2024-05-07

いい音紹介〜ボブ・マーリー

 

グッとくる「いい音」の音源は、聴いていて気持ち良いだけでなく、スピーカーなどオーディオが自分にとっていい音で鳴ってくれているかどうかを確認する、いわゆるオーディオチェックにもなります。そしてもっといい音で鳴らしたいとも思ったりします。

今回紹介するのは、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの1973年メジャー1stの「Catch A Fire」の“ORIGINAL JAMAICAN VERSIONS”です。このJamaican Versionであることが大事です。ずっと聴いてきたいろいろ楽器やエフェクトが加えられた英国ヴァージョンではなく、まさにオリジナルレコーディングの音源が随分前に発表されたのです。僕はCDで聴いていますが、サブスクにもあったので↓に。いつもより大きめの音で再生してみてください。

あまりにも生々しい録音に驚いたものです。もともといい音なので、どんなスピーカーでもそれなりに力強く鳴ってくれると思いますが、問題は気持ちよく鳴ってくれるかどうかです。

特にこのぶっ太いベース。直球でお腹に響きます。膨らみすぎてほかの楽器や声がちゃんと浮かび上がってこないのも困ります。ボブの声はいい具合にエコーが効いています。分離のいいサウンドやバンド全体のグルーヴが目の前に存在していれば、からだが自然と動くと思います。

ディスク2では英国ヴァージョンも聴けるので比べても面白い音源となっています。残念ながらこのアルバムのベーシスト、アストン・バレットは今年2024年2月に亡くなってしまいました。そして5月17日にはボブ・マーリーの映画も公開されるそうです。

2024-05-03

Every Now And Then / Cory Weeds meets Champian Fulton

 

Cory Weeds(コリー・ウィーズ)はカナダのジャズサックス奏者。ジャズクラブのオーナーであったり、レーベルも所有してリリースしていたというベテランです。Champian Fulton(チャンピアン・フルトン)はアメリカのジャズシンガー&ピアニスト。ニューヨークで活躍しています。2024年本作は昨年のスタジオライヴ録音とのこと。

サックスとピアノのデュオということで、ドラムスやベースはいません。サックスは和音演奏しないのでピアノソロのときはほとんど独奏になります。デュオといえばビル・エヴァンスとジム・ホールの「Undercurrent」が有名で僕も好きな作品です。静かな中にも楽器そのものの音色をじっくり味わうことができて、二人が会話しているようで、密度が濃い演奏に惹き込まれます。

このアルバムではさらにチャンピアンのヴォーカルも楽しむことができて、これがとてもいい感じで、3.Too Marvelous For Words や4.Linger In My Arms a Little Longer Baby ではニューヨークのジャズクラブで一杯やりながら、なんて雰囲気を味わってみてはと。7.That's Not Your Donut はサックスのスイング感も味わえる素敵な曲です。リズム楽器がなくてもデュオでこれだけスイングできるってやっぱりジャズミュージシャンはすごいです。

2024-04-30

スピーカースタンドにスパイク付けた

 

ずぅーっとサボっておりました。スピーカースタンドのスパイクを付けるのを。買ったときから付属品であったのに、いつかやればいいやとナント2年も放っておきました。

スパイク付けなくても充分いい音だし、内向き角度とか動かしやすいし、もしかして付けないほうが低音の量感があって迫力あるんじゃないかと、自分を納得させておりました。

付属のスパイク付けたところ

さて聴いてみたら、やっぱり低域の量感減っちゃったよと思いました。ところが数分聴いているうちに、井上陽介さんのベースがはっきり見えるようではないか。低域がすっきりしただけでなく、ほかの楽器の音も前に出てきた気がする。よく聴くと低域の沈み込みも感じるようになりました。

スパイクの分、スピーカーの高さが増して、視聴位置での耳の高さに合うようになったのもよかったのかもしれません。面倒がらずになんでもやってみるもんですね。

2024-04-26

ONE STEP BEYOND / 井上陽介Trio

 

井上陽介さんは日本のジャズベーシスト。六本木のジャズクラブでは渡辺香津美さんG(復活祈願!)、則竹裕之さんDrとのトリオで数回ご出演いただきました。100席満員の観客は、飲食を忘れて没頭せざるを得ないほどの凄まじい演奏で毎度痺れさせていただきました。僕はリハからずっと拝聴することができて幸せな時間の思い出となっています。

2024年本作はオーディオ誌STEREO(202402号)に掲載されていて知りました。井上陽介さんのインタビューもあります。南青山から渋谷に移転されたジャズクラブ“BODY&SOUL”での昨年のライヴ録音とのことで、国立音大の生徒であった武本和大さんP、濱田省吾さんDrの若手とのトリオ3作目。24bit/48Hzでの録音も素晴らしく、会場の熱気とともに高音質で聴くことができます。陽介さんのベース音をしっかり鳴らすことができるかお試しください。

