2023-12-06

Continuance / Joey Alexander

 

Joey Alexander(ジョーイ・アレキサンダー)はインドネシアのジャズピアニスト。なんと2003年生まれで今年で二十歳!最初のアルバムは11歳のときに発表しています。ウイントン・マルサリスがYouTubeで観て「(ジョーイのことを)僕のヒーロー」とまで言わしめた天才ぶりです。このところ高齢者(失礼!)が多かったので本作を紹介できるのはうれしい。

彼の名前はたびたび目にしていたのにこんなに若いとは知りませんでした。演奏を聴けばその熟練ぶりにベテランなんだろうと。奥深いピアノタッチ、落ち着いたフレーズ選び、拡がるようなメロディ展開、年齢とか経験なんて関係ないんだなと思い知ります。ましてアメリカ出身ではなくバリ島出身というのもうれしいじゃないですか。世界にはまだどこかに天才がいるはずだと。

どうですか、2.Why Don’t We の繊細なタッチ。2023年本作がデビューして7作目ですもの、こんな卓越した曲を聴かせてくれます。トランペットのシオ・クローカーの演奏も素晴らしい。うれしいのはここ数ヶ月ヘヴィロテしているボニー・レイットの曲4.I Can’t Make You Love Me をカヴァーしてくれていること。ピアノのメロディを追っていくと優しい気持ちに包まれます。これからの季節にも合う6.Great Is Thy Faithfulness もオススメです。今後の活躍も注目のピアニストなので覚えておきましょう。

2023-12-05

Life Between The Notes / Bluey

 

イギリスのジャズ・ファンクユニット、インコグニートのリーダー、Bluey(ジャン・ポール・'ブルーイ'・モーニック)の2015年ソロ作。インコグニートが1979年結成ですから、40年以上も活躍しているアーティストです。ブルーノート東京など日本にもよく来日しているのでファンも多いと思います。ブリティッシュらしいジャズ&ソウル、時にフュージョンとして好んでよく聴きました。

このソロアルバムを聴いていた頃、ミュージックレストランをやっていたり、ジャズクラブも始めようとしていたりとすっかりハコ&飲食を仕事としていて、そのスペースで奏でられる音楽のイメージとしてこのアルバムのイメージを持っていました。都会の大人が集う場所にふさわしい音楽といった感じかなと。実際やってみるとそれどころではなかったりしますが...。

象徴的なテーマとなるのは2.Life Between The Notes です。ストリングス、印象的なベースライン、ミュートのギター、いかにもという曲ですが、やっぱりカッコいい。3.Hold On はアンダーグラウンドなハウスを想起させる、このアルバムで一番好きな曲。部屋でかけていて気持ちの良い6.I've Got A Weakness For Your Love 、8.Colombus Avenue もオススメです。他の曲も、あぁインコグニートだぁなサウンドですが、やっぱりいいんですよ。

2023-12-04

フルタイム雇用はしないかも

 

中小企業の社長としては、フルタイムでコミットして働いてほしいと思いますが、給料をアップできないので、働く側も1社だけでは家計を維持できないという人も出てくるでしょう。以前から副業OKという会社はありますが、月曜〜水曜はA社、木曜と金曜はB社なんて働き方もあるかもしれません。会社はアルバイトのようなシフト管理が必要というわけです。

フリーランスで働いている人の中にはすでにそうした働き方を選択している人もいるでしょう。多くのフリーランスは時間や場所にとらわれず、複数の企業と業務委託契約を交わして成果物を納品、対価の支払を受けて、確定申告しているのが普通です。先日もメルカリがスポットワーク事業に参入するというニュースが発表になっていましたが、ちょっとした空き時間を小遣い稼ぎに充てるなんていうことも当たり前になっているかもしれません。フリーランスが今よりもっと仕事を探しやすく、得やすい時代になっていくでしょう。

雇っているんだから忠誠心を、なんて考え方は通用しません。むしろ「他社の仕事」によって優先順位を下げられないよう、惹きつけるようなビジョンや仕事を用意してコミュニケーションしないと優秀なスタッフを確保できない時代になっています。報酬が少しくらい高くても仕事や人間関係が悪い会社に人は寄って来ないのです。

会社には社長とマネジャー1人または数人のみで、あとは全員フリーランスなんていう企業も成り立ちます。従来の人事評価や福利厚生、オフィスのあり方そして社会保障も見直していくことになります。

2023-12-01

Rising Son / 黒田卓也

 

2014年の本作で、日本人として初めてブルーノート・レコードと契約したジャズトランペッターの黒田卓也。ホセ・ジェイムズの「Blackmagic」に参加したことがきっかけで、ホセのプロデュースによって本作は制作されました。当時のブルーノートは、次々に新しい才能による新譜を発表していて勢いがありました。黒田さんは以降も日本のジャズのみならず音楽界で活躍しているのを目に耳にしています。

本作をダウンロードして聴いたとき「うわ!スゴいカッコいいサウンド」と思わず声をあげて、友人のジャズ好きに話をしたら彼も聴いていて盛り上がったのを覚えています。日本人ミュージシャンでこんなにカッコいいサウンドを作れる人がいるんだと興奮したものです。グラスパー全盛の時代であったものの、呼応するように日本人スピリットを感じるような乾いた音、鋭いリズムで強いオリジナリティのある作品です。

1.Rising Son はSunではなく、Sonですからホセの愛情なのかもしれません。レガートなベースラインと残響の少ない音がマッチしてクールな曲から始まります。アフロなリズムの2.Afro Blues も抑制の効いたトランペットがとにかくカッコいい。ロイ・エアーズのカヴァー5.Everybody Loves the Sunshine ではホセのヴォーカルが入ってソウルでグルーヴィな曲。8.Call のミュートトランペットとローズピアノが漂う感じも都会の風景にマッチして好きな曲です。

2023-11-30

「青盤」2023エディション

 

数年前に近所のオーディオショップで、ビートルズのレコードを爆音で聴くイベントがありました。その時のモノラル録音レコードの音が驚くべきスゴい音で忘れられません。ガツンとくる音なだけでなく、こんな音が入っていたのかとその情報量の多いこと。

僕にとってのビートルズはいわゆる「青盤」です。つまりファンというほどではない。親にカセットテープで買ってもらってそれをずっと聴いていました。曲順を変更できるわけもないので、曲が終わると次の曲のイントロを口ずさむといった具合です。CDで買い直して聴きましたが、そうだったな、くらいの感想でそれほどかけることもなく。しかしモノラル録音を聴いてから、ああせめてアンプにモノラルスイッチ(昔はついていた)があったなら、と思った次第です。

今月「青盤」「赤盤」の2023エディションが発表されました。ステレオミックスをやり直しています。CDのステレオがなんとも不自然な印象だったのが大幅に改善。改めて曲の素晴らしさに浸ることができるサウンドになっています。Apple Musicではドルビーアトモス版も味わうことができます。最後の新曲「Now and Then」も聴けます。でもあれっ、曲が多い、僕が知っているのは28曲なのに37曲も入っている、あれっ後半の曲順が、なんで?、となりました。せめて昔の曲順のうしろに追加してほしかったなぁ。

2023-11-29

Vol.1 / Chris Botti

 

Chris Botti(クリス・ボッティ)はアメリカのトランペット奏者。ブルーノート・レコードからの2023年ニューアルバムです。YouTubeでスティングやスティーヴン・タイラーとの共演を観てそのイケメンぶりは知っており、すでに60歳を超えていますがジャケットを見ると今なお健在(&貫禄)のようです。プロデュースはデヴィッド・フォスター。ドラムスにヴィニー・カリウタの名前もあります。

さらにバラード集となっているので人気作品になることは間違いないでしょう。今回は「自分とバンドのプレイ、そして自分が大好きな曲を演奏することにフォーカスした」とのことで、じっくりトランペットを聴かせています。たとえばマイルス・デイヴィスのトランペットバラードとは音色もアクセントも違うもんだなぁと思います。マイルスは孤独を深く感じますが、クリスのは優しさと包容感のような。というわけで夜に静かに楽しむアルバムとしてジャズファン以外にもオススメできると思います。

ここは敢えてマイルスが演じた曲をリコメンドしましょう。5.Blue In Green はマイルス好きなら聴かずとも思い出すことができるでしょう。音使いの違いがわかると思います。ピアノがちゃんとビル・エヴァンスしてくれて嬉しい。続く6.Someday My Prince Will Come はとても優しく響きます。8.My Funny Valentine はトランペットの音の美しさに呼応するかのようなヴァイオリンの艷やかな音色が印象的です。

2023-11-28

Liquid Spirit / Gregory Porter

 

Gregory Porter(グレゴリー・ポーター)はアメリカのシンガーソングライター。3rdアルバムである本作と次作「Take Me to the Alley」はベストジャズボーカルアルバム部門のグラミー賞を受賞しています。2013年は僕にとって豊作の年であり、その中で最も聴いたのはどれかと言えばこの作品になります。その深くて豊かなバリトンヴォイスに魅了され、YouTubeでその風貌をみて関心を持ち、1st&2ndもすぐに購入した次第です。

声質や歌い方も僕好みであったのですが、アルバム全般を通してとにかく楽曲がいい。そして音質が良い。何度も何度も聴きましたがまったく飽きることがなく、1曲1曲を味わって聴いていました。その音質の良さからスピーカーやヘッドフォンを試すときにも必ずかけていました。結局聴き入ってしまって、音質を評価できないのが難点でしたが。その後も何枚かリリースしていますが、気に入っているのはこの3rdアルバムです。

これまた全曲オススメのアルバムですが、聴かせるバラードをピックアップします。4.Water Under Bridges 、7.Wolfcry 、13.When Love Was King 、14.I Fall In Love Too Easily を聴いてみてください。バリトンヴォイスっていいなと思います。あまりに家でかけまくっていたこともありますが、幼い娘でさえ口ずさむほど印象的なメロディです。敢えて印象的な曲をひとつだけ、8.Free クセになるリズムとパンチのあるヴォーカル曲です。