2024-04-26

ONE STEP BEYOND / 井上陽介Trio

 

井上陽介さんは日本のジャズベーシスト。六本木のジャズクラブでは渡辺香津美さんG(復活祈願!)、則竹裕之さんDrとのトリオで数回ご出演いただきました。100席満員の観客は、飲食を忘れて没頭せざるを得ないほどの凄まじい演奏で毎度痺れさせていただきました。僕はリハからずっと拝聴することができて幸せな時間の思い出となっています。

2024年本作はオーディオ誌STEREO(202402号)に掲載されていて知りました。井上陽介さんのインタビューもあります。南青山から渋谷に移転されたジャズクラブ“BODY&SOUL”での昨年のライヴ録音とのことで、国立音大の生徒であった武本和大さんP、濱田省吾さんDrの若手とのトリオ3作目。24bit/48Hzでの録音も素晴らしく、会場の熱気とともに高音質で聴くことができます。陽介さんのベース音をしっかり鳴らすことができるかお試しください。

STEREO(202402号)P.28〜

香津美さんとのトリオ同様凄まじい演奏を聴けるのがタイトル曲4.ONE STEP BEYOND 。眼の前で陽介さんのベースをあっけにとられて聴いていた自分を思い出しました。3.COLORFUL WIND の武本さんの美しいピアノも聴きどころです。ビートルズナンバー2.DAY TRIPPER 、5.BLACKBIRD のように幅広い音楽好きもウェルカムで楽しめるのが日本のジャズクラブスタイルだと思っています。

2024-04-23

ラジオ生活

 

ラジオをタイムフリー/聴き逃しで聴くのはすっかり習慣になりました。座ってパソコンしているときはスマホからAirPlayで飛ばしてスピーカーから、動いているときはAirPodsを耳にして“適応型ノイズコントロール”にして家族の会話も耳に入るようにしています。外出時もラジオがしっかり聴けるのはバッファのせいでしょうか。地下鉄でもノイキャンにしてシームレスに聴けます。

大友良英さんの「ジャズ・トゥナイト」やピーター・バラカンさんの「Barakan Beat」「ウィークエンドサンシャイン」は1時間40分〜2時間ある番組なので、途中までしか聴かないかなと思っていたのですが、テキトーにずっと聴いていられます。どころか「へぇーそうなんだ」がけっこうあって、曲リストから拡がるサブスク探検は楽しい。

毎週番組制作するのはほんとに大変だし根気のいる仕事だと思いますが、リスナーとしてはラジオのこのリラックス感がいいんです。耳だけ拝借しているのがいいんでしょう。番組に時間制限もあるので、この番組が終わったら次のことしよう、とか切り替えできます。ラジオ、がんばってほしいメディアです。

もうひとつ好きなのはNHK-FMの「音の風景」という5分番組。フィールドレコーディングなんですがイマジネーション拡がります。目を閉じてぼーっと5分休憩。

2024-04-19

Big George / One For All

 

大好きなSMOKE SESSIONS RECORDSからの紹介です。2024年本作はNYのジャズクラブSmallsで結成されたというスーパーグループのアルバムです。メンバーは、エリック・アレキサンダーTS、ジム・ロトンディTP、スティーヴ・デイヴィスTB、デイヴィッド・ヘイゼルタインP、ジョン・ウェバーB、ジョー・ファンスワースDrに伝説のジョージ・コールマンTSをスペシャルゲストとするいずれも大変な経歴をお持ちのオジサマ方。

まさに百戦錬磨の余裕の演奏が繰り広げられます。スタジオライヴとはいえ、ワイワイ会話を楽しんでいるかのような演奏光景が目に浮かびます。3管〜4管ですからハーモニーも厚くてゴージャス。ソロまわしも一筋縄ではいかないフレージングでおおーっと声をあげること多し。そしてSMOKEはやっぱり音がいい!今回も24bit/96kHzで生々しく聴かせてくれます。

オススメはやはり大御所ジョージ・コールマン参加の3曲。4.Oscar Winner 、5.My Foolish Heart 、6.This I Dig of You をお聴きいただきたく。ジョージを中心とした衛星たちとの共演とでも言いましょうか。89歳ですけど、サックス音にはあのマイルスとの共演が蘇ります。ちょっと世の中暗くて、流行り歌にも鬱っとした曲が多いように思いますが、そんなときはこうしたベテランのポジティブで包容力のある演奏を聴くのもいいのではないでしょうか。

2024-04-16

サウンドデザイナーの清川さん

 

サウンドデザイナーの“清川進也”さんという方がいます。一瞬「私?」と思ってしまう一字違い、どころか0.5文字違い!?。3月末に放送されたNHKの「音恵〜オンケイ〜」という番組で知りました。マイクとレコーダーを持って町中華とボクシングジムに潜入。音をハンティングし、映像とともに編集するという僕にとってはとても興味深い内容。

町中華の厨房での「美味しそうな音」の捕獲では、食材を切る音、叩く音、中華鍋で調理する音をゲット。リズミカルで特徴的な音。プロボクサーのパンチ音、息のリズム、フットワーク音などどれも生々しい緊張感のある音。それらを嬉しそうにマイクに収める清川さんの表情がなんとも楽しそうで、フィールドレコーディング好きとしては大いにニコニコしてしまいました。名前が似ているだけでなく趣味も似ているかもなんて。

ふだん意識することのない、どうってことのない音でも、ちょっと意識して捉えると「ああ、いい音だな」って感じることがあります。風がそよぐようなほぼ無音という背景に、鳥のきれいなさえずりがひとつの線を描くといった対比があったり、遠くに聞こえる雑踏や地鳴りに躍動感を感じたり。僕がたまにやっている「ちょっとフィールドレコーディング」では、サンプリングのような単品の音ではなくて、周囲の音を含めてひとつの風景を成しているような映像のような感覚を楽しんでいます。

2024-04-12

Back Burner / Martin Budde

 

Martin Budde(マーティン・ブッデ)はアメリカのジャズギタリスト。シアトルを拠点に10年間くらいプロとして活動しています。レッスンでギターを教えたり、メリディアン・オデッセイというジャズグループの一員としてサイドマンとしても活躍するなど、実は多くのこうしたミュージシャンがジャズシーンを支えているんだなと思いました。

ジャケ写を見るとギブソンES-335をかかえているようで、その他の写真をみてもたぶんセミアコを使うことが多いようです。335といえばB.B.キングやラリー・カールトンの音が有名ですが、いい具合に歪ませてやるとギタリストにはたまらん音がします。2024年本作でもそんなギターのいい音がたっぷりと聴けるアルバムになっています。

ジャズしている曲もカッコいいのですが、今回はより聴きやすいポップスやロックを感じさせる曲をオススメしたいと思います。4.Eye to the Sky はメロディアスで口ずさめるような歌です。続く5.My Old Man もゆったりとした優しい曲。7.Consensus はノリのよいロックでちょっと楽しくなる。ギターのいい音をむずかしいこと抜きに、しかも高音質で楽しめるアルバムです。

2024-04-09

古都奈良

 

古都奈良を夫婦ふたりで旅行しました。

訪日外国人が多かった「春日大社」
修二会で有名な「二月堂」の手水
静かな「薬師寺」の塔のてっぺんの飾りの鳴る音

もうすぐ春、を感じる散歩になりました。

録音機材レコーダーはKORG MR-2 内蔵マイクにて収録
セッティングはMic Sens HIGH それ以外は全部Off
ファイル形式はWAV 24bit 192kHz ※SoundCloudにてダウンロード可

2024-04-05

Messengers in Jazz with Peter Bernstein at Termansens

 

Peter Bernstein(ピーター・バーンスタイン)はアメリカのジャズギタリスト。ジム・ホールに学び、数多くの有名ミュージシャンとの共演歴があります。2024年本作はデンマークのJazz&Bluesクラブ“Termansens”で行われたもののようで、アットホームで広くない会場の雰囲気を伝えてくれる僕の好きなライヴ録音です。

ピーターが使っているのは“ザイドラーのアーチトップ・ギター”というフルアコでとても味わいのある良い音がします。一聴オーソドックスなプレイスタイルながら音選びにハッとするフレーズがあり聴いていて楽しい。よくホーンライクなギターとかいいますが、弾いてみると隣り合う一音一音を違う弦で、しかもフルピッキングで弾いているわけで、そりゃもう難しいんです。

1.Simple as That からその“良い音”を存分に楽しめます。しかも軽々と弾いているように聴こえます。きっと実際に観たらのけぞってしまうと思います。3.Blood Moon Wolf Blues のブルースなんてこの音にぴったりの曲です。あぁ浸っていたい。5.This I Dig of You でのバンドメンバーの軽快なスイングからは聴衆のウキウキした気分が伝わってくるようです。「これぞジャズギターが聴きたい」と思ったらこのアルバムがオススメです。