STEREO(202402号)P.28〜

香津美さんとのトリオ同様凄まじい演奏を聴けるのがタイトル曲4.ONE STEP BEYOND 。眼の前で陽介さんのベースをあっけにとられて聴いていた自分を思い出しました。3.COLORFUL WIND の武本さんの美しいピアノも聴きどころです。ビートルズナンバー2.DAY TRIPPER 、5.BLACKBIRD のように幅広い音楽好きもウェルカムで楽しめるのが日本のジャズクラブスタイルだと思っています。

2024-04-23

ラジオ生活

 

ラジオをタイムフリー/聴き逃しで聴くのはすっかり習慣になりました。座ってパソコンしているときはスマホからAirPlayで飛ばしてスピーカーから、動いているときはAirPodsを耳にして“適応型ノイズコントロール”にして家族の会話も耳に入るようにしています。外出時もラジオがしっかり聴けるのはバッファのせいでしょうか。地下鉄でもノイキャンにしてシームレスに聴けます。

大友良英さんの「ジャズ・トゥナイト」やピーター・バラカンさんの「Barakan Beat」「ウィークエンドサンシャイン」は1時間40分〜2時間ある番組なので、途中までしか聴かないかなと思っていたのですが、テキトーにずっと聴いていられます。どころか「へぇーそうなんだ」がけっこうあって、曲リストから拡がるサブスク探検は楽しい。

毎週番組制作するのはほんとに大変だし根気のいる仕事だと思いますが、リスナーとしてはラジオのこのリラックス感がいいんです。耳だけ拝借しているのがいいんでしょう。番組に時間制限もあるので、この番組が終わったら次のことしよう、とか切り替えできます。ラジオ、がんばってほしいメディアです。

もうひとつ好きなのはNHK-FMの「音の風景」という5分番組。フィールドレコーディングなんですがイマジネーション拡がります。目を閉じてぼーっと5分休憩。

2024-04-19

Big George / One For All

 

大好きなSMOKE SESSIONS RECORDSからの紹介です。2024年本作はNYのジャズクラブSmallsで結成されたというスーパーグループのアルバムです。メンバーは、エリック・アレキサンダーTS、ジム・ロトンディTP、スティーヴ・デイヴィスTB、デイヴィッド・ヘイゼルタインP、ジョン・ウェバーB、ジョー・ファンスワースDrに伝説のジョージ・コールマンTSをスペシャルゲストとするいずれも大変な経歴をお持ちのオジサマ方。

まさに百戦錬磨の余裕の演奏が繰り広げられます。スタジオライヴとはいえ、ワイワイ会話を楽しんでいるかのような演奏光景が目に浮かびます。3管〜4管ですからハーモニーも厚くてゴージャス。ソロまわしも一筋縄ではいかないフレージングでおおーっと声をあげること多し。そしてSMOKEはやっぱり音がいい!今回も24bit/96kHzで生々しく聴かせてくれます。

オススメはやはり大御所ジョージ・コールマン参加の3曲。4.Oscar Winner 、5.My Foolish Heart 、6.This I Dig of You をお聴きいただきたく。ジョージを中心とした衛星たちとの共演とでも言いましょうか。89歳ですけど、サックス音にはあのマイルスとの共演が蘇ります。ちょっと世の中暗くて、流行り歌にも鬱っとした曲が多いように思いますが、そんなときはこうしたベテランのポジティブで包容力のある演奏を聴くのもいいのではないでしょうか。

2024-04-16

サウンドデザイナーの清川さん

 

サウンドデザイナーの“清川進也”さんという方がいます。一瞬「私?」と思ってしまう一字違い、どころか0.5文字違い!?。3月末に放送されたNHKの「音恵〜オンケイ〜」という番組で知りました。マイクとレコーダーを持って町中華とボクシングジムに潜入。音をハンティングし、映像とともに編集するという僕にとってはとても興味深い内容。

町中華の厨房での「美味しそうな音」の捕獲では、食材を切る音、叩く音、中華鍋で調理する音をゲット。リズミカルで特徴的な音。プロボクサーのパンチ音、息のリズム、フットワーク音などどれも生々しい緊張感のある音。それらを嬉しそうにマイクに収める清川さんの表情がなんとも楽しそうで、フィールドレコーディング好きとしては大いにニコニコしてしまいました。名前が似ているだけでなく趣味も似ているかもなんて。

ふだん意識することのない、どうってことのない音でも、ちょっと意識して捉えると「ああ、いい音だな」って感じることがあります。風がそよぐようなほぼ無音という背景に、鳥のきれいなさえずりがひとつの線を描くといった対比があったり、遠くに聞こえる雑踏や地鳴りに躍動感を感じたり。僕がたまにやっている「ちょっとフィールドレコーディング」では、サンプリングのような単品の音ではなくて、周囲の音を含めてひとつの風景を成しているような映像のような感覚を楽しんでいます。