2023-10-16

理想の職場とは

 

理想の職場ってどんなところなんでしょう。きれいなオフィスで、仕事に余裕があって、社員が和気あいあいで、給料もそこそこ良くて、残業はなくて、長期休暇もとりやすくて。今どきであればオンラインでミーティングしている社員や取引先がいて、オンオフともに充実感がある、って感じでしょうか。

僕が経験してきた中で「良い職場」として印象に残っているのは、そこにいるメンバーが次々に「それじゃ私は、◯◯をやります」を連発していたシーンです。リーダーが「私は◯◯をやるんだけど、みんなもお願いできるかな」と言うと、ほかのメンバーがそれぞれ担当分野でできることを主体的に探して「やります」宣言していました。不安な点やわからないことがあるとすぐに聞けるオープンな雰囲気、困っている人を感じたら声をかける分かち合いの雰囲気もあって、リーダーのためではなく目的(お客様だったり、価値だったり)にベクトルが向いている状態でした。

まぁいつもいつもそんな状態であるわけではないですが、そんな瞬間をつくれる職場ということです。きっとこの「やります」状態があってこそ、徐々に冒頭の職場環境は実現していくものではないかと思っています。誰かが用意してくれるのではなく、メンバーがつくりあげていくものだということです。

2023-10-13

The Traveler / Kenny Barron

 

Kenny Barron(ケニー・バロン)はアメリカのジャズピアニスト。スタン・ゲッツを始め数多くのミュージシャンとの名演を残す大ベテランです。2008年本作にも参加しているベースの北川潔さんリーダー作での共演もよく聴きました。本作にはグレッチェン・パーラトやリオーネル・ルエケも参加しているほか、スティーヴ・ウィルソンのソプラノサックスが耳に心地よいです。

本作とブランフォード・マルサリスのEternalは、僕にとっての癒やしのアルバムで、仕事を終えた後の夜や、お風呂タイムのお供として本当によくかけていました。ケニー・バロンのピアノはけして弾きすぎることはなく、そしてフレーズは多彩でつい耳が追いかけてしまう。飽きることがなく、次に聴いたときにはああこんなの弾いていたのかと発見もある、そんな演奏です。

さぁてゆっくりするか、とプレイボタンを押して1.The Traveler に身を委ねます。続く2.Clouds があまりに心地よくて寝落ちしそうになりますが、3.Speed Trap での北川さんの速くてアタッキーなベースに驚きながら体をほぐしてもらいます。再び4.Um Beijo のグラディ・テイトのダンディな歌声でリラックス。といったナイト・ルーティンを何回繰り返したことでしょう。


2023-10-12

シネマ・コンサート体験

 

今年9月30日に東京国際フォーラム ホールAでの「スター・ウォーズ シネマ・コンサート」を観に行きました。1977年公開のエピソード4を“映画のセリフや効果音はそのままに、映画全編上映に合わせて音楽パートをフル・オーケストラが生演奏でお届けする”というもので、原田慶太楼さん指揮による東京フィルハーモニー交響楽団が演奏。ファンにはたまらない音楽イベントとなりました。

20世紀フォックスのファンファーレで始まったときには場内大喝采。ディズニーに買収されてから聴けなくなってしまったテーマですもの。そしてあのスター・ウォーズのテーマ。おぉ生演奏で聴くとさすがにスゴい迫力。メインキャラクターが出てくるとそこでまた拍手喝采。繰り返し観た映画なのでほとんどのシーンを覚えている人ばかりなのでしょう、セリフにもいちいち反応したりして。生演奏も映画にタイミングをぴったり合わせて違和感皆無。満席5千人くらいで楽しむ映画&生演奏鑑賞でした。

高校生のとき、フィルム・コンサートというライヴヴィデオをホールの大スクリーンで流しながら爆音で音楽を観るイベントに行きました。海外のハードロック・アーティストで来日はしない代わりにヴィデオで観ようと、大勢で観て盛り上がろうという企画でした。音楽好き仲間と観れて楽しかった記憶があります。シネコンなどの映画スクリーンで今でも実現できるのでは。探してみよっと。

2023-10-11

The Drop / Jeff Lorber Fusion

 

Jeff Lorber(ジェフ・ローバー)はアメリカのミュージシャンでキーボーディスト。バンドのJeff Lorber Fusion名義での2023年新作。元祖フュージョンなイエロージャケッツのジミー・ハスリップ(B)やベテランドラマー、ゲイリー・ノヴァクが参加して、これぞ“フュージョン”なサウンドを聴かせてくれています。

