2023-10-25

Uncle John's Band / John Scofield, Vicente Archer & Bill Stewart

 

John Scofield(ジョン・スコフィールド)はアメリカのジャズギタリスト。Uncleってくらいで御年71歳。マイルス・デイヴィスの「Decoy」(1984年)で存在を知りました。このアルバムはバックにブランフォード・マルサリスSaxやダリル・ジョーンズB.といったスティングのバンドメンバーが参加していて、その研ぎ澄まされたサウンドたるやとてもカッコいいアルバムでした。

独特のギターサウンドとウネウネしてアウトしていく音使いが彼の特徴です。同世代で並び称されるパット・メセニーとの共演アルバム「I Can See Your House From Here」を聴くとふたりの個性の違いがよーくわかります。バラード「Message To My Friend」は中でも本当によく聴きましたが、ふたりの口調の違いに笑みがこぼれます。ジョンは以降も活動的でジャムバンド方面でファンキーな演奏も聴かせてくれてこちらも楽しいです。

2023年本作はヴィセンテ・アーチャーB.とビル・スチュワートDr.といった名うてのミュージシャンとのトリオ演奏で一聴は静かでシンプルな演奏だと思います。その分ジョンの多彩なタッチのギターサウンドや他楽器をじっくり高音質で楽しめます。1.Mr. Tambourine Man からしっかりアウトしていく彼独特のフレーズ満載です。3.TV Band でのジャムもなにやら楽しい。5.Budo あたりまでくるとこれは相当なジャズだなと感じます。のんびり聴くつもりが前のめりで聴いてしまいます。

2023-10-24

Wake Up! / John Legend & The Roots

 

The Roots(ザ・ルーツ)はアメリカのヒップホップグループ。ドラムスのクエストラヴを筆頭にギター、ベース、キーボードも生音のバンドにブラック・ソートのMCが乗っかるというのが特徴です。2010年の本作は、リードヴォーカルにJohn Legend(ジョン・レジェンド、アメリカのシンガー)を迎えて、R&Bとヒップホップの濃いところを抽出した名盤となっています。

ヒップホップの中でもこのザ・ルーツが大好きで1995年の「Do You Want More?!!!??!」から本作まで10作ほど買い続けて聴きました。理由はやはり生音バンドであるということ。僕がバンドをやっていたからだと思いますが、その場で演奏するグルーヴを強く感じます。特にクエストラヴのドラムスの音が好きです。有名なジョン・レジェンドのVo.も素晴らしいソウルでシャウトするとそりゃ盛り上がります。

そんな彼らの共演を冒頭1.Hard Times から飛ばしてきます。イントロからリズムに入るあたりは毎回鳥肌でこれぞブラックミュージック!と叫びたくなります。そしてこのアタックの強いギターのサウンド、痺れます。続く2.Compared to What のクエストラヴこそヒップホップドラマーとしての魅力を見せつけてくれます。4.Our Generation もこの共演ならではのかなり濃いサウンド。このあとも彼らの古き良きR&Bソウルへのリスペクトを感じる、ヒップホップファン以外でも楽しめる作品となっています。

2023-10-23

「サポートする人」を愛でる

 

やります」と言える人が稼ぐことができると話しましたが、それが言えない人だっています。「やります」と言う人だってたまには疲れて言えないときがある。失敗したらどうしよう、迷惑かけたくないと思うのも普通のことです。「やります」と言う人を遠くから見て「大変そう」と見て見ぬふりしてしまうのも仕方がない。誰だって安全で楽な位置にいたいものです。

そんな普通の人が稼ぐ方法もあります。ここはやはり勇気を出して「やります」と言っている人に声をかけることです。困っていることがないか聞いて、何か自分にできることがないか考えることだけでも立派なサポートです。自分はリーダーにはなれないけれど、ちょっとしたサポートならできる人はやがて稼ぐことができるでしょう。パンフレットをクリアファイルに入れる単純作業の輪に入るだけだっていいんです。

社長はそういう「サポートする人」をきちんと評価することです。口で褒めるだけでなく、評価制度に組み込むことが肝心です。どんな仕事も複数メンバーをアサインできるほど人手は潤沢ではないでしょう。個人個人が仕事を抱えていますから、つい「他人事」文化が育ってしまいます。「サポートする人」を愛でる文化を育てたいですね。

2023-10-20

out of noise / 坂本龍一

 

今年3月に亡くなってしまった坂本龍一。まだ信じられない思いです。YMO世代ですし音楽はもちろん彼らの言動や行動にも影響を受けてきました。特に坂本さんは社会的活動もメディアに出ていましたから目に触れることが多かった。NHKのスコラ音楽の学校や3.11震災直後の彼の行動からは音楽への深い愛情が感じられて共感していました。震災後にiTunesで彼のピアノソロをダウンロードして心を鎮めていたのを思い出します。

2009年の本作は、自分の中にある音楽を表現したものとして私的な作品であると感じます。曲調はミニマルでありながら一音一音とても丁寧に厳選されたサウンドとなっていて、この作風は亡くなるまで続いたと思います。僕がフィールドレコーディングをするようになったのも坂本さんがiPhoneにマイクを挿して街を歩いていた映像を見てからで、音を集める行為自体に興味を覚えたのでした。

