2025-04-25

ピンク・フロイドをIMAXしてきました

 

ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』をTOHOシネマズ日比谷で観てきました。1971年10月イタリアのポンペイ遺跡での無観客ライヴ・パフォーマンスを収録したもので、1972年に映画公開。今回この映像を4Kデジタルリマスターし、さらにレーザー投影&12chサウンドのIMAXシアターで堪能してきました。


向かって左側の席だったので、眼の前にデヴィッド・ギルモアのギターが定位してなんとも嬉しい感じ。そしてギルモアさん若い!途中「狂気」のレコーディング舞台裏シーンも織り込まれたたりして、ちょっと和みました。

それにしても高精細な画質と音質に驚きました。50年以上前の素材が良かったのか、デジタル技術のすごさでしょうか。ギルモアのストラトやスライド・ギター、ロジャー・ウォーターズのブリッジ付近でのピッキングベース、タム多用&ツーバスのニック・メイスン、リチャード・ライトのオルガン、どれもがくっきりはっきり観れて、これぞ映画ライヴ鑑賞の醍醐味でした。

僕よりもさらに年上のファンが大勢観に来ていました。場内がピンク・フロイドのサウンドに没入した空気で満たされていました。帰宅したら「The Dark Side of the Moon(狂気)」をアルバム通しで浸ることに決めて映画館を出ましたとさ。

2025-04-18

Ones & Twos / Gerald Clayton

 

Gerald Clayton(ジェラルド・クレイトン)はアメリカのジャズピアニスト&作曲家です。このところブルーノートばかりですが、彼も最近では「Out Of/Into」のオールスターズで本作参加のジョエル・ロスVib、ケンドリック・スコットDsと共演していました。ほかにエレナ・ピンダーヒューズFl、マーキス・ヒルTp、ポストプロダクションにカッサ・オーバーオールを迎えた2025年新作です。

アルバムジャケットではレコードプレイヤーのトーンアームが2本伸びて、DJターンテーブル2台を想起させています。彼が聴いてきたヒップホップやソウルもじわっと感じますが、アルバム全体的には実験的でジャンルを超えたサウンドをじっくり聴かせる作品です。“2つの別々のメロディが調和して共存することは本当に可能なのか”という「共存」をテーマにした作品とのことで、ジャズが持つ時代性やミクスチャーを巧みに表現しているように思います。

フルートとヴィブラフォンが併走する1.Angels Speak を辿っていくうちに彼の世界に惹き込まれていきます。3.Sacrifice Culture を聴けば上記のニュアンスを感じることができるかと思います。たとえば10.More Always ではマーチングなドラムにやがて合唱が重なっていき不思議な高揚感を得たり。一本筋の通ったサウンドコンセプトがありながら、実に多彩な印象を感じるプログレッシブな作品であると感じました。

2025-04-11

iPhoneをLDAC対応にする“BT11”

 

ワイヤレスイヤフォンのMotherAudio MET1は家でのコードレスなリスニングに活躍しています。このイヤフォンはLDACという高音質化に対応しているので、実は同時期にLDAC方式で送信可能なBluetoothトランスミッターFIIO BT11を購入していました。iPhone単体ではLDAC非対応なので、このドングル(小型デバイス)をUSB-C端子にカチャッと付けることで対応できるようになります。

iPhoneの下に付いているのがFIIO BT11(白色で光っている)

ちなみにLDAC(エルダック)とは、Bluetoothワイヤレス接続でなるべく大量(いままでの最大3倍)の信号伝送を可能にした音声圧縮技術です。通常ハイレゾ音源などを聴くにはイヤフォンやヘッドフォンを“有線”接続して聴くしかないわけですが、それをなんとかワイヤレスで可能な限り高音質にしようとした技術(ソニーが開発)です。

音の精細さは24bit/96kHzまで対応していて、ビットレート(伝送容量)は、音質優先の990kbpsモードや接続安定性を重視した330kbpsモード、その中間くらいの660bpsモード(僕はコレ)を使い分けるようになっています。

実はLDACは電波干渉に弱くて、再生中にプチッて切れたりします。特に音質優先にしているとその影響を受けやすい。さらに動画と一緒に聴いたりすると音声が遅延してこりゃ使えない。というデメリットもあります。

で、音質ですが、音がくっきりはっきりします。MET1はただでさえ音が明瞭で、贅肉がなく、なのにメリハリがあって好きな音なのですが、BT11を介して聴くとさらに高域が拡がってより精細になり、全体的に引き締まり、まさに情報量が増えたように感じます。

というわけで、電波干渉の少ない家の中ではiPhone+BT11+MET1でワイヤレス高音質を楽しんでいます。もちろんじっくり聴くときはスピーカーや有線ヘッドフォンですが。ちなみにBT11はMacのUSB-C端子に接続しても使えます。

細かなことですが、今年に入ってからこのBT11のファームウェア更新が遅れたりしていました。やっと先日正式にアップデートされて、本来の機能が使えるようになり、動作も以前より安定しました。接続アプリやペアリングがうまくいかなかったりして手こずりましたが、今はなんとかなっています。

2025-04-04

Belonging / Branford Marsalis Quartet

 

Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)こそ僕が40年間聴いてきたアメリカのサックス奏者。ジョーイ・カルデラッツォP、エリック・レヴィスB、ジャスティン・フォークナーDsとのカルテット編成も歴史が長くなりました。2019年以来の2025年本作は、キース・ジャレットの作品にまるまる取り組んでいます。レーベルはECMではなく、ブルーノートから。

よく聴いたのは88年作「Random Abstract」やバラード集04年作「Eternal」です。スティングのビデオでの歯に衣着せぬ物言いややんちゃな少年の笑顔が印象的で、それは今でも変わっていないように思います。マルサリス兄弟では、ウイントンのほうがスマートで、ブランフォードが弟かと思っていましたが、長男でした。やんちゃな彼もバラードでは感情表現豊かに、ドラマチックに歌い上げて“お兄ちゃんスゴイ”ってなります。

そんな大人なバラードは、タイトル曲4.Belonging です。キースのリリシズムをカルテット全体から受け取ることができます。亡き友ケニー・カークランドから知ったというキースの演奏を、50年の時を経ていまこの曲に込めているかのようです。戻って3.‘Long As You Know You’re Living Yours のちょっとレイドバックした明るい曲調がまたブランフォードの得意技で、親しみのもてる演奏です。5.The Windup ではジャスティンのドラムスが光るちょっとラテンなリズムの曲でこのカルテットの力量を表現しています。もうカルテットは演らないのかなと思ったりしただけにうれしい新作でした。