フュージョンやスムースジャズというとなんかBGM的というか、ただ心地よいだけといった印象でつまらないという人もいますが、僕自身は80年代にカシオペアやザ・スクエアを始め日本のフュージョングループをよく聴いていたこともあり、「その心地よさがいいんだよ」と思います。今作もファンキーで気持ちいいリズムとキレのある高音質サウンドで、聴いていて楽しくなる作品です。

タイトル曲1.The Drop からファンキーで楽しいサウンド全開。4.On the Bus の流れるようなリズムに後半のギターソロがむちゃカッコいい。7.Keep on Moving もファンキーなリズムで思わず体が動きます。ラストの10.Tail Light なんかまさに気持ちいいサウンドでザ・フュージョン。全曲にわたってゲイリー・ノヴァクのドラムスの気持ちよさが光っています。


2023-10-10

In My Element / Robert Glasper

 

Robert Glasper(ロバート・グラスパー)はアメリカのジャズピアニストで音楽プロデューサー。2000年以降のジャズシーンにおいて最重要人物と言っていいと思います。2007年本作をCDショップで手にしたときは、そのジャケットを見てヒップホップアーティストがジャズアルバムを出したのだと思いました。帰って聴いてみるとビックリ、本格的なジャズを何やら新しい感覚で演っているのでした。

聴くほどに新鮮なメロディーライン、ピアノタッチ。そして細かく高速ビートを刻むダミアン・リードのドラムス。言われてみればハービー・ハンコックの影響も感じる。でも新しい!と繰り返し聴いては、1stや2ndをネット注文し、彼が関わっている作品をiTunesでも購入したりしました。彼によってジャズシーンはまだまだ更新し続けているぞとワクワクさせられました。

1.G&B から本格的なジャズで只者ではないリズムと新鮮なメロディでこりゃスゴいぞと。3.F.T.B. はまるでソウルミュージックのようにピアノで歌いかけてきます。ハービーの7.Maiden Voyage / Everything In Its Right Place では見事にグラスパーの世界観にのみ込まれていきます。8.J Dillalude はビートメイカー、J・ディラに捧ぐ曲でサンプリングからインスパイアされて生演奏する彼ならではの作品だと思います。


2023-10-06

ON / BOOM BOOM SATELLITES

 

BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)は中野雅之(B、プログラミング)と川島道行(Vo、G)のロックユニット。僕はフジロックで観てファンになりました。シンセサウンドはプログラミングされたものですがギター、ベース、ドラムスは生演奏。特に叩きまくりのドラムスは衝撃的でむちゃくちゃカッコよかった。2016年に川島さんが亡くなってしまったのが残念でなりません。

本作は2006年5thアルバム。彼らのサウンドは一貫していて、未来的でブリブリで大好きなアナログシンセの音とそこに乗るヴォーカルのエコーが気持ちいいこと。唯一無二で世界に通用するサウンドを有していたし、ライヴでこそ彼らの本領を発揮していたと思います。当時彼らほどカッコいいバンドが日本にあったでしょうか。

ライヴで盛り上がるというのは1.Kick It Out を聴けばわかるでしょう。ダンスミュージックにしてこれぞロックなサウンドです。テレビなどでタイアップされた曲で聴いた人も多いはず。オススメは2.9 Doors Empire 、8.Generator 、11.Nothing といった疾走感のある曲。全編にわたってドラムスが激しく叩きまくっていて最高です。

2023-10-05

本物の音楽とは

 

本物の音楽って何でしょう?これも人によって違うと思いますが、僕としてはまず「プロ」によって作られたor演奏された楽曲であること、としておきます。技術的にはアマチュアだってかなりの人はいますし、プロにだって「これ何?」と思うこともしばしば。ただ音楽を作ったり演奏したりすることで生計を立てていくというのは相当な時間と努力の結果であると思っています。

音楽を聴くうえで「これはプロの仕事だな」と感じるのはどんなときか。それは音楽という感情表現にパワーを感じるときかもしれません。強い音、微小な音、音色、声色に幅や深みがあって、そのミュージシャンがそれまで磨いてきた表現力をその一音に込めていると感じます。こればかりは数値や言葉で定義できるものではなく、僕の心や体がそう感じているとしか言いようがない。さらにそこで感じたことは時が経っても継続していて何度聴いても「やっぱりいい」となります。

僕の場合、音楽仕事や聴いてきた曲数といった経験も確かに影響していると思います。しかし10代の娘の反応をみていると一概にそうとも言えない気がします。娘はApple Musicでプレイリストを作って音楽をよく聴いていますが、結局飽きずに聴いているのはマイケル・ジャクソンの曲だそうです。おそらく当時最高峰のプロダクションで作られた彼の作品は、聴き手の経験の量に関わらず、本物の音楽として人の心に響き続けるパワーを持っているんだと思います。