震災後によく聴いた曲となりますが、1.hibari のようにミニマルで音が少しずつずれていくような感覚が面白い。5.tama の高周波な音はちゃんとした再生装置で聴くとよりリアルに感じます。6.nostalgia では和音を置いていくシンプルな曲なのにいろいろな風景が浮かんできます。北極圏まで行ってフィールドレコーディングしてきた音を入れた10.glacier を聴いていると長く続く“時”を静かに感じることができます。

2023-10-19

iPhoneとUSB-CでDAC接続してみた

 

スマホをiPhone8からiPhone15にしました。8でも問題なかったのですが、iOS最新をサポートしなくなったこととUSB-C端子になったことが15の導入理由です。で、外付けDACをつなげてみました。iPhone15(USB-C)→USB-C/USB-A変換プラグ→USBケーブル→DAC(KORG DS-DAC-10R)→ヘッドフォンという接続です。KORGのこのDACはバスパワー対応なので電源端子無しです。

あっけなく音が出ました。Apple Musicでハイレゾ音源を再生できるように設定して聴いてみました。サンプリング周波数がたとえばロスレス44.1kHzのときはインジケーターが緑色、ハイレゾ96kHzのときは紫色、写真のようにハイレゾ192kHzのときは白色と出力を判定して受けていることがわかりました。ちなみにドルビーアトモスを自動(オン)にしていると対応音源では音が出ません。オフすれば音は出ます。

ちなみにMacとDACを接続してもこのサンプリング周波数の色は「Audio MIDI設定」で設定した値の固定となり、音源のサンプリング周波数毎に色は変わりません。変わってほしいんですけど...。なぜiPhoneとMacで違うのか。

だからどうしたという些細な話でした。いまは小さなDACがたくさん出ているのでUSB-Cが挿さるようになったiPhoneとつなぎやすくなった(変換プラグとかケーブルは配慮要)と思います。

写真の音源は高音質有名盤のスティーリー・ダン「Aja」で2023年のクレジットがあります。おそらく最近出た「EQ処理のない新リマスター」と思われます。「24ビット/192kHz ALAC」です。所有しているCDたちと聴き比べましたが、すっきりした音でこちらのほうが楽器の輪郭がはっきりつかめて、楽曲に入り込めました。

2023-10-18

Dara Starr Tucker / Dara Tucker

 

Dara Tucker(ダラ・タッカー)はアメリカのシンガー・ソングライター。2009年の1stアルバムから2023年本作は5作目。ジャズギタリストのピーター・バーンスタインやチャーリー・ハンターなどと共演していたりしてベテランと言えます。幼少期のほとんどを家族と一緒に歌いながら国中を旅したという彼女は、フリーランスのドキュメンタリー映画製作者でもあるそうです。

彼女の声に惹かれたのは、ゴスペルをベースにした深い歌唱と高くも低くもない耳に心地よい歌声だからです。幼い頃から歌いこんでいるからこその父や母、スティーヴィー・ワンダーなどから音楽的影響を受けたというのも頷けます。このアルバムではバックのミュージシャンは控えめに、彼女の歌声を引き立たせて、気持ちのよいサウンドを聴かせてくれます。

僕が好きなグレゴリー・ポーターのオープニングアクトを務めたとありますが、アルバム全般から彼のアルバムに感じたものと同様の印象があります。心地よいリムショットを刻む1.Scars から軽いテンポの気持ちよい歌声が響きます。7.September Song でピアノをバックにフリーに歌う姿はジャズシンガーとしての力量を感じます。続く8.Standing On The Moon はちょっと難しい3拍子ですが、懐の深い歌いっぷりが聴けます。


2023-10-17

Where the Light Is: Live In Los Angeles / John Mayer

 

John Mayer(ジョン・メイヤー)はアメリカのギタリスト、シンガー・ソングライター。僕がちゃんと知ったのはエリック・クラプトン主催のクロスロード・ギター・フェスティバルの映像を観たときで、ストラトキャスター1本で大観衆を魅了していて感動しました。ブルースを基調にソウルフルでロックでポップな曲が魅力ですが、僕としてはスティーヴィー・レイ・ヴォーンに影響を受けていることも好きな理由のひとつです。

2008年の本作は2枚組ライヴです。Blu-rayも入手して何度も観ています。ギターを弾く者にとって、彼がストラトキャスターやアコギの音の魅力をすべて引き出して聴かせてくれていることに喜びを感じるはずです。1枚目はG、B、Drのトリオ編成で2枚目は他のGやKeyや管楽器が入ったバンド編成で22曲のボリュームですが、長さを感じるどころか、曲がいいのでずっと浸ってしまう作品です。

デビューアルバムから1.Neon でのアコギがいきなり最高。あまりにカッコいい。ストラトになってジミヘンの7.Wait Until Tomorrow の重めのカッティングがこれまたカッコいい。8.Who Did You Think I Was でのスティーヴィーぶりといい、ストラトの好きな音を出してくれている。同じくジミヘンのバラード13.Bold As Love でのプレイも見事。圧巻は2枚目の6.Gravity です。僕にとってのバラードNo.1ソングなんじゃないかと。何回聴いたことか。やっぱりこのライヴは傑作です。