2025-07-25

Flying? / 桑原あい

 

桑原あい(Ai Kuwabara)は日本のジャズピアニスト。スティーブ・ガッド&ウィル・リーとのトリオやディズニーのカヴァーで既に11枚のアルバムをリリースしています。数々のライヴやテーマ曲での演奏経験もありながら、昨年ロサンゼルスに拠点を移しチャレンジしていこうと。本作はそんな意気込みの感じられる2025年新作です。


穐吉敏子さんや渡辺貞夫さんが渡米した頃とは環境もずいぶんと変わったのかもしれませんが、それでも外国に渡って腕ひとつで勝負していくというのは、いくら経験があるからと言っても大変な心意気だと思います。ジャズミュージシャンたちは僕からすれば想像を超える腕利きばかりですから怯んではいられないでしょう。桑原さんが一番好きな音楽家はクインシー・ジョーンズとのことで、楽曲からビジョンの高さや大きさを感じて、これなら世界と渡り合えるなと思った次第です。

1.Flying? の演奏でスケールの大きさを感じます。サム・ウィルクスBとジーン・コイDsがまたシャープでいい音しています。2.This Love はあのマルーン5の曲ですよ。ジャズアレンジだとこうなるのかーと。ロサンゼルスの山火事に関する短いエピソードがグッときたオリジナル曲6.What hummingbirds teach us about flying も彼女らしいストーリーのある演奏に聴き入ります。ほかにもレッチリやマイケル・ジャクソンのカヴァーもあったりで、まるごと1枚楽しめる気持ちの良いアルバムになっています。

2025-07-18

note仲間オフ会からのボサノヴァ

 

先日、清澄白河のginger2(ジンジャードス)にてnote仲間のオフ会が開かれました。このお店に集まってくる只者ではない音楽好きの方々は、聞けば聞くほど濃くて深くてほんとうに驚きです。僕自身音楽に関わる仕事もずいぶんやってきて知識はあるはずですが、正直なところ甘かった。

今回はnote仲間の一人、パリから一時帰国されるムーンサイクルさんにDJしていただくという魅力的な特典付きオフ会となったのでした。いい具合にお腹もお酒もこなれてきたところで、ボサノヴァを楽しく聴きましょう〜と始まったのでした。

そこはnote仲間のnoterさんですからボサノヴァ名曲を流しておしまい、というわけはありません。アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・ヂ・モライスらのボサノヴァ生まれし頃の映像からはじまって、知らない映像が次から次へと。

その後もボサノヴァにつながるブラジル音楽やジャズへの展開、日本でのボサノヴァなどなどムーンサイクルさんならではの選曲と選映像で、深〜く楽しむことができました。そしてジンジャーに捧げるオリジナルソングもご披露(さすがです)。というわけでオフ会以降、家にあるボサノヴァCDをあれこれ。

家にあるCDをひっぱり出してきた。
AUDI-BOOK左から「ボサ・ノーヴァ物語・青春篇」「同・源流篇」「同・放浪篇」



2025-07-11

Shikiori / Sinne Eeg & Jacob Christoffersen

 

Sinne Eeg(シーネ・エイ)はデンマークのジャズヴォーカリスト&作曲家です。女性ジャズヴォーカルを聴く人であれば知っている人多しです。Jacob Christoffersen(ヤコブ・クリストファーセン)もデンマークのジャズピアニストで自身のトリオや経験豊富な伴奏で活躍しています。

2025年の新作は、福岡県の古民家「想帰庵(しきおり)」でのライヴパフォーマンスをおさめたデュオ作品となっています。僕自身、10年以上前にパン屋を開業した時期と重ねて農家さんや古民家をいろいろ訪ねて、その静かな佇まいに魅了されていました。そこに人の温もりがあってなんとも癒やされたものです。そんな空気感を思い起こすことができる素敵な作品に出会いました。

日本語で歌われる3.Soba Flower を聴くと、優しくて透明感のある歌とともに自然を愛する日本人との共通点を感じているのではと思います。アニー・レノックスのソロ作7.Cold ではハスキーでエモーショナルな歌いっぷり。ヤコブのピアノがロマンティックに響いてうっとりします。僕の大好きなジャズスタンダード9.But Not for Me ではスキャットもはさんでスイング&リラックス。場の親密さを感じました。今日は暑さひと息ですが、また暑い夏がやってくるでしょう。このアルバムを部屋に流して涼んでみてはいかがですか。

2025-07-04

プログレ・サラウンド三昧

 

まったく話題にすらならないSACDサラウンドDVD- Audioですが、個人的に盛り上がっています。わけは何と言っても“図太い音”です。CDはもちろんアナログレコードで体験した音と比較しても明らかに違う音がします。

そりゃサラウンドですから、各スピーカーから出ている音が違うので当然ちゃ当然。サブウーファーもあるし、拡がりも別物です。つまり2chステレオを楽しむのとは別の話ですね。

それにしてもこの違い...。おそらくサラウンド用にミックスしなおす過程で生まれた音だと思います、とにかく生々しく「ズドン!」と来ます。

サラウンドで聴けるプログレの名盤たち

写真上段左から

  • PINK FLOYD「The Dark Side Of The Moon(狂気)」(1973年作品)
    SACD5.1ch/SACDstereo/CDstereo(2019年)
  • YES「Fragile(こわれもの)」(1971年作品)
    SACDマルチch/SACDstereo/CDstereo(2011年)
  • GENESIS「A Trick Of The Tail」(1976年作品)
    SACDマルチch/SACDstereo/CDstereo、DVD Dolby Surround/DTS Surround/Extras(2007年)

写真下段左から

  • YES「Close To The Edge(危機)」(1972年作品)
    Blu-ray5.1ch/Blu-rayStereo/Additional Material、CDstereo(2013年)
  • EL&P「Tarkus」(1971年作品)
    DVD-Audio5.1ch/DVD-AudioStereo、CDoriginal album、CD2012stereo mix(2012年)
  • KING CRIMSON「Red」(1974年作品)
    DVD-Audio5.1ch/DVD-AudioStereo/DVD DTS5.1ch/DVD PCMstereo/Video Content、CDstereo(2009年)
  • KING CRIMSON「Discipline」(1981年作品)
    DVD-Audio5.1ch/DVD-AudioStereo/DVD DTS5.1ch/DVD PCMstereo/Additional&Video、CDstereo(2011年)

    ※5.1chやマルチchはサラウンドってことです。

70年代プログレの鮮烈な音を浴びることができます。圧倒されるばかりです。いろいろありながらもよくこんな作品を作ったなぁと畏怖の念を抱きます。

ちなみにクリムゾンのディシプリンは80年代ものですが、9月の再現バンド“BEAT”の武道館ライヴも期待して加えました。ほかにもRUSH「Moving Pictures」(1981年作)もあってこのDVD-Audioサラウンド(2011年)もスゴいんです。