンス、MCにあるのでしょう。大勢のファンとともに盛り上がることもその醍醐味です。

今年10月11日に山下達郎さんのライヴを観に行きました。御年70歳ではありますが、ハリのある強いヴォイスは3時間通して衰えを知らず、僕としては人生をともにした楽曲の数々を原曲キーそのままで再現してくれたことに感無量でした。バックには腕利きのミュージシャンが顔を揃え、ソロを含めて「CDにはない即興演奏」を聴かせてくれたことが何より楽しく、これだからライヴはいいんだと感じさせてくれました。

山下達郎さんのようなライヴは数少ないと感じています。ジャズ生演奏に至っては、原曲といかに違うアレンジや即興によるソロプレイで曲を聴かせるかが勝負どころなので、「完全再現」には程遠い。演奏する季節やその日の天気、来場したお客様の様子、メンバー同士の呼吸、演奏家本人の調子など毎回違う演奏を提供するシェフの「おまかせ料理」なわけです。

音楽の楽しみ方は人それぞれですが、ぜひとも「おまかせ料理」の楽しみも味わってもらいたいと思いますし、そうした演奏を提供するミュージシャンが今後も活躍できることを祈っています。