2023-10-11

The Drop / Jeff Lorber Fusion

 

Jeff Lorber(ジェフ・ローバー)はアメリカのミュージシャンでキーボーディスト。バンドのJeff Lorber Fusion名義での2023年新作。元祖フュージョンなイエロージャケッツのジミー・ハスリップ(B)やベテランドラマー、ゲイリー・ノヴァクが参加して、これぞ“フュージョン”なサウンドを聴かせてくれています。

フュージョンやスムースジャズというとなんかBGM的というか、ただ心地よいだけといった印象でつまらないという人もいますが、僕自身は80年代にカシオペアやザ・スクエアを始め日本のフュージョングループをよく聴いていたこともあり、「その心地よさがいいんだよ」と思います。今作もファンキーで気持ちいいリズムとキレのある高音質サウンドで、聴いていて楽しくなる作品です。

タイトル曲1.The Drop からファンキーで楽しいサウンド全開。4.On the Bus の流れるようなリズムに後半のギターソロがむちゃカッコいい。7.Keep on Moving もファンキーなリズムで思わず体が動きます。ラストの10.Tail Light なんかまさに気持ちいいサウンドでザ・フュージョン。全曲にわたってゲイリー・ノヴァクのドラムスの気持ちよさが光っています。


2023-10-10

In My Element / Robert Glasper

 

Robert Glasper(ロバート・グラスパー)はアメリカのジャズピアニストで音楽プロデューサー。2000年以降のジャズシーンにおいて最重要人物と言っていいと思います。2007年本作をCDショップで手にしたときは、そのジャケットを見てヒップホップアーティストがジャズアルバムを出したのだと思いました。帰って聴いてみるとビックリ、本格的なジャズを何やら新しい感覚で演っているのでした。

聴くほどに新鮮なメロディーライン、ピアノタッチ。そして細かく高速ビートを刻むダミアン・リードのドラムス。言われてみればハービー・ハンコックの影響も感じる。でも新しい!と繰り返し聴いては、1stや2ndをネット注文し、彼が関わっている作品をiTunesでも購入したりしました。彼によってジャズシーンはまだまだ更新し続けているぞとワクワクさせられました。

1.G&B から本格的なジャズで只者ではないリズムと新鮮なメロディでこりゃスゴいぞと。3.F.T.B. はまるでソウルミュージックのようにピアノで歌いかけてきます。ハービーの7.Maiden Voyage / Everything In Its Right Place では見事にグラスパーの世界観にのみ込まれていきます。8.J Dillalude はビートメイカー、J・ディラに捧ぐ曲でサンプリングからインスパイアされて生演奏する彼ならではの作品だと思います。


2023-10-06

ON / BOOM BOOM SATELLITES

 

BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)は中野雅之(B、プログラミング)と川島道行(Vo、G)のロックユニット。僕はフジロックで観てファンになりました。シンセサウンドはプログラミングされたものですがギター、ベース、ドラムスは生演奏。特に叩きまくりのドラムスは衝撃的でむちゃくちゃカッコよかった。2016年に川島さんが亡くなってしまったのが残念でなりません。

本作は2006年5thアルバム。彼らのサウンドは一貫していて、未来的でブリブリで大好きなアナログシンセの音とそこに乗るヴォーカルのエコーが気持ちいいこと。唯一無二で世界に通用するサウンドを有していたし、ライヴでこそ彼らの本領を発揮していたと思います。当時彼らほどカッコいいバンドが日本にあったでしょうか。

ライヴで盛り上がるというのは1.Kick It Out を聴けばわかるでしょう。ダンスミュージックにしてこれぞロックなサウンドです。テレビなどでタイアップされた曲で聴いた人も多いはず。オススメは2.9 Doors Empire 、8.Generator 、11.Nothing といった疾走感のある曲。全編にわたってドラムスが激しく叩きまくっていて最高です。

2023-10-05

本物の音楽とは

 

本物の音楽って何でしょう?これも人によって違うと思いますが、僕としてはまず「プロ」によって作られたor演奏された楽曲であること、としておきます。技術的にはアマチュアだってかなりの人はいますし、プロにだって「これ何?」と思うこともしばしば。ただ音楽を作ったり演奏したりすることで生計を立てていくというのは相当な時間と努力の結果であると思っています。

音楽を聴くうえで「これはプロの仕事だな」と感じるのはどんなときか。それは音楽という感情表現にパワーを感じるときかもしれません。強い音、微小な音、音色、声色に幅や深みがあって、そのミュージシャンがそれまで磨いてきた表現力をその一音に込めていると感じます。こればかりは数値や言葉で定義できるものではなく、僕の心や体がそう感じているとしか言いようがない。さらにそこで感じたことは時が経っても継続していて何度聴いても「やっぱりいい」となります。

僕の場合、音楽仕事や聴いてきた曲数といった経験も確かに影響していると思います。しかし10代の娘の反応をみていると一概にそうとも言えない気がします。娘はApple Musicでプレイリストを作って音楽をよく聴いていますが、結局飽きずに聴いているのはマイケル・ジャクソンの曲だそうです。おそらく当時最高峰のプロダクションで作られた彼の作品は、聴き手の経験の量に関わらず、本物の音楽として人の心に響き続けるパワーを持っているんだと思います。

2023-10-04

where are we / Joshua Redman

 

Joshua Redman(ジョシュア・レッドマン)はアメリカのサックス奏者で作曲家です。若くしてすでに風格のある1993年作「Wish」はパット・メセニーが参加していることもあってCDで聴きました。Dr.のエリック・ハーランドらと組んだJames Farmの「City Folk」での彼もオーソドックスでありながら味わいのある佇まいが好きでよく聴きました。

今回はブルーノートからのデビュー作とのことで、ガブリエル・カヴァッサという女性ヴォーカルを迎えて、P.アーロン・パークス、B.ジョー・サンダース、Dr.ブライアン・ブレイドという鉄壁の布陣で作り上げた作品です。このメンバーらしく叙情的でゆったり聴き入る曲が揃っていて、温かいコーヒーでも飲みながらリラックスしてアメリカ各地を巡ります。

カート・ローゼンウィンケルのギターから始まる2.Streets Of Philadelphia はブルース・スプリングスティーンのナンバーでアメリカへの愛を感じるような曲。続く3.Chicago Blues は不思議なコード進行とブルースを混ぜていかにもジョシュアらしい曲。面白いイントロの7.Manhattan ではギターとサックスの掛け合いが楽しい曲です。


2023-10-03

Doomsday Machine / Arch Enemy

 

スウェーデンのメタルバンドArch Enemy(アーチ・エネミー)の2005年6thアルバム。デスメタルはイヤーエイク・レコード関連の超スピードメタルを耳にしたときに知っていましたが、聴き続けるほどではなかったのです。しかしこのバンドのサウンドと女性デス・ヴォイスというギャップによって大いに盛り上がり、フェスでライヴを体験するに至りました。

アンジェラ・ゴソウのVo.と勇姿がとてもカッコいいわけですが、僕にとってはマイケル・アモットのギターが刺さりました。この超ハード&ヘヴィな曲に、あのマイケル・シェンカーへのリスペクトを隠さずに繰り広げるメロディアスなフレーズが“泣ける”のです。このアルバムでは弟のクリストファー・アモットの超速弾きとの対比が素晴らしく、メタルおじさんのハートをワシづかみにしたのでした。

アンセム曲の1.Enter The Machine でこの後のメタル大会を予感させます。来ました2.Taking Back My Soul の最初のマイケル・アモットのワウギターからしてシェンカーなんです。超速3.Nemesis での高速ツーバスに痺れたあとのメロディアスライン。これぞメタルですわ。重い&ヘヴィな4.My Apocalypse の筋肉質なリズムはもはや気持ちいいくらい。ここらでおじさんは息切れしますが、空間の拡がりや沈み込む重低音が効いていて音質的にもオススメですよと言い残します。


2023-10-02

選択とは「覚悟」すること

 

社長になる以前の問題として、生活していくには稼がなければならない。稼ぐためにはどうしたらいいか。答えはシンプル「私、やります」と言うことです。「◯◯さん、コレやってくれないか」と言われ仕事の受け身だろうと、「これをなんとかしなくちゃ」と自分発の仕事だろうと「やります」と言うことがやがて「稼ぎ」につながります。

僕も初めて社長になったとき、当時の株主から「社長はキミにやってもらいたい」と言われて「やります」と答えたところから始まったわけです。もちろん経験はゼロだし、スキルもないし、頼りない。周囲のメンバーからの支持もない。あったのは「覚悟」のみ。誰だって最初は初心者なんだと自分に言い聞かせて、船出をしたのでした。

引き受けた理由はもう一つ。音楽に関わる仕事だったのです。つまり「やりたい仕事」だった。やりたくないものを「やります」と言うのはツラい。とある目的のためにやらなきゃいけないときに「やります」と言うことはあるけれど、やりたくないものはやらないほうがいい。なぜなら「覚悟」をもてないから。自分が選択した道はこれからいろんな困難があるだろう。それでも前に進んでいくんだと腹を決めるのが「覚悟